洗濯機が直せなかったはなし。
もりです。
今回は『ハッピーエンドではない。』お話です。
文中いくつか危険な行為や思想があります。
マネするヒトはいないと思いますが、
『限りなく事実を交えたフィクション』
として読み進めてください。
我が家には、『ドラム式乾燥洗濯機』がありました。
シャープ『全自動ドラム式洗濯機 ES-DG703』です。
発売年度は2003年4月。
保証も何もかも遠い昔に終了しています。
(というか今では国内メーカですらない)
本体重量は63kgあります。
(ネットでは「徘徊する」と噂になるパワーで、)
あるときまでは「ゴトガタガタ!」と、機嫌よく動いていました。
ある日、「E-01」のエラーコード
(給水できません)
このエラー自体は長いお付き合いですので、過去に何度も見たことあります。あせらず今回も水道の蛇口が開いているか、洗濯機給水口のフィルタを清掃します。
アレ? 蛇口開いてますよ?
(フィルタもきれいですよ?)
症状は
「電源ON」押す。
-標準-で「スタート」ボタン押す。
ドラムが回転する(洗濯物の重量を検知する)
暫くして「洗い34分」の表示。
(ここまではいつも通り)
五分ほどで「E-01」表示。アラーム音。
何度やっても同じです。
『洗濯機』より『家』の方を疑い、接続ホースを外して蛇口から水が出るかを確認します。
(使用のための水圧は、0.03~0.8MPa必要とあります)
水道、メチャメチャでますよ?
症状を再度確認します。
「電源ON」押す。
-標準-で「スタート」ボタン押す。
ドラムが回転する(洗濯物の重量を検知する)
暫くして「洗い34分」の表示。
(ここまではいつも通り)
(本体裏の給水口辺りから「ジー」という音)
(しばらくして「カチッ」というあきらめ音)
「E-01」の表示。
アラーム音ピピピ…。
これはアレだ。
給水バルブ(電磁弁)が固着してるやつだ。
叩けば直るのにサービスマン呼ぶのもアレなので…。
保証も何もかも終了していますので、躊躇なく本体の天板パネルを外してみます。
↑ ① 既に『念入りに叩くため』に取り外されていますが、本体左奥の白い四角の場所に『給水バルブ』がありました。
↑ ② 位置関係はこんな感じ。
人差し指の場所にある『青い電磁弁が給水バルブ』で、通常閉じており、洗濯に水が必要な間開き、下のバルブ3つが並んだ場所まで水が通ります。
最初に左にある『白いカプラのバルブ』が開き、洗濯槽に水が入ります。
(左下に見える透明なケースが「水が来ているか」を確認するセンサスイッチ。ココのセンサが「水が来てないよ!」となり、「E-01」が出ています。)
途中で洗剤が必要になった時、真ん中の『黒いカプラのバルブ』が開き、洗剤、柔軟剤の引出しに水が流れます。
洗濯が終わり(「乾燥」まで選択していると)右にある『青いカプラのバルブ』が開き、乾燥時に必要な水分を供給します。
↑ ③ 『給水弁1~4』となっていて、今回は(元栓用)となっている『給水弁4』の故障です。
『給水弁2』は(ソフナー用)となっているので、柔軟剤用?
外している時点でお気づきでしょうが、
叩くだけでは直りませんでした。
↑ ④ 『給水バルブ』です。
上の青い口がフィルタ経由で蛇口からの接続ホースに繋がれていて、電磁弁が開くと90度折れ曲がって、再度直角に曲がり、3つのバルブに水を供給します。
左のコイル部分の断線でしょうが、溶着されていて分解不可。心棒を清掃してみても症状変わりません…。
「まあいいや。」 と思いました。
先ほど、他の3つのバルブまで調べたのは、『剥がして、コレと付け替えれば良い。』と考えていました。
どう考えたって『元栓』が一番大事です。
『乾燥』なんて飾りです。
↑ ⑤ 妙なことに気づきます。
『給水弁1~3』はカプラのリード線に極性(色)があるのに、『給水弁4』には極性がなく同色で、しかも独立して電源回路から直接デリバリされています。そして他の3つのコイルは白いのに、コレだけ青い。
「なるほど。」 と思いました。
洗濯中ずっと電圧を印加し続けなくてはイケナイ最も「信頼性が重要なバルブ。」だからAC(交流)にしているのか。
そしてそれが壊れている。
↑ ⑥ 世の中には『直流でも極性がない(どちらにも挿せる)電磁弁』も存在します。
そして頻繁に抜き差しするような場所なら、「逆差し」しても壊れない『優しい設計』なのかもしれない。
違いました。AC100Vでした。10mA程度?
(そして他の3つはDC12Vでした。転用は不可です。)
この時点であきらめて『給水弁4』の部品をとればよかった。
(ネットでは探せなかったが)
話は急に変わりますが、最近ガーデニングが人気です。
お花を見るのは好きですが、毎日の水やりは大変です。
タイマ連動でお庭の水やり出来たら最高です。
たまたま我が家には、12Vの給水バルブ、信頼のオムロン製AC100Vのリレー、散水用のホースと、
『もう一歩踏み出すのに充分な材料』
がたまたま、すべて揃っていました。
いきなりですが、
ここでシャープの社是(経営信条)の抜粋をご紹介します。
『・勇気は生き甲斐の源なり、進んで取り組め困難に』
↑ ⑦ はい、『新しい給水バルブ』です。
そしてコレがあれば、他のバルブをハイエナする必要もない。
⇒『乾燥』もできる!
バルブに付いている右側の黒い口に、蛇口からの接続ホースがつながります。
バルブ、変換した金色のホースニップルからホースを出して、先ほどの3つのバルブへと接続したら配管は終了です。
流路は完成ですが、「AC100V」の信号で、『新しい給水バルブ』(DC12V)を動かすためには、ひと手間が必要です。
↑ ⑧ オムロンのパワーリレー
『G2R-1-S AC100/(110)』です。
『パワーリレー』とは、決まった電圧がかかった時、他回路を連動してON,OFFさせるものです。
↑ ⑨ このように配線します。
洗濯機が『給水弁4』を動かそうとした時流れる「AC100V」を拾い、上回路の「4-6端子」が閉じ、バルブにDC12Vが流れます。
(このバルブは極性のない優しい設計になっています)
偶然このバルブも12V駆動だったので、他のバルブから給電させても良いのですが、DCアタプタは幾らもしないので専用電源にします。
適当に配線して実験です!
↑ ⑩ 『元の給水バルブ』に繋がっていたカプラを外し、先ほどのリレーの「7-8端子」に接続。洗濯機の「電源」「洗濯スタート」ボタンを押してみます。
「電源ON」押す。
-標準-で「スタート」ボタン押す。
ドラムが回転する(洗濯物の重量を検知する)
暫くして「洗い34分」の表示がされる。。
(ここまではいつも通り)
そろそろ給水が開始される時間。。
つないだリレーの音を聞きます。。
「カチカチ」いってますよ!
その際の「4-6端子」の導通も確認します。
正しく短絡されています。
迷いがなくなりました。
↑ ⑪ 洗濯機背面で『給水バルブ』を保持していた金具を加工して、先ほどのバルブを取付けます。
↑ ⑫ 更に給水口の背面パネルを取付けます。
本来の場所にはないところにネジがありますが、許容範囲でしょう。中身は改造されていても、洗濯機の外観は同じです。
(この時までは。)
↑ ⑬ 接続ホースと連結。このバルブもノーマルクローズなので、電気が来ていない時は閉じています。この時点で水漏れがないかを確認します。OK。
↑ ⑭ 先ほどのユニットを洗濯機に固定してみます。
うん、とてもいい。流路がぜんぜんかみ合っていない以外は。
↑ ⑮ 迎えに行く3つのバルブ方からホースを伸ばしています。
背板との間隔が狭く、どう取り廻してもホースが完全につぶれてしまいます。
3つのバルブユニットは合体していて、全て専用配管で繋がっている為、写真の左側に動かすことができません。
↑ ⑯ いろいろと取り回しを考えているうち、狭い洗面所にずっといることが「だんだんイヤ」になり、背面なんて誰も見ないだろう。と思い、天板に穴をあけるよりはと『金切り鋏』で背面の鉄板をザクザク切り、ホースが逃げる穴を2か所開けてみました。
なんだか『自由を手に入れたような気持ち』になってきています。
楽しい。
↑ ⑰ 結果、
『洗濯機に入った水が、なぜかまた洗濯機の後ろから外に出て、また入っていく謎仕様。』
になりましたが、
なんとなくマッドマックスみたいでカッコよくなった
ので良いことにします。
↑ ⑱ 結果は同じはず。
天板をいちいち開けなくても、『給水弁が開いて水が流れているのか?』を『洗濯機の外に出ている透明チューブを見るだけで確認できる機能』もつきました。
背板の鉄板とホースが当たる部分はキケンなので『サランラップの芯』で保護。
↑ ⑲ カプラを戻し、本番用にリレーを「黒い端子台」にセットして各線の圧着端子をつくって、端子台に配線します。
リレーは端子台ごと防水タッパに入れてそこら辺に設置しました。
電源ON!
「パツっ。。」て音がしましたよ。
まだ「運転スタート」押してないよ?
電源が入らなくなりました。
リレー端子台への結線を間違えていました。
なるほど。
AC100Vが出てくる線に、DC12Vを直接入れてしまった。と。
『新しい給水バルブ』が、一瞬動いたような気がするので、洗濯機のなかで電流が一周廻ってしまったようです。
洗濯機に電撃を喰らわせ、
さらにどこかで断線しています。
専用電源にしなければ良かった。
でも、パワー回路には『ヒューズ内蔵』とあります。
元に戻せるかな。
↑ ⑳ パワー回路に絶対の自信があるのか、常人では点検できない場所にありました。
本体重量は63kgあります。
どうやってひっくり返せたのか覚えていません。
↑ ㉑ 『給水弁4』からきている「シロ-シロ」の線。
↑ ㉑ 『電源回路』に焼損はありません。ヒューズも切れていません。
なのにコンデンサはパンクしていません。
いろいろテスタを当ててみて、「動かなくなった原因はこの回路ではない」ような気がしてきます。つまり「シロ-シロ」から入った12V電流はこの回路を飛び越えて、更に迷走しています。
他方の基板、重たい本体上側についていた『表示回路』(操作パネル)ですね。
またひっくり返しましょう。
↑ ㉒ 『表示回路』です。右上の青い部品(電源ボタン)の周辺、焼損しています。
↑ ㉓ 抵抗? 防水加工されていて、導通確認できません。
↑ ㉔ 抵抗は断線していませんでした。つまりココも熱を持ちつつも抵抗を断線させない程度のパワーで乗り越えて、更に回路内を電流が迷走したという事です。
↑ ㉕ 同じ抵抗値のものと交換してみました。
改善せず。\(^o^)/
基盤裏面。
↑ ㉖ どこかのチップコンデンサかICがパンクしています。1つでなく複数かもしれません。
この基板に罪はないのですが、疑いの目で見ると、そこら中のハンダの色が焼損色に見えてきます。。
ふぅ・・・。
「楽しいガーデニング」のことだけ考えて、寝ることにします。
☆どのようなカタチになっても、『63kgのゴミ』ではなく『洗濯機』なので、「家電リサイクル法」により、法規に沿った処分が必要です。
『恥ずかしくて業者に出せなくなってしまったモノ』でも、『家電リサイクル券』を郵便局で購入すれば、個人で処分する事ができます。
迷いを断ち切るのに充分なパワーを持っています。
2021/08/31編集。
お伝えしたかった部分を「見出し」に変更しました。
2021/09/12追記。
交換したその後の洗濯機について掲載しました。