酒飲んでバカ話できる居酒屋 「くつろぎダイニング哲。」店主 中畑哲也さん
津軽中里駅を降りてまっすぐ歩くと十字路にぶつかる。そこを左に曲がったすぐのところに居酒屋「くつろぎダイニング哲。」はあります。
お店を開いて今年で14年目の「くつろぎダイニング哲。」には地元の人だけではなく、名物のメバル膳やトマト海鮮ラーメンを求めて町外からも多くの人が訪れています。
今回は「くつろぎダイニング哲。」の店主である中畑哲也さんをインタビューしました。
あの時良かったな
――中畑さんの出身、育った場所について教えてください。
中里の宮野沢に実家があって。ずっとここ。中里小学校、中里中学校、中里高校卒業して。電車で通学とか面倒くさかったから、どこにも行きたくなかった。
高校卒業してからは飲食業に入って、五所川原で働いたり青森市で働いたり。でもいつかは地元に帰ってくるつもりだったので。
――中畑さんが小さかった頃の中里はもっと賑わっていましたか。
別に何かあったわけじゃないんだけど、子供はいっぱい居たし川で遊ぶとか、山であそぶとか。昔は町に駄菓子屋もいっぱいあったし。
中里に映画館はなかったんだけれども、津鉄(津軽鉄道)に乗って五所川原へ映画見に行ったりした。
昔は津鉄乗ればどの電車もストーブ列車だったんですよ。もうストーブで電車中が暑い暑いって言って窓開けたりしてた。
中里駅ももっと面白かったんだけどね。近くに古くて汚い蕎麦屋があってそこで蕎麦食べられるときはなんだかすごく嬉しかった。
今は駅の中は新しくなってしまったけどね。新しくなったときは嬉しい気持ちになるけど、でも今思えばあの時は良かったなんて思う。
――高校卒業してからずっと飲食業で働かれていたのですか
うん、飲食は20歳くらいからずっと。最初は洋食屋さんで次はホテルの中の居酒屋さん。
たまに中里に帰って来ると閉めるお店が多くなってきて、なんだかさみしいなぁと感じていて。自分でお店を開く直前にも確か2店舗つぶれたかな。
それを見て自分も中里で飲食やろうとずっと思っていて。
場所的に今お店があるこの場所が駅からも役場からも近くて一番良かったし、前のオーナーが譲ってくれるというのでそれがきっかけで、14年前に帰ってくることになった。
シンプルだから一番いい
――この前メバル膳食べたのですが本当に豪華でおいしかったです。中畑さんはメバル料理促進協議会の会長をされていますが、どのようにしてメバルを使った町おこしをすることになりましたか。
町の食材でご当地メニューを作るかから参加してけろって役場の人に誘われて。
それで町の食材を生かしたメニューを開発しようということになって、イカとテンカラが挙がって。
――テンカラって何ですか。
昔からの言い伝えがあって小泊で全然漁がダメだった時があったの。それで神様にお願いしなきゃマイ(だめ)ねということになって。
お願いしたらすごく獲れた魚があると、その魚がメバル。だはんで天からの贈り物ということでテンカラと呼ばれるようになったと。
メバルは小泊ではよく食べてたみたいだけど、それでも中里の人は食べることはあまりなかったから。
たまに小泊で仲いい人がいれば分けてもらったりしたけど、16年前に小泊と中里が合併してもメバルは食べたことはなかった。
メニューのおすすめにも「メバルのさしみ」と書くようにして、観光客だけでなくて地元の人にも食べてもらいたいと思ってる。
ご当地メニューで考えたときもともとメバルはそんなに認知度が高くなかったから町の名物を考えたときに一番の候補だったのはイカだったの。
昔はイカがいっぱい獲れて安かったから、かご一杯にもらったりしたこともよくあったから。
――羨ましいです
イカはね今はなかなか獲れないし、箱一杯で6000円とか7000円とか高くて買えないけどね。
メニューを作るときにイカだと獲れなくなってきているし値段も安定していないし、ヤリイカと真イカ(するめいか)と季節によって変わるし。
じゃあメバルをメインでメニューを開発しようということになった。
――メバル膳の開発にはどのような過程がありましたか。
メバル膳開発の会議では町の中の飲食店が集まって各々料理を開発してきて、プロデューサーにすごく厳しくけちょんけちょんにいわれて。
それをずっと繰り返して。
でも最終的に出来たものはそれぞれの店の良いところをとっていいものができた。味付けは田舎の人の味付けの煮つけで、シンプルに作った。
メバル膳を提供してみたらやっぱりシンプルなものが一番で、だからここまで続いている。
良いところを無理やり探さなくてもいい場所
――くつろぎダイニング哲を経営していて「やっていてよかったな」と感じるときはいつですか。
酒飲んでバカ話しているのが一番いい。
店のカウンターは5席あるんだけれど、そこにみんな友達で埋まってバカ話しているときとか。もう仕事やりたくない!って思うほど楽しくなって。
でも仕事放棄するわけにはいかないから、もちろん仕事もするけど。
いつも来ている人がお店にいつも通りに来てくれて、バカ話しているときが一番いいね。
――たしかにバカ話しているときが一番平和でいい時ですね。
――中泊町に戻ってきて中泊町のどんなところが良いところだと思いますか。
良いところは良いところを無理やり探さなくても、落ち着くところ。
なんもねばって(何もないけれども)。これが良いところだって言っても、うーん。
住みたくて住むというのもあるけど、もともと住んでいたし。
別に中里に帰ってくることは苦でねえし、仲間っこいるし。あんまり深く考えずに住んでいる。
よくよく考えれば買い物行くのは遠いし、新幹線遠いし、悪いとこ考えればいっぱいあるけど。でもそれで死ぬわけでないし。
――嫌いな理由は挙げられても、好きな理由はなかなか挙げられないということですか。
うん、本当になんとなくだよ。
――これからメバルや食事を中心にしてどのように発展してほしいと思いますか。
メバルはまだまだ可能性があるからご当地グルメ、お土産開発なんでもやっていければ。メバルを目的に来る人が増えて、それで中泊町のほかの施設も栄えていけば一番いいですね。
もっと泊まる場所があればいいんだけど。お客さんに来てもらって飲んで泊まって楽しんでもらって。
なかなか新しい場所を作るとなると難しいから、今あるものを活用して発展してほしいと思います。
――今日は長い時間インタビューありがとうございました。今度はお店に食事しに来たいです。
本当は言いたいこともっといっぱいあるんですよ。中里のことならいくらでも話あるからもっと話したかったくらい。出来ることならなんでも協力しますよ。
店舗情報 くつろぎダイニング哲。
電話番号
0173-57-9086
住所
〒037-0305
青森県北津軽郡中泊町中里字紅葉坂48−4
営業時間
昼:11:00~14:00(LO 13:00)
夜:17:00~24:00
定休日 月曜日、第2・第4日曜日
※12月31日~1月2日休業
駐車場 有(10台)
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