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レバーの香り

今日も牛レバーを切って焼いて食べた。
切っているときに確信した。
このレバーは、絶対甘い味がする。
においでわかった。

例えるなら
そう、いまは亡き「牛レバ刺し」の香りだ。
口に入れたときに満たされていた、あの香りだ。

ずっと忘れていない。
レバ刺しがあった時代を。
おいしい牛レバ刺しを食べていた頃の記憶を。
ひと切れひと切れ、包丁を入れるたびに、
あの香りが漂ってきた。

豚レバーの香りはまた少し違う。
いつか食べた新鮮な豚レバーは、イカの肝のような香りがした。新鮮なイカで塩辛を仕込んでいるときに感じた、あの香りだ。

本当のレバーは臭くない。
新鮮なレバーは、生肉の状態からいい香りがするのだ。

切ったレバーは、フライパンにごま油をひいて、中火で焼こう。
内部を温めるような感じで、やさしく焼く。
焼きすぎは禁物だ。
ボソボソした食感になってしまう。
目指すは、フォアグラのような食感だ。

たっぷりのおろしニンニクに、ごま油をなみなみと注いで、ピンクソルトをガリガリと削る。
これにつけて食べるのが、私のお気に入りだ。

予想通り、甘くてうまい。
新鮮な牛レバーは、とっても甘いのだ。
ネットリとしてフォアグラのよう。
我ながら、焼き加減も最高だ。

それにしても、甘いってどういうことだ。
血液で塩味えんみがありそうなのに、なぜこんなに甘いんだ。
ここまで甘みを感じる肉部位が、ほかにあっただろうか?
新鮮な牛レバーは、ズバ抜けて甘いのだ。

おいしい薬味も用意しよう。
刻みネギに、ピンクソルトをガリガリ削り、
細挽きコショウとごま油をかける。
トドメのすりゴマも忘れずに。
よく混ぜて、肉に乗せて食べよう。

フッカフカのご飯も炊き上がったぞ。
これで役者は全員そろった。

レバーがおいしい。
それだけで、今日も幸せだ。


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