【雑記】 『偽史倭神伝』
申和気尊(もうしわけのみこと)
神代の神々の一柱。『乞辞苑』(こうじえん)「上つ巻 申和気尊」によれば、次のようにある。申和気尊は生まれてから三年経っても足が立たなかったため、神々の国から遠くの島へ流された。のちに朝廷の勢力拡大のために必要とされたが、すでに遠くへ追いやられていたため、国に留まっていた申和気尊の従者はお詫びの気持ちを込めつつ「申和気ございません」と述べた。謝罪の意を表す「申し訳ない」という言葉はこの事件が語源となっているという。
この逸話は、「申し訳ございません」と事あるごとに謝罪する、日本人の心性の由来を説明するものとして人口に膾炙している。また慣用表現として、申和気尊が立たなかったという経緯から「申し訳が立たない」という言葉も同様の意味で使われている。
▶︎関連用語
「申し訳は寝て待て」:中世に制作された『乞辞苑』の注釈書・躍兼語(うらべかねかた)『釈乞辞紀』(しゃくこじき)には、当時帝位についていた不応天皇(おうじんてんのう)が怒って「応じん」と言ってふてくされて寝ていたところ、申和気尊が帰還したという後日譚がある。「押して駄目なら引いてみろ」ならぬ、「立って来ないなら寝て待て」である。