カメはウサギに敵わない
帰り道、トボトボと歩く私をスタスタ歩く人が颯爽と抜かしていった。
なぜか、「ウサギとカメ」の話を思い出した。
うさぎは先を越して進んでからゴール目前で休み、そうしているうちに歩みをとめなかったカメがゴールに着いて先を越してしまう。そんな有名なお話。
私は、カメ側だろうなって思った。
でも同時に、うさぎには敵わないとも思った。
私は、昔からテキパキ動ける方ではないし、頭の回転が早い方でもない。自分のペースで着実にこなしていくタイプだけれど、それではなんか上手くいかなかった。特に、社会に一歩踏み入れてからは。
周りはスピードを求めて、より早く仕事をすることを良しとした。
例外なく、マイペースな私にもスピードを求めた。
でも、私は早くやろうとすると頭の中が混乱してしまって、どうしても上手くいかなかった。
それでも周りは、
「もっと早くね〜」
「もう少しテキパキと!!」
と言って、スピード感を求めてきた。
上手くいかない私をよそに、スピード感があって、テキパキと仕事をこなす人は必要とされ、優遇されていった。
そして、いつしかそんな人と比べて落ち込む自分がいた。「どうしたら上手くいくんだろう?」と考えてみても、どうもうまく出来なくて、次第に私は歩みを止めてしまった。
そう、私は歩みが遅いどころか、途中で足を止めてしまうカメ。思い悩んで、思い詰めて、歩みを止めてしまう。
その間に、うさぎは先を行ってしまう。もしかしたら、うさぎタイプの人も歩みを止めてしまうことがあるのかもしれない。でも、そのうさぎだってきっといつまでも休んでいるわけではない。
そんな両者を比べたら、うさぎの方が優秀であることに決まってる。
そんなことを夜道を歩いて考えていた。
物語の中のカメは多分歩みを止めていないよなぁって思うと、すごいと思う。
先を行くうさぎを見ても、よく比べなかったなぁって。
多分物語のカメは、たとえ先を越されても自分は自分と割り切って、心の中にしっかりとした自分軸を立てているカメなんだろうと思った。
そんなことを考えると、「なんか他人を見てもぶれないカメかっこいいなぁ」なんてことを思った。我に返ると、ちょっとアホらしい発言。
でも、今の世の中ってなんでもスピード感を求められて、どこかせかせかとしている。そんな世の中にいち早く適応できるのは、うさぎタイプだよなぁって思う。
一方、私のようなカメタイプはなかなか適応できない気がしてる。無理にうさぎを取り繕っても、いずれガタがきてしまう。そんな弱いカメ。
聞けば、かつては穏やかで時間の流れがゆったりな時代があったという。そんな時代が羨ましい。いつから、こんなせかせかした世の中になってしまったのだろう。
カメはうさぎに敵わない。
現代はそんな世の中になっている気がする。
ゆっくり着実に進んでいる横で、スピード感や勢いのある方が優秀って言われるのだから。
カメタイプな私にも合うような環境がほしい…と願うのは、エゴだろうか。
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