マイクロノベル集「新しい始まり」
マイクロノベルNo.2000
いいかい、ミキちゃん。人間の頭には宇宙が入っているんだ。君が眠っている間、ぼくたちぬいぐるみは宇宙を観察しているんだよ。ほんとうだって。きのうの夜は、超新星を見たよ。どーっん、ってね、新しい星が生まれたのさ。ハッピーバースデー、ミキちゃん。
マイクロノベルNo.2001
なにを見ようと思ったんだっけ? せっかくここが夢の中だと気付けたんだし。自分で夢を作ろう、って。「サンプルを用意してあげたよ。ここから選んではどうだい?」わかってないなあ、自分で作るのが楽しいのっ。とりあえず「新たな物語はここから始まる」。
マイクロノベルNo.2002
橋を渡ろうとしたら、反対側からご機嫌な女が現れた。見蕩れるような千鳥足。まるで足が浮いているみたい。「その水、分けて下さる?」古風な仕草で水を飲み干し、川に身を投げた。この橋はどんな大雨でも流されず、雨の日には女の歌声が聞こえてくるそうだ。