自分と他者を理解するために本当に必要なこと
私と成人発達理論との出会いは2005年に遡ります。
この年は私がU理論に出会った年でもあり、経営者向けパーソナルコーチとして歩み始めたばかりの頃でした。
当時翻訳を始めていたオットー・シャーマー博士の書籍の中で成人発達理論について触れられていたのを覚えています。
そして月日が流れロバート・キーガン教授の「なぜ人と組織は変われないのか」出版を契機に成人発達理論の存在を本格的に知ることとなります。
当時の私は、U理論の実践はそれぞれの内省力次第なのだということを痛感する状況に何度も遭遇しながら、U理論を深く実践できる人とそうでない人の差を明らかにしようとしていました。
特に苦慮していたのは、参加者の特性の違いによってファシリテーターの関わり方を変える必要があるのをどうお伝えすればよいのかということです。
現場を生で共有していればその違いを感覚的に共有できますが、実際にはその機会はないので、参加者の特徴の違いが場に与える影響をわかり易く伝えるのは非常に難しいと感じていました。
成人発達理論はそんな私の疑問に対して、
「その人の意味構築は発達段階に依存する」
「発達段階によって現実認識は全く異なって見える」
という観点を提示してくれました。
例えば、生まれたばかりの赤ちゃんがハイハイや鉄棒ができないことや、小学生が微分積分の計算ができないことがおかしいと思う人はおらず、「その子は今そういう発達途上にあるだけだ」とすんなり納得できるのではないでしょうか。
それに対し、成人発達はこういった幼児の発達のように目に見えてわかりやすいものではありません。
だからこそ、何歳になってもその人なりの発達の歩みがあり、誰もがその段階を辿る可能性が高いと理解することは、「相手の怠惰/能力の無さ」なのではなく、「自然な違い」なのだと受け入れることに繋がります。
私はこの点が、自己受容と他者尊重を促進させる成人発達理論の光の部分ではないかと思っています。
すなわち、互いの自然な違いを理解する一つの共通のレンズになり得るということです。
成人発達理論の活用によって、勘と経験頼みではなく何かしらの原理原則に則った対人支援が可能になるものと考えています。
一方で、成人発達理論の影の側面も理解しておく必要があります。
多くの研究者が倫理的な観点から警告していることでもありますが、それは発達段階という考え方がしばしば優劣意識と結びつき、「違い」に対する差別意識が無意識のうちに生じる危険性があるということです。
成人発達理論を組織に制度導入する際に、不本意ながら人をランク付けするような使われ方になってしまうということも同様にあり得ます。
自分と相手の間の違いを理解することが、自己受容と他者尊重に繋がるとは述べた通りです。
しかし、成人発達発理論における「違い」はMBTIなどのタイプ論のように水平的ではないことに難しさがあります。
例えば、自分より前期の発達段階にいる人のことが未熟な存在に見えてしまい、イライラや否定的な感情を引き起こされるということがしばしば起こってしまうのです。
成人発達という考え方は、人間には発達現象があるという事を踏まえて関わり合い、尊重しあうという観点で活用することが必要です。
逆にその観点を持てなければ、相互理解どころか逆効果になってしまうということを、私たちは常に肝に銘じておく必要があるでしょう。
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