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会社を辞めると言い出せない理由
こんにちは。カウンセラーの中越です。
「いまの会社を辞めた方がいい。それはわかっているのですが、どうしても言い出しにくいんです…」。
この相談は、昔からずっと多いです。
そしてこの20年、辞めるといいにくい理由も、変化してきています。
それについて知ることは、正しく会社を辞める決断をするために、きっと役立つはずです。
というわけで今回は、「会社を辞めるといいにくい理由」。
スタートします!!
会社を辞めるといいにくい理由も時代で変わる
「いまの仕事を辞めたいのですが、どうしても辞めるといいにくいんです…」。
この相談は、僕がカウンセラーになりたての頃から、ずっと多い相談です。
ただ、時代とともに、会社を辞めるといいにくい理由も、変化してきています。
僕自身が社会人になった20年前から、カウンセラーになりたての15年前のころ。
まだまだ「一つの会社で一生働くべき」という価値観が、多かったです。
特に自分の親世代にこういう価値観の人が多く、そのせいで辞めるといいにくいことが多かったです。
この時代の辞めるといいにくい理由は、「世間体」が一番だったと思います。
その後、ブラック企業という言葉が生まれ、3年以内に会社を辞める若者が増えました。
そういう職場では、会社を辞めようとすると異常なまでに引き止められるケースが多かったです。
「お前な!うちで通用しなかったらどこに行っても通用しねーんだよ!
すぐに辞めるその根性がダメなんだよ!」
とにかく怒鳴られ、恫喝され、心身に不調を来して会社を休むと鬼電がかかってくる。
そのせいか、「退職代行サービス」なんてのも生まれました。
この時代の会社を辞めにくい理由は、「上司が怖くて言い出せない」が最も多かったです。
ただ、ここ数年、そんなあからさまなブラック企業は、かなり減ってきています。
研修ゼロで即現場。
残業100時間。
毎日、怒鳴られる。
こういう相談は、本当に少なくなりました。
(こうやってあらためて書くとひどいですが、僕が20代のとき、氷河期世代はこれが当たり前でした。かなり異常な時代でしたね…)
コンプライアンスの強化に、明確な人手不足。
SNSなどが当たり前になり、悪い情報はあっという間に広まります。
なにより潮目は、政府がブラック企業を公表したあたりだと思います。
政府認定のブラック企業となると、どれだけ求人を出しても、人が集まらないですもんね。
このあたりの時期に、一気に多くの会社がコンプライアンスを強化しました。
なので、ここ数年の相談者さんで、あからさまなブラック企業やパワハラ上司の相談は、ずいぶん減っています。
もちろん、それでもまだブラック企業やパワハラ上司の相談はあります。
ただ、特に労働環境が厳しい特定の業種に多いように感じます。
介護、福祉系などは、なかなか改革が進まないようです。
いずれにせよ、「ブラック企業で、上司が怖くて辞めると言い出せない」。
そういう相談は、本当に減りました。
最近、多い辞めるといいにくい理由
あからさまなブラック企業が減って、「会社を辞めるといいにくい理由」も、変化してきました。
最近、多いのは、「お世話になった人に申し訳ない…」というものです。
これは心理学でいう、対人負債感というもの。
「親切にしてもらったのだから、その人たちにちゃんとお返ししたい」。
「辞めることでお世話になった人たちを、裏切ることにならないか?」。
こういう気持ちから、辞められない人が多いです。
そしてみなさんの想像通り、日本人はこの対人負債感が強いのです。
だからこそ、ここ数年、
「会社の制度には問題があるし、仕事そのものにもやりがいがない。
だから、会社を辞めたい気持ちはほぼ固まっている。
ただ、うちの会社はいい人が多い。
先輩にはお世話になったし、上司もいろいろ配慮してくれた。
それだけに辞めるというのが、なんとも言い出しにくい…」
こういう相談が本当に多いのです。
それでも、「やっぱり自分の人生を大事にできるのは、自分だけ。自分の将来を考えると、辞めるのが一番いいと思う」と、決断する人がほとんどです。
こういうときカウンセリングでは、まずは直属の上司に、「ちょっとお話があるのですが…」と、話し合いの場を作ってもらうことからはじめます。
もちろん、最初は引き止められることが多いです。
ただ、これも多くの場合、「残念だけど、自分の人生だからよく考えて出した結論なら、そうした方がいいと思う」といってくれることがほとんどです。
これはあくまで僕の想像ですが、働き方が本当に多様になったいま、きっとその上司達も同じように悩んだ時期があったのでしょう。
だからこそ、「自分の人生だから」といってくれるのでしょう。
会社というのは、自分の人生までは保証してくれません。
そのことは、いまの上司世代の人たちも、よく理解しています。
だからこそ、「自分の人生を、本気で考えられるのは、自分だけ」。
これはもう働く人にとって、永遠の真実なのでしょう。
そう考えるとやはり、たとえ対人負債感があっても、自分の気持ちや考えを第一にして、辞める決断をするのがいいのでしょうね。
「いまの仕事をこの先も続けて、本当に自分の人生が幸せかどうか?」
そこまで真剣に考えてくれるのは、自分自身以外にいないのですからね。
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![中越裕史(公認心理師)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62848629/profile_546764e7dddf7d79463bad0f590ac5ab.jpg?width=600&crop=1:1,smart)