マイクロノベル集 313「言葉を乱さないで」
No.1711
「あああああ!」ライブ会場に轟く言葉をなくしたファンの絶叫。かのバベルの塔は天に近づきすぎたことで神の怒りに触れて破壊された。もしや最前列の連中はアイドルに近づきすぎてバベられたか? 「踏んでくださーい!」大丈夫、もっと頭が高い奴らがいる。
No.1712
「へい、らっしゃい。荒物屋です」ぼくは戸惑う。荒物屋ってなんだろう? 「なんでも売ってる店だよ」コンビニよりも? 「コンビニってなに?」ジュースとかお菓子とか、タバコとか、なんでも売ってる店だよ。「それって、角店じゃない?」角店ってなに?
No.1713
腹を割って話そうじゃないか。このプリンはね、ぼくがおやつにとっておいたんだ。なぜロボット掃除機のお前が食べたんだ? 「食べてません」嘘だ。「食べてません」ブラシにカラメルがついてるぞ。「すっごく美味しかった! 食べます?」腹を開けるな。
No.1714
『赤い紙、青い紙』っていう怪談があるでしょ。ぼく、本当に見ちゃったんだ。「……そこにいるのは誰だ」えっ。「お前一人か」すると、天井から逆さまになった女の子の幽霊が現れたんだ! 「私の眉毛はある?」はい、ちゃんと描いてあります。「ありがとう」
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