「私は一体、何者なのか?」 全ては「空」であるという観点に立つのなら、何者でもないということになるのかもしれません。 もっといえば、「何者でもない」という観点すらも「空」で空っぽなのだとしたら、「何者でもない」も成立しなくなって、「何者でもある」のかもしれません。 私は何者であるのか、ないのか。 これは永遠に決着のつかない謎なのかもしれませんし、決着がある/ないを超えたものなのかもしれません。 いずれにしても、私はこの問いに取りつかれ続けている側の人間なのだと思います。 私
先週、AWS(Amazon Web Services)様での導入事例をご紹介するセミナーを開催させていただきました。 コロナ禍直前の2020年1月10日に子会社小冊子の出版記念イベントを行って以来の、法人向け対面イベントとなります。 平日3時間にわたる対面イベントにも関わらず、50名を超える方にお申込みいただき、大きな関心を寄せていただいていたことがひしひしと伝わってまいりました。 今回のPRポイントは、U理論と成人発達理論を融合したリーダーシップ開発プログラムの事例であっ
修羅場体験に期待されているのは、1つは思考の枠組みやマインドセット(無意識の考え方や価値観・信念)にひび割れを入れること、2つ目は新しい仕事の反復による能力向上だと考えています。 後者は時間経過とともに可能になることであるため、今回は1つ目のみに焦点を当てます。 さて、マインドセットとは何なのでしょうか。 諸説ありますが、端的に言えば過去の経験を通じて得た意識的・無意識的な『持論』の総体だといえます。 既存の『持論』で通用するうちはいいですが、環境変化等によりそれが通用し
「修羅場」という言葉を聴いて、どんなイメージが浮かぶでしょうか? ドラマで描かれるような人間関係のもつれからの激しい争いが行われる場面を想像される方も少なくないかもしれません。 元々は仏教・インド神話等の伝承で阿修羅と帝釈天の争いが行われたとされる場所を修羅場といい、そこから転じて「激しい戦いや争いの行われる場所や場面」を指すようになったそうです。 ビジネス文脈での「修羅場体験」 というと、特に次世代リーダー候補人材など、将来を期待する人材育成における、いわゆる黄金律のよ
「御社にとってそのビジョンは何ですか?」 こう問われたとき、皆さんはどうお答えになるでしょうか。 ビジョン策定や理念の浸透については、かねてより多くのご相談をいただいています。 また最近では、AI技術を活用した組織のビジョン・理念浸透度を測定する新たなサービスの試験運用も始まったそうで、今なお注目度の高い関心事であることが伺えます。 さて、改めて「ビジョン」とは何なのでしょうか。 「ビジョン」、「理念」、または「バリュー」という言葉の定義は、検索したり辞書を引けばすぐに調べ
ある大手部品メーカーでお手伝いをさせていただいていた際に、20年以上に渡るエンゲージメント調査の結果についてお話を伺ったことがあります。 その会社は紛れもなく日本を代表する企業の一つですが、入社時点でモチベーションの数値は最大なのに対して、その後、年齢を重ねるごとに下がり続けていき、その数値が回復する時期がないということでした。 つまり、会社に勤め始めてから、ずっとやる気を失い続けているということです。 この数字には驚きを感じたのとともに、どこかで「そうだろうな」と思った自分
私と成人発達理論との出会いは2005年に遡ります。 この年は私がU理論に出会った年でもあり、経営者向けパーソナルコーチとして歩み始めたばかりの頃でした。 当時翻訳を始めていたオットー・シャーマー博士の書籍の中で成人発達理論について触れられていたのを覚えています。 そして月日が流れロバート・キーガン教授の「なぜ人と組織は変われないのか」出版を契機に成人発達理論の存在を本格的に知ることとなります。 当時の私は、U理論の実践はそれぞれの内省力次第なのだということを痛感する状況に
今回が、「ハラスメントの盲点」についてご紹介する最終回となります。 盲点の3つ目は、お互いの心の奥底に潜む抑圧された「何か」(シャドウ)によって認知は歪んでしまうということへの無自覚さです。 私たちは常に物事を正確に捉えているわけではありません。 自分の主観や価値観、思考の枠組みを通して世界を見ています。 また、「投影」という心理学的観点があります。 これは、人は抑圧された感情や未解決の痛みを抱えていると、誰かからの言動によりそれらが刺激されたとき、相手や状況にそ
「社員の視座や当事者意識を高めたい」 「ピープルマネジメントが出来る中間管理職を増やしたい」 離職が止まらない、エンゲージメントサーベイのスコアが年々悪化しているという企業であればあるほど、こうした「意識」や「人間性」を高めさせたいという声は、悲痛な叫びと言えるほど、増え続けています。 こうした切実なニーズとは裏腹に、人材開発の現場では依然として、単なるスキル提供や自己理解を促す内省型のプログラムしか提供できていない現実があります。 オーセンティックワークスでは20年に
前回に引き続き「ハラスメントの盲点」についてご紹介していきます。 盲点の2つ目は、「どんな意図があってその言動を取っているのかがわからない」ことにあります。 しかも、その意図は周りがわからないだけでなく、本人も自覚できていないことも多々あります。 例えば、「つい夜更かしをしてしまう」という悪習慣の背後には、「のんびりして気持ちをリセットしたい」という意図があるというものです。 叱責の話に当てはめると、叱責をしてしまう側にも、委縮して話してしまう側にも、どれだけ不適切に見
最近、企業の不祥事だけでなく、自治体トップによるトラブルでも『パワハラ』という言葉が注目を集めるようになっています。 道徳観の欠落、もしくは認識の甘さが発生の元になりやすいセクハラに対して、パワハラは本人の行き過ぎた正義感や責任感から発生している可能性が高く、それゆえに見過ごされがちな盲点が3つあるように思います。 パワハラをしてしまう側も受ける側も、それらの盲点を扱いきれないがために、お互いに傷つけあう状態を加速させてしまう、もしくは有効な対処方法が「距離を開ける」しかな
かつて芥川龍之介は、「将来に唯ぼんやりとした不安がある」という言葉を残して自ら命を絶ったことは有名です。 私は確か中学生くらいの時にこの言葉を知りましたが、その頃からずっと頭の片隅にあります。そして私自身、この「ぼんやりとした不安」と付き合いながら人生の大半を過ごしてきたように思います。 30代くらいまでは、私のような人間は極めてマイノリティなのだろうと思っていましたが、現代においてはむしろマジョリティというか、世界で起きていることに真正面から向き合っている人であればあるほど
5年がかりで書き上げた「ビジョンプロセシング」出版から二カ月が過ぎ、また有難いことに、多くの出版記念のイベントで本書の内容や想いについてご紹介させていただく機会を頂いております。 長い執筆期間を振り返るたび思うのは、表現や方法は変われど、私はずっと同じメッセージを皆さんにお伝えする役割を受け持っていたのだ、ということです。 そのメッセージは、 「複雑性の極まる時代において、私たちに問われている事とは何だろうか?」 ということです。 これは2005年にU理論、そしてシステム思考
世相を表してるなー。と最近、注目しているのが、 「夢なし先生の進路指導」 という漫画です。 この漫画では、高校の進路指導をしている主人公の高梨先生が、夢を描いて社会に出ようとする生徒に対して、 「夢には気を付けてください」、「夢はあなたを殺します」、「夢は呪いです」と諭そうとします。 第一話では、VUCAについて触れ、生徒たちに「VUCAとはつまり、お先真っ暗ということです。」 という身も蓋もない説明の仕方をし、生徒からの反発を受け、「夢なし先生」と揶揄されます。 で、物語と
最強クラスで非常に強い勢力の台風7号が関東に接近しています。 今回の台風でも被害が出ないことを祈るばかりです。 さて、コロナ禍を経て様々な変化が生じていますが、中でもパーソナルスペースの感覚が変わった影響が大きいように感じています。 肉体的なセーフティーゾーンは極端に狭くなったのに、バーチャルでの接触許容範囲は広がったという感じです。 わかりやすく言えば、物理的に人が近くにいることには抵抗を感じるものの、オンライン上で人と接触することには極端に抵抗がなくなったという感じ
1990年代の半ば頃にコーチングが紹介され始めブームとなり、それに遅れること10年程たった2005年頃にワールドカフェに代表される手法が輸入された ことからダイアログのブームになりました。 それからさらにおよそ20年経ち、ダイアログは今やマネジメントやチームビルディングに欠かせない手法の一つとして、組織に根づきつつあるのを感じます。 リーマンショック後は、景気の不透明感も相まってギスギスした職場を何とかしようと「腹を割って話す」というニーズからダイアログが注目されました。