庭先で流しそうめんシステムを組んだらみんな笑顔になった【ポンプ循環式を自作】
どこから話したら良いだろうか。
ひょんなことから家で『流しそうめん機』を作ることになった。
おもちゃではない。そのサイズ全長4m、ポンプ循環式の本気のやつである。
湯掻いたら手軽に食べられるのがそうめんの特徴だと思うんだけど、これが『流しそうめん』となると途端に手間暇がかかることになる。
今回は少しだけ大規模な流しそうめんシステムの作り方を紹介したいと思う。
まずはアイデアを絵に描いてみる。
私が思い描いたのはこうだ。タライに水をため、ポンプで水を引き揚げ、配管を通して4m先に運ぶ。そしてその水が循環し続ける。
とても大袈裟だ。そうめんを流すためだけにこれを庭先でやろうというのだからどうにかしている。でもね、やったら絶対に盛り上がることは確かなんだ。やる前からそんなことは分かりきっている。
そのとき、、「だったらやってみなされ。」神様がそっと私の耳元に囁きかけてくれた。だから私は立ち上がったのだ。
「みんな一度は流しそうめんに憧れたことがあるはずだ。ここに流しそうめんシステムを作ろう。」
まずは基幹となるポンプの選定と実験を開始した。
前回も少し触れたが、ポンプの能力は大き過ぎても小さ過ぎても駄目である。私が目を着けたのは大きめの水槽で使用される40Wの循環ポンプ(水陸両用タイプ)。大きさ的には手のひらサイズの小型ポンプである。
40Wの省電力ながらも揚程(水を引き揚げる能力)が2.4m。これなら配管の高さが大人の身長よりも少々高くても大丈夫だろう。
流量は2,400L/H。
2400Lか。これだけ見ると何かとてつもなく大きな能力のように思うが、毎分に換算するとたかだか40Lだし、毎秒に換算すると0.6L程度である。
たいした事はない。でもこの水量を人間の手で供給し続けるのはとてもしんどいはずだ。だからポンプが役に立つんだね。
ところで揚程(ようてい)という単語を私は今回初めて知った。電動ポンプの能力を理解する為にどうしても必要なワードだったからだ。流しそうめん一つ作るだけでこうして一つの新しい言葉に出会う。そしてこうして自分で調べたことは生きた知識になるんだ。すばらしいことだと思わないかね。
私は感動したよ。
ポンプと塩ビ管を繋ぐ。
さっそく上部の吐出し口に塩ビ管を繋ぎ、家の風呂場で実験。
呼び径16mmの塩ビ管の外径は22mmである。
ポンプの吐出し口の外径も同じ22mmのモノが付属されていた。
つまり内径22mmのソケットがピッタリ収まったので接続。
その後13mmの塩ビ管に繋ぎたかったので変換ソケットで口径を小さくした。
ここまでくれば後は適当な長さでL字に曲げたりすれば良い。
「お!水が出た。良いじゃないか。」と、、この画像だけを見ると簡単に成功した様に思うかもしれないが、ここまでたどり着くにはちょっとひと苦労している。
実は、、、、ホースをたらいに突っ込むだけではポンプは水を吸い込んでくれないのである。衝撃だった。当初空回りするポンプを前に私は途方にくれていたものさ。
本来はね、これ水中ポンプなのでポンプ本体を水に沈めて使うものなのだ。そして水槽から離してホースで繋ぐ場合は水槽よりもポンプを低い位置に配置しなければならない。
なぜか?
それは水の吸込み口に空気が混じっていると、全く水を吸わずに空回りしてしまうからだ。そして空のままモートルポンプを回し続けるとやがて焼けて壊れてしまうのだ。
でもそうは言っても実際に画像で見る限り給水ホースから水を吸上げているじゃないか!
そう思われるかもしれない。
実はこれには秘密がある。
種明かしをすると塩ビ配管の出口から空気を吸上げて、ちょっとした真空を作ってあげているんだ。
すると途端に水を吸上げ始めるのである。
すごい勢いで水が吹き出してくる。
そして一度循環し始めるとずっと水は廻り続けるのである。
ポンプとはそういうものなのである。
ちなみに塩ビ管の先に手動のポンプを繋いで私は真空を作った。
これである。
元々車のオイルチェンジャーとして売られている商品だったが、口が13mmの径だったのでちょうど良いと思い購入した。ハンドルに近いほうが吸込み口である。こいつを配管に繋いでシュコシュコとピストンしてやると配管内がドンドンと真空になってゆく。
タライの中の水がドンドンと引きあがってゆく光景は感動した。
これでこの行程をクリアしたことになる。
そもそもなんでこんな面倒くさいことをしているのかと言えば、タライの中に水中ポンプを入れたくなかったからである。だって食べ物と一緒にポンプが沈んでいたら嫌でしょ?
苦労はした。でも頭を使えば何とかなるのである。人生と一緒だ。
現実はこんな感じである。綺麗なもんでしょ?
48cmのタライにザル入れて、取りこぼしたそうめんをキャッチする仕組みだ。これならポンプ内にそうめんが吸い込まれない。水だけが循環してくれる。
そして氷をたくさんタライの水に浮かべておけば冷たい水が循環する。そうめんは冷えてなければならないのだ。
塩ビ管の色について
つづいて塩ビ配管のダサさを何とかしようと私は思い立った。
なんかね、グレーの配管が剥き出しになっているのが許せなかったのだ。養生シートの上に塩ビ管を並べて、スプレーして着色することにした。
結果、真鍮のように金色に輝きだした。うつくしい。
スプレーする前、正直ゴールドは成金趣味みたいになるんじゃないかとも思ったが、グレーの配管よりかはずっとマシだろう。そう思って決意したのだ。
その結果がこれである。
金色の配管から透明の水が流れ続ける世界。
私が見たかったのはこれだと感じた。子どもたちも歓喜に湧いた。
これからは成金オヤジとして生きてゆこう。そう思い立つぐらいに感動したのは事実だ。
そうめんを流すレーンについて
ちなみにそうめんを流す為のレーンは竹ではなく、樋(とい)にした。樋とは屋根の軒先にあるやつだ。雨水が流れるやつだ。
幅105mm、長さ1.8mのパナソニック製の雨樋だ。2本購入した。
連結すればそれだけで3.6mである。
これは格好いい色だったのでそのまま活用することにした。
竹も迷ったんだけどね。
正直、竹なんてその辺の山に生えているし、ドンドンふえてゆくものだから、伐った方が良いと言われている。でも残念ながらその竹が生えてる山の所有者が私ではなかった。そこのポイントが大きかったと思う。
他にも青竹はカビが生えやすいだとか、節をわざわざハンマーで排除するのが面倒だとか。いろいろな理由があったが、何にせよ『泥棒はいけない』ということに落ち着いた。
さて、もう一回図面を見返してみる。
支柱が必要だな。
ちょうど良いものないかなって思ってたら、ちょっと前に作った鯉のぼりのポールを立てる土台がちょうど良いことに気付いた。と言うより第三者に提案された。
これである。
鯉のぼりを下ろして以降、無用の長物として使いみちに困っていたが、一気に解決である。
配管を支柱にロープで固定する。
いい感じだ。
レーン受けは雨樋用の金具で対応すれば良い。
さて、4mクラスになると、塩ビ配管もだいぶたわむからもう一本支柱が必要だな。
どうしよう?
そう悩んでいたが、こちらのほうはカーポートの梁からロープを使っての吊り下げ方式で対応することにした。
もやい結びで輪っかを作って、トラッカーズヒッチで配管の高さを調整する。
この辺のロープテクはいずれ別の機会に話をしようかな。
遠目から見るとこんな感じになる。
はい、解決。
吊り下げることによって、広々とした空間に見える様になって一挙両得である。良かった。良かった。
これで完成である。
あとは水をしばらく循環させ、塩ビ配管の中の汚れを取り除いた後に、本番にのぞめば良い。
そう!
そうめんだ。そうめんを用意すれば良いのだ。
妻が湯がいてくれたそうめんを見て頬が緩むのを感じた。要はニンマリと笑顔になったということである。
ああ、そうめんが流れた。
当たり前だが嬉しい。
レーン上で取りそこねたそうめんはザルでキャッチ。こんなそうめんでさえも愛おしい。
子どもたち?妻?
もちろん大喜びだったさ。
さあ、流すぞ。どんどん食べようぜ。
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