
商品の付加価値を高める方法を倒産危機を救ったヒット商品の事例から解説
どうも!ブランドコンサルタントの中江です。
今日のテーマは「商品の付加価値の高め方」です。
商品の付加価値というのは、市場における希少価値であって、これが高ければ高いほど、商品力は高くなり、多くの人から選ばれる商品となります。
例えば、前回の記事で紹介した、楽農ファームたけしたの「完熟あまおうプレミアムギフトシリーズ」なんかがそうでした。

これまでにはない「ギフト」というコンセプトと、配送と流通の問題で、これまでの市場では実現できなかった「完熟の状態のあまおうを届ける」という仕組みと苺の味が、付加価値を生み、平均単価5000円以上の苺のケースが毎月2000ケースも売れていくという状態を実現させました。
では、そもそも、商品の付加価値はどのように設計し、高めていけばいいのか?
今回の記事では、様々な付加価値の高い商品事例を紹介しつつ、このテーマをお届けしていきたいと思います。
1.付加価値の高い商品を作るための最初のステップ
まず、商品の付加価値を考える上で、最も重要なのは「商品コンセプト」です。
商品コンセプトとは、いわば「切り口」「方向性」のことで、
どんな○○なのか?
を一言で言語化したものになります
例えば、苺であれば「どんな苺なのか?」メガネであれば「どんなメガネなのか?」ノートであれば「どんなノートなのか?」ということです。
なぜ、この商品コンセプトが重要なのかというと、もうすでにその市場には、基礎品質が高い、商品・サービスが溢れているからです。
例えば、メガネひとつとっても、老舗のメガネブランドから、新興のロープライスのメガネブランドなど様々な眼鏡屋がありますし、そして、そのメガネブランドの中にも、様々な種類のプライベートブランドや、メガネがあります。
そういったメガネは、ネットで検索すれば、本当に無数に出てきます。

そんな状態の中で
視力を矯正し、かけることで、視界をクリアにし、見えなかったものを見えるようにする
という機能だけを備えた、普通のメガネを打ち出したとしても、中々選ばれません。
そんな「普通のメガネ」は、今では安くでどこでも手に入りますし、そこに希少価値がないため、他との違いがわからないため、中々選ばれない訳ですね。
だからこそ、選ばれるためには
世の中にいっぱいメガネはあるけれど、このメガネは他とは違うこんなメガネです
というメッセージです。
売れている商品には必ずこれがあります。
例えば、全国的に有名なメガネブランドに「オンデーズ」というブランドがあります。
今でこそ、従業員数が2000名を超え、国内に128店舗、海外でも182店舗を展開する、日本を代表するメガネブランドとなっていますが、2008年には負債を14億円抱え、買い手がつかないほど倒産寸前の企業でした。
これを立て直したのが、現社長の田中修治さんでした。

売上高20億円で、負債を14億円抱え、毎月8000~1億2000万円の返済に追われる中で、一体どうやって立て直したのか?
それがあるメガネを開発し、それを商品化がヒットしたことがきっかけでした。
その商品とは「AIR」という
羽のように優しく、空気のように軽い、わずか9.4gと今までにない軽さを実現したメガネ
です。

この「AIR」では、宇宙船・航空機の部品に使用されている、超弾力性特殊素材「ウルテム樹脂」をフレームに使用しており、軽くて、柔軟で、どれだけフレームを曲げても壊れないという代物です。
空気のように軽く、付けていても疲れずらく、耐久性も高いメガネはこれまでになく、これまでに累計で200万本以上売れました。
この商品のヒットの要因は様々ありますが、やはりその一つには「コンセプトが良かった」ということが非常に大きく関係していると思います。
では、一体、どのようにして、商品コンセプトを作成すると、付加価値が高い商品となるのか?
2.商品コンセプトの作り方
次に、具体的な商品コンセプトの作り方について解説をしていきます。
まず、商品コンセプトを作成する際に、真っ先にやるべきことというのは、ターゲットの設定です。
2-1.ターゲットの設定
「良い商品コンセプトを見つける」というのは「良い切り口を見つける」ことな訳ですが、これは言い換えるなら
明確で、具体的なターゲットを見つける
ということです。
ヒットしている商品には、必ずこの明確で具体的なターゲットがいます。
例えば、10年間で売上を2倍に伸ばした、アウトドア用品メーカーの「ロゴス」という企業があります。

ロゴスは、ファミリー層でキャンプ初心者をメインターゲットにした、様々な商品やサービスを展開しています。
そして、その中でも大きなヒットとなっているのが「ロゴスランド」という東京ドーム2個分の敷地面積を持つ京都のキャンプ施設です
このロゴスランドの宿泊スペースは、かなり人気で、週末の日程だと、2ヶ月待ちです。
一体、なぜ、これだけ多くの人が集まるのか?というと、これもやはりターゲットが明確だからです。
ロゴスの宿泊スペースのコンセプトは、「室内キャンプ場」で、室内にテントやアウトドア用品を展開して、宿泊を楽しめるようになっています。

キャンプは外でやることが醍醐味でしょう
という人も多いとは思いますが、キャンプ未経験者であったり、特に女性でキャンプ嫌いの方は多いです。
その理由というのが「虫が多い」「荷物が多い」「トイレが汚い」「お風呂がない」「暑い・寒い」「不潔で臭いが気になる」など、様々あります
そういった問題を一気に解決できるのが、このロゴスランドの宿泊スペースです。
室内なので、空調も快適ですし、清潔感もあり、虫も出ません。大浴場もあります。それでいながら、ロゴスのキャンプ用品も実際に使えますし、手ぶらで来てもOKです。
宿泊施設の周りには、自然の中で楽しめる様々なアクティビティがあったり、本格的なアウトドア料理が楽しめるレストランがあったり、焚き火やバーベキューも楽しめます。

キャンプ未経験者人に、ドンピシャに響く内容となっているため、お客さんが殺到しています。
ターゲットは、これくらい具体的にありありと設定する必要があります。
具体的に、これまで直接コミュニケーションをとったことがある
「○○さん」を想定しています
ということが言えないとダメです。
というのも、それくらい具体的に思い描けるからこそ、その人たちに響く商品・サービス内容が生まれるからです。
例えば、これまで一度もキャンプをしたことがない人が、「キャンプ未経験者」に向けた、キャンプ場を作っても成功はしません。
というのも、「キャンプ未経験者とはどんな人なのか?」「何が障害となってこれまでキャンプをしてこなかったのか?」「彼らはどんな体験をすれば、キャンプに興味を持ってもらえるのか?」といったことがわからないからです。
ターゲット設定は、ただ漠然と、年齢、性別、地域、家族構成、仕事、年収、ライフスタイル、価値観、願望、悩みなどの属性を列挙して、終わりというわけではないということです。
ここまで具体的にターゲットを設定するところは少ないからこそ、まだ世の中にない切り口が生まれるのです。
ロゴスランドが成功しているのは、ロゴス自身がこれまで、玄人的にキャンプを楽しむ人というよりも、キャンプ未経験のファミリー層をメインターゲットにし、実際に関わりながら、商品開発や接客を行なった歴史があるからこそです。
キャンプ未経験者のファミリー層の気持ちがよく分かるので、それがロゴスランドのサービスの付加価値を上げることに繋がっているのです。
なので、まずは、ターゲット設定をしてみてください。
2-2.プロダクトプロミスの設定
そして、ターゲットが決まったら、次に「プロダクトプロミス」の設定をします。
プロダクトプロミスとは
この商品・サービスを利用したら、あなたをこんな理想の未来に導きます
という顧客への約束のことです。
商品・サービスを認知したときに、これが分かるからこそ、人は商品・サービスを購入しようと思います。
例えば、毎月2000ケースが完売する、楽農ファームたけしたの「完熟あまおうプレミアムギフトシリーズ」であれば
もらった人も送った人も、一生心に残る感動体験
を約束しています。
だからこそ、何かの記念日に、大切な人に、贈り物として送ろうとなるのです。
ポイントは、先ほど設定したターゲットが心から望む結果を表現として作成することです。
例えば、先ほどのロゴスランドであれば
どんなキャンプなら、キャンプ未経験者で家連れの人は、思わずやりたくなるのか?
を考えることが重要です。
そして、商品コンセプトは最終的には
ひとくちの感動体験
とか
羽のように優しく、空気のように軽い、わずか9.4gと今までにない軽さを実現したメガネ
というようにに、簡潔にコンセプトが伝わる表現を作ることも重要です
というのも、コンセプトは明確に言語化しないと、伝わることはないからです。
2-3.キャッチコピーの作成
では、どのように言語化をしていけばいいのか?
いきなり洗練された表現を作り出すことは難しいので、ターゲット、ブランドプロミス、特徴、独自性、強みなどから、キーワードを箇条書きで良いので洗い出していきましょう。

例えば、ロゴスランドであれば「キャンプ」「室内」「清潔」「初心者」「アウトドア」「簡単」「手ぶらで」「体験」などのキーワードがあったかもしれません。
このキーワードの抽出作業は、思いつく限り書き出してみるのがコツです。
この時点で、正しいも間違っているもないので、とにかく関連するキーワードを書き出していくのがコツになります。
また、このキーワードの抽出作業は、一人でやるよりも複数人でやった方が良いアイディアは生まれやすいです。
そして、最終的には、この出てきたキーワードを組み合わせて、まとまったキャッチコピーの表現を作るという流れです。
最終的にコンセプトのキャッチコピーができたら、4つのポイントからチェックしていきます。
2-3-1.意味が理解できるか?
1つ目のポイントは「意味が理解できるか?」です。
まず、これは当たり前なのですが、ターゲットに意味が伝わる表現にしましょうということです。
よくあるのが、ターゲット人が理解できない難解な専門用語や表現を使うことです。
例えば、コンサルティング会社のサービスの商品コンセプトとして
コアコンピタンスを発掘して、ブランドエクイティを最大化させる
というような表現があったとしても、理解できる人とできない人に大きく分かれると思います。
特に「ブランドエクイティ」なんて、ブランディングについて学んでいる人しかわからない専門用語です。
理解されなければ、伝わることもないので、作成した表現が「ターゲットが
理解できる意味のわかる文章になっているか?」はチェックしましょう。
2-3-2.簡潔であるか?
そして、2つ目のポイントは「簡潔であるか?」です。
どれだけ意味のわかる文章であったとしても、長すぎる表現というのは微妙です。
例えば、
冬は暖かく、夏は涼しく冷暖房費が節約できる。湿度調整も自動ででき、部屋干ししても臭いが気にならない。木の良い香りがずっと漂い、生活臭がしない。カビやダニが繁殖せず、ゴキブリやシロアリのなどの害虫も出ない。埃がたまらず、手垢もつかないから、掃除が簡単。耐震性能も高く、耐久性能も高いため、ずっと住み続けられる家です
というような長い表現であれば、意味は理解できますが、結局、「どんな家なのか?」が情報量が多すぎて、一言で理解できません。
コンセプトを説明する、補足的で長い文章は作成しても良いのですが、やはり、それをぎゅっとまとめた一文を作成することが重要です。
2-3-3.商品を購入した先の未来が想像できるか?
3つ目のポイントは「商品を購入した先の未来が想像できるか?」です。
これは非常に重要です。
多くの商品コンセプトのコピーにはこれが欠落しているため、価値が伝わっていないことがよくあります。
例えば、自転車の商品のコンセプトコピーとして
あなたの大切な毎日をささえる
というコピーがあったとします。
このコピーは、意味も理解できるし、簡潔ではあるのですが、結局、この自転車を購入して、日常で使うと、どんな未来が待っているのかが想像できないため、結局、
どんな自転車なのか?
ということが全く伝わってきません。
一方で、Airの方は
羽のように優しく、空気のように軽い、わずか9.4gと今までにない軽さを実現したメガネ
なので、眼鏡をかけた先の未来がありありと想像ができます。
このポイントは本当に見落としがちなので、必ず入れるようにしましょう
2-3-4.独自性があるか?
そして、最後の4つ目のポイントは「独自性があるか?」です。
独自性はあなたのブランドにしかない価値であり、これが表現としても伝わると、商品コンセプトの完成度が押し上げられます。
Airであれば
羽のように優しく、空気のように軽い、わずか9.4gと今までにない軽さを実現したメガネ
という表現なので、「今までにない軽さを実現したメガネ」というポイントがここに入っています。
これも入れれる場合は入れるようにしていきましょう。
最後に
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。
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