お正月 餡餅白味噌
餡餅白味噌雑煮をメインで作るのは、今年が初めてだった。
正月を実家で過ごすことが殆どなかった為に、何十年ぶりの香川のお正月を迎えるわたくし。母が作ったものをいただくことがもっぱらだったので、このたびは、見様見真似の調理である。
婚家の雑煮は白餅のおすましバージョン。入っている具材も全く異なる。わたくしはこれが結構気に入っていた。カツオナというほろ苦な青菜も仕上げに加えていた。
義母さんといっしょに作って、家族に食べさせて何十年。今や私の好みは、こちらの方である。ずっとこの雑煮をつくり、口にしてきた。
ちなみに、独身時代、香川県民のこの餡餅白味噌は、全く合わなかった。兵庫県生まれの父も、毎年のように新年早々、この雑煮に文句をつけていた。なので、父の不平不満と連動する記憶もあいまっての、好みでないイメージが、わたくしにも定着したのかもしれない。
が、生粋の香川県ラバーの母は、父になんと言われようと、この郷土雑煮を堅持していた。曰く、白味噌でなければ、物足りないそうだ。もちろん餡餅でなければ、雑煮に非ずと断言するほどである。
想像するに、砂糖や米多めの白味噌、小豆など贅沢な食材に恵まれた香川では、庶民も正月には砂糖を使った餡餅をごちそうとして食べられていたということである。豊かな土地柄を反映しているとも言えるだろう。
そんな素人考えを展開しながら、香川の雑煮を楽しみにしている母に、餡餅白味噌で拵える。人参も大根も、薄い輪切りに。「いろんなゴタゴタも丸く治める」願いをダジャレに込めて。祖母はこれにあぶった青のりをのせていたと、母に聞いた。祖母の雑煮は食べた記憶がないが、きっとそれが古くからのレシピなんだろうと思う。
何もかもが甘口な、食べているうちに餅からはみ出た餡が白味噌に混じって、何とも言えない色合いのグラデーションを御椀の中で拡げる香川の雑煮。
来県の方がチャレンジされたいならば、↓こちらのラインナップを参考になさっていただければと思う。
いつかわたくしもコレが美味しい、懐かしいと心から思える日が来るのだろうか?と自らに問いかけつつ、雑煮を食卓に用意するのだ。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。和風慶雲。