【解説】TKAの器械台
先日、Xで『オレの器械台シリーズ』と題してTKAの器械台をポストしたところ予想以上に反響をいただきました。
せっかくなのでnoteで器械台の解説もしておこうかなと思います。
今回の器械台Zimmer Biomet Persona + Knee AlignⅡ
今回の器械はZimmerのPersona。
うちは股関節もほぼZimmerだし、TotalだけじゃなくUnicompartmentもPersonaです。
症例はPrimary TKAでいつもならロボット(ROSA knee)を使いますが、今回はロボットを使わないシンプルなTKAです。
大腿骨側は骨温存の観点から髄内ロッドではなくKnee AlignⅡを使っていて、脛骨側は髄外ガイドを用いたマニュアルです。
①器械台左上:Knee AlignⅡ
器械台左上には、Knee AlignⅡの大腿骨側器械をトレーにまとめて置いています。うちは大腿骨側と脛骨側を別々に滅菌してあるので、大腿骨側だけだとこんなにシンプルにまとまります。
Knee Alignは大腿骨の骨切りが終わればお役御免なので、骨切り後はトレーにまとめたまま手の届かないところに移動させて、器械台のスペースを確保します。
②器械台左中:脛骨髄外ガイドなど
髄外ガイドは完全に組み立てた状態で準備してあります。骨切りブロックも予定インプラントの後方傾斜に合わせて3° or 7°のものを予めセッティングしてます。
脛骨のベースプレートは予定サイズのものをひとつだけ術野に出し、ハンドルに装着します。
③器械台左下:よく使うものトレー
器械台の左下にはトレーを置いて、よく使うものをまとめてあります。具体的には、
カニ爪(エンジェルウィング)
ティビアスタイラス
各種ドリルピン
スペーサートライアル
などです。
また、手元でよく目に付く場所なので、忘れがちなものもこのトレーに入れています。例えば大腿骨のペグドリルとかセメンティング前のアンカーホールドリルとかですね。
④器械台中央:大腿骨関連
器械台の中央には大腿骨4面カット関連の器械を置いてます。大きくて重い物が多いし、使う順序としても真ん中に置いておくのが僕の中ではちょうどいいです。
⑤器械台右:脛骨器械+使用頻度が低いもの
最後に器械台の右側ですね。ここにはバスケットを置いて、脛骨側の器械と使用頻度の低い器械をまとめてあります。
大腿骨の4面カットが終わったら、器械台中央の大腿骨4面カット関連の器械と器械台右の脛骨の器械を入れ替えていきます。
理想的な器械台とは...
僕は経験年数が浅い頃から先輩の器械台をとにかくたくさん見てきたんだけど、僕にとって理想的な器械台は、器械台を見ずとも手を伸ばせば欲しいものに触れることができることです。(そんなこと、実際にはあり得ないんですけど..)
人工関節に関しては手数も多いし特にTKAは複雑なので、「使う順に並べる」って人が多いんじゃないかと思ます。
だけど僕は、正直『使う順に並べる』はあまりオススメしないです。どんな手術でもそうですが、順番ってあってないようなものなんですよね。
TKAに関して言えば、手術進行は決まっていてもいったん大腿骨に戻って追加骨切するとかもありますし、どちらかと言うとこういうイレギュラーな時に頭の中がぐちゃぐちゃになってしまいがちです。
だから僕は使う順ではなく、骨切部位ごとに器械をまとめて、進行に合わせて行ったり来たりできるよう意識しています。
ぜひ皆さんの意見とか、可能なら器械台も見せてもらいたいです!