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マイクロノベル集「ただのTシャツだと思ったか?」

マイクロノベルNo.1948
その人物が着ているTシャツには『ドーム』と書かれていた。「古い話さ。誰もがこのシャツを見て笑った時代があった。そう、ここにはかつてドームがあったのだ。しかし、走っているうちに平らな腹となったのだ。君なら着こなせるだろう。安くするよ」いらん。


マイクロノベルNo.1949
俺は記憶探偵。他人の記憶に潜り込んで事件を探るのさ。しかし記憶とは曖昧なもの……。「犯人は猫でした」「いいや、犬だ」「タヌキだよ」「ありゃアライグマじゃ!」刑事さん、犯人が着ているTシャツがどうしても一致しないんですよ。顔は同じなのに。


マイクロノベルNo.1950
閻魔大王の御前である。その匂いは一体なんだ? 「あなたは秋刀魚が大好きだったね。本当は天国まで持って行かせてあげたいけど、これで我慢してね……と、秋刀魚が描かれた、匂い付きのTシャツを着せてもらったんです」嗅いでいい? 「白飯もつけます?」



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