採用活動と福利厚生
ニュースを見ていたら2021年卒の新卒の離職率が発表されたとか・・・。
なんだかなぁと思いますが、若手採用の厳しさはどの会社も同じですね。
今、関わっている仕事と少し関連があったので書いてみたいと思います。
七五三の3なんだけど・・・
新卒の3年以内の離職は「七五三現象」と昔から言われています。
(社労士試験受けたことある人はおなじみですが)
大学卒の3割は3年以内に離職するということで、これは今に始まったことではありません。
今回、2021年卒の新卒社員の離職率が発表されたそうです。
大卒は・・・34.9%(+2.6P)
ちょっといつもより高いような気がします。
要因としては2021卒は就活がちょうどコロナ禍の真っただ中だったことが挙げられていました。
希望の職に就けなかった学生が多かったこと。企業もリアル面接からWEB面接の移行など過渡期であったことは確かです。
特殊な理由はあるものの、近年で最高値を記録したのだとか。
しかしこれは単なる一過性のものではないような気がします。
転職前提の職業感や退職代行などに代表されるように、私の世代とはガラッと変わって「転職」自体が悪いものという感覚はないのだと思います。
七五三なのですが、上記の表を見ると中小企業ではほぼ半数近くが退職しているという状況です。
私自身も会社員時代は採用活動を仕切っていましたので、この状況はつらすぎます。
これがないと土俵にも上がれない
今関わっている仕事で、先日ある会社の人事の方に採用についてお話を聞く機会がありました。
その会社も若手人材の採用には苦労されていて、ここ2年は採用できていないのだとか。
人材紹介会社から何がいけないか教えてもらったところ
・週休二日ではないこと
・転勤があること
この2点だそうです。そんなこと!!と思いましたが、前提条件としてこの2点はマストなんだそうです。
ニュースを見ていると、退職理由は賃金と待遇面の二つが大きな理由になっているのですが、その他にもう一つ。
成長実感というのは大事な要素であり、ここが示せないともう生き残っていけない時代になったようです。
会社はどう成長させてくれるのですか?
実は数年前まで採用面接をしていた時に、このフレーズが出たら落としていました。
一見、成長意欲が高そうに見えるのですが、結局どう成長するかは会社任せという感じがして、自分がどうなりたいかということが答えられない人が多かったからです。
しかし、これも今は受け入れないといけないようです。
会社は入社してからどういう仕事をして、どういうことができたら次のステップに進めて、そこにいくためにどういう環境を用意しているのか?
社員の成長ステップを定義して、これに応えられない会社は「成長が見えない」ということで選んでもらえないようです。
まあ、相手にとってどうかは別にして、その会社なりの育成の仕組みは明確にしていかないと通用しないのだと思います。
これまでの年功序列のように、とにかく在籍してれば給料が上がるという仕組みはもう崩壊しているので、良くも悪くも自社なりの「ジョブ型雇用」を示す必要があるのだと思います。
そして上の仕事ができるようになるための枠組みは、会社が持たないといけないのです。本人の努力で這い上がってこいと言った途端に、背中を向けられる時代になったのだと思います。
もう一つの視点「福利厚生」
実は先ほどの会社とは「福利厚生」を導入するということで関わっています。
本音を言えば福利厚生を入れたくらいで採用が改善するわけないと思っています。ないよりはあった方がマシですが・・・。
とはいうものの、何社かお話していると福利厚生を具体的に入れたことがないので、どうすれば良いかわからないというケースが多いです。
一時的に助成金が支給されるので、どうしても企業側の視点では「せっかくだから目一杯助成金を使いたい」ということになります。
お金をもらうところに目的が行ってしまうので、そこは注意してサポートしています。
大事な視点は、福利厚生を社内の活性化の手段としてどのように利用するかです。
小さな手段ですが何もないよりは小さな一歩になります。小さな差別化につながります。
先ほどの会社ではウォーキングマシンを入れて自由に使えるようにする。
距離数のデーターを蓄積する。各営業所ごとに競争したら楽しいかな?
という話をされていました。
なかなか社内行事なども敬遠されがちですが、そういう取組につなげて周囲のコミュニケーションが活性化すれば、居心地の良さが上がって働きやすい職場に一歩近づくかもしれませんね。
小さなことですが、とてもよいアイデアだと思いました。
そしてこの取組をしっかり求人票に反映させて、他社との差別化をしてくださいとお伝えしました。
人事・総務の仕事はあらためて幅が広いと感じました。
先ほど書いた「成長過程」の仕組づくりは最重要課題ですが、実行するにはかなりの労力と時間がかかります。
福利厚生という側面から、短時間でできそうなことで脇を固めることも大事な施策だと思います。
そんな人事の方の幅広い活動のサポートをしていきたいとあらためて思いました。