見出し画像

マイクロノベル集 345「そこにいる神様の話」

マイクロノベルNo.1881
「塔の上に立つあの針はなんだ」あれは避雷針。雷が必ず落ちる仕掛けだよ。神社で見知らぬ娘と話したのが数日前。同じ場所に真新しい箸が落ちていた。ここの御神木は過去に落雷で消失し、そして先日、境内の草木が焼けた。まるで雷神がのたうった痕のように。


マイクロノベルNo.1882
鳥居の前で女の子がジュースを飲んでいる。「小賢しい瓶入りの水ばかり並べおって。おい、貴様。それは蜜柑か。それとも八朔か」檸檬です。切って瓶に入れると美味しい。「ふん」その後、レモン農園は好調。縁あって結婚した妻は酔うと空瓶に愚痴る癖がある。


マイクロノベルNo.1883
突然の大雨。いわゆるゲリラ豪雨ってやつ。雨宿りの仲間は雨合羽の男。「この雨はいつまで降り続く?」スマホで雨雲レーダーを確認。十分以上は確実だな。「ならば充分だ」男は雨の中へと駆け出した。この日、二千年ぶりに龍を目撃したという通報が相次いだ。




いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集