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マイクロノベル集 348「長い前髪は誰のもの?」

マイクロノベルNo.1893
「もしもし。わたし、前髪しかない幸運の女神。いま、あなたの最寄り駅から三つ離れた駅にいるの。三分後の快速に乗って会いに行くからね」くそっ、自転車じゃ間に合わない! どうする!? 「ヘイ、乗っていきな!」ありがとう、前髪だけがないおっちゃん!


マイクロノベルNo.1894
頭髪の中で、とりわけ前髪が長かったとする。邪魔だからとカットするのは悪手だ。そもそも前髪には風を感知する機能がある。これは原始時代、矢で狩猟をする際に必要とされたのだ。つまり人類は狩猟民族で、前髪がない我々は進化した人類なのだ。あがめよ。


マイクロノベルNo.1895
私は髪を切る女。恋に破れたからじゃない。あの人に心配してもらうために切るのよ。どうしたの、って。でも、普通に切ってもな。つまんないよな。左右対称をやめてみるかな? どうせなら色も……。「どうしたんだ、お前」あなたの生徒指導を受けに来ました。



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