【書録切書】 2022/01/08 「必然化」
その日に読んだ文章の中で印象に残ったものを書き留めています。
■ 平川克美『小商いのすすめ 「経済成長」から「縮小均衡」の時代へ』 ■
それでも、わたしは責任のない「いま・ここ」に責任を持ちたいと思っています。
そうすることでしか、わたしの偶然を必然にすることができないからです。
わたしがひとつの時代に生きていたという確かな証は、わたしが自分の偶然を必然に変えたのだというところに生まれるものだとわたしは思っています。
(214頁)
折口の一言も。
比較能力にも、類化性能と、別化性能とがある。類似点を直観する傾向と、突嗟に差異点を感ずるものとである。この二性能が、完全に融合してゐる事が理想だが、さうはゆくものではない。
私には、この別化性能に、不足がある様である。類似は、すばやく認めるが、差異は、かつきり胸に来ない。事象を同視し易い傾きがある。
(「追ひ書き」『古代研究 民俗学篇2』1930年/青空文庫より)