働き続けるなら心の筋力も鍛えたい・・・
前回のブログでロバート・キーガンの成人発達理論をベースに採用してはいけない人について書きました。あらためてこの理論を復習していて、これはシニア世代の働き方にも通じると思い、もう少し深堀してみたいと思います。
成人発達理論、他の段階は?
成人発達理論は年齢を重ねたら成長するというものではないので、年齢に関係なくその段階が人によって違います。人の器みたいなものです。
〇第2段階:自己主導的段階
自分の欲求や感情に基づいて行動する。他者の視点を理解するのが難しい。他者との関係は自己中心的。
〇第3段階:他者依存段階
自分自身の意思決定の基準を持たず、他者や所属する組織の意思決定基準に従う。周囲の期待や規範に従って行動し、自分の意見を表に出すことが難しい。組織やグループの一員としての役割を重視し、協調性が高い。
成人の7割はここに属している
〇第4段階:自律的段階
自分の価値観や信念に基づいて意思決定を行う。自分の意見を明確に持ち、他者に影響されずに行動する。自律的に行動し、リーダーシップを発揮することができる。
成人の2割程度と言われています。自律型人財がここにあたります。
第5段階は省略します。
現場と重ね合わせると
以前に現役世代の部長に、どんなシニア社員だったら働いてほしいのか?と聞きました。
そうすると、
「シニアの方は経験も知識も豊富なので安心して任せられます。いろいろ思うところはあるかもしれないけど、こちらが示している方針に従って黙って手を動かしてくれる人は体が続く限りいてほしいです」と言っていました。
これは第3段階の人ではないかと思います。言われたことは確実にこなしていけるだけの知識や経験はシニアは備えていますから、現場としては使いやすいのだと思います。
第3段階は指示待ちと言われることもありますが、シニアに至ってはこれくらいがちょうどいいのかもしれません。成人の7割がここに該当するとあるので、ほとんどの方が定年後も働くことはできるような気がします。
ただ、能力等を考慮されず年功序列で給与が上がっていた人については、この段階で本来の能力に相当する給料に下がることは仕方ないかなと思います。
問題なのは2or4? 働かないおじさん問題
一方でこんな話も聞きました。
「どんなに知識や経験が豊富で管理職を経験した人でも、自分の考えと違うところに文句を言って騒いだり、そっぽを向いたり、周りの若手を巻き込んでマイナスに引っ張る人は去ってほしいです。でもその人の経験がないと現場が回らないということも事実。ここをどう変えていくかが自分の役割」ということでした。
ここで気を付けないといけないのは、第2段階の人でも知識・スキルは十分に持っているということです。
第2も第4もどちらも自分が主軸になっているので、この違いをしっかり見極める必要があります。
大きな違いは他者との関わりです。
第2段階の場合、他者を自分の欲求や願望を満たすための道具として捉えます。対して第4段階は他者も独自の価値体系があると認識できていて、他者がどんな価値観に基づいて考え、行動しているのかわかっていることが大きな違いです。
他者を独自の価値観を持つ大切な存在であるとみなして敬意を表すことができるのです。
最近、管理職を経験された方、業務の知識・スキルがかなり高いシニアに限って「コミュニケーションに難がある。扱いづらい」などと言われるケースを多く見かけます。
会社側や上司にあたる方の対応にも問題はあるのですが、よく考えてみると第2段階か第4段階の人ではないかと思うようになりました。
これが世に言う「働かないおじさん」なのではないでしょうか。
成果を出すだけの力を持ちながら、自分に軸を置きすぎて上手く働けない。
もったいないです。どうしたら上手く働けるのだろうか?というのが今後の課題テーマです。
能力の高い人ほど「心の筋力」を鍛える
第4段階の人なら良さそうですが、第4段階の人にも限界があるそうです。
それは自分の価値体系に縛られるため枠組みから離れることができず、自分と異なる価値観に基づいた考えや意見をなかなか許容できないので、マネジメントにおいて非協力的な傾向に陥ることがあると本に書かれていました。
そんな中、友人が面白いことを言っていました。
友人は物書きさんなので言葉のチョイスが絶妙です。
第4段階の人でも「心の筋力」が低下して第2段階に落ちていないか?
そんなことを考えました。
体力の低下は仕方ないですが、心まで低下してしまい面倒くさい人にならないように心はしっかり筋力強化したいです。