【読書録】夏季限定トロピカルパフェ事件
はじめに
米沢穂信さんの「夏季限定トロピカルパフェ事件」を読了しましたので感想を書きたいと思います。著者はこの前直木賞を受賞され、映画化、アニメ化されている作品もあるためご存じの方も多いのではないでしょうか?
本作は「小市民シリーズ」の第2作目に当たる作品です。過去の経験から日々を平穏を過ごす「小市民」を目指す、小鳩くんと小山内さんを中心にした物語です。2作目のからの紹介ではありますが、時期的にはぴったりの作品なので記事にすることにしました。
人が死なないミステリー
本作に限らず小市民シリーズは殺人事件等悲惨な事件が起きない、いわゆる日常の謎に分類されるシリーズです。(刑事事件は起きます)著者の代表作である「氷菓」をはじめとする「古典部シリーズ」や「本と鍵の季節」なども日常の謎に分類される作品です。なので人が亡くなるのが苦手でミステリーを読まれない方にもオススメです。いわゆる本格ミステリーと違い日常の謎系の作品は小さなひっかかりから徐々に展開していくところが魅力であると思います。
本作の中で最も日常の謎として面白いと感じたのは第1章の「シャルロットだけはぼくのもの」です。この話の謎はケーキを1個多く食べてしまったことをバレないようにするにはどうすればいいか?というものです。このように子供頃1度は考えたことのあるようなものが謎として扱う著者の筆力に脱帽しました。真夏のエアコンが効いた部屋が舞台のため、この時期家で読むのにぴったりだと思います。
甘くない青春
高校生の男女が主人公であり日常の謎と聞くと少し恋愛要素も入っているのかな?と思う方もいらっしゃるかと思います。しかし本作に恋愛要素はほとんどありません。主人公の2人は自分たちに恋愛感情はないと断言しています。一瞬おや?となるシーンはあるもののあくまで「互恵関係」であるとしています。この恋愛に行きそうで行かないバランス感が絶妙であると感じました。次作以降、ここがどうなっていくかも見どころだと思います。
さいごに
今回は私の好きな作家の一人である米澤穂信さんの作品を紹介しました。基本的にミステリーばかり読むので今後もミステリーを中心に感想を書くことになると思います。米澤さん以外にも好きな作家さんはたくさんいるのでどんどん紹介していきたいです!!
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