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同じ釜の飯を食い、絆を深める——アットホームな雰囲気漂う名大相撲部

“角界”を舞台にした配信ドラマが世界中で話題を集め、“スージョ”と呼ばれる女性ファンも増えている日本の国技「相撲」。そんな世情を反映してかどうか分かりませんが、名大相撲部は選手と同じくらいマネージャーが在籍し、稽古場には厳しさの中にもアットホームな空気が漂います。様々なバックグラウンドを持ったメンバーが“同じ釜の飯”を食い一致団結し、9月15日に開催される七大戦に挑みます。

ハードな稽古のあとはマネージャーが作る「ちゃんこ」でコミュニケーション

夏休み中のとある平日、東山キャンパスの稽古場で、まわしを締めた部員たちが四股(しこ)を踏んでいました。回数を重ねるごとに身体から汗がにじみ、呼吸はだんだん荒くなっていきます。部員の林誠也さん(工学研究科2年)は「足腰を鍛える四股は相撲の基本。稽古で必ず行うメニューですが、けっこうキツいです」と息を弾ませます。四股踏みの後は腰を落として地面から足を離さずに歩く「すり足」や、当たりの強さや出足を鍛える「ぶつかり稽古」、バーベルを使った筋力トレーニングなどタフなメニューが続きます。

稽古場の土俵を囲んで四股を踏む部員ら。新入部員には、まわしをプレゼント!
片足で体重を支える四股踏みは回数を重ねるとかなりハード

稽古が終わると、マネージャーが作る「ちゃんこ」を部員全員で食べるのが相撲部の決まり。主将の横井睦己さん(理学部3年)は「新歓では稽古体験の後に、特製ちゃんこを振る舞っています。1年生は部費が免除されているので無料で食べられます。僕はちゃんこにつられて入りました」と入部のきっかけを話します。

22合炊きの炊飯器が空っぽに!体重が20キロ増えた部員も

白米は一人「2合」食べるそうで、部員がそろうときは22合炊きの炊飯器が空になることも。相撲部に入って2年ほどで体重が20キロ増えたという林さんは「強くなるためにはたくさん食べて、身体を大きくしないと」と、食事も稽古の一つだと話します。みんなでちゃんこを食べることで話す機会が自然と増え、部員同士が仲良くなれるのも相撲部の魅力。どこかアットホームな雰囲気を感じるのは「ちゃんこ」のおかげでしょう。

マネージャーが特大鍋で作る、ちゃんこ

部員19名のうち9名がマネージャー。女子相撲経験者がコーチ役も

相撲部には19名が所属し、そのうちマネージャーは9名。その中の一人、神山智恵さん(文学部4年)は、小学生から高校卒業まで“力士”として相撲に打ち込んでいた経歴の持ち主で、部員の誰よりも競技歴が長いとのこと。指導者の祖父、おじ、インターハイに出場した弟など、相撲一家で育ちました。稽古中にダンベルで腕を鍛えていた部員に「まわしをつかんで離さないためには小指の力が必要。手の小指を意識してみて」と声を掛けるなど、豊富な経験と知識を生かして実践的なアドバイスをしていました。

「名大に相撲部があるのは入学してから知りました。また相撲と関われて良かった」と
話す神山さん。空き時間には部員と一緒にトレーニングに励みます

ブラジルから言語学を学ぶため名大に留学してきたアルベスネベス・エゴンルカスさん(人文学研究科2年)は、神山さんがスカウトした一人。たまたま講義で一緒になったエゴンさんを見て「絶対相撲に向いてる!」と思い、声を掛けたそう。もともとトレーニングが好きだったエゴンさんは、身体づくりに良いと思い入部を決めました。「ブラジルには“部活”というものがありません。日本の文化を体験する意味でも、部活に入ってみたかったです。部のみんなと家族のような関係になれてうれしい」(エゴンさん)と、神山さんに感謝しています。

「強くなりたいという気持ちがあるから、つらい稽古に耐えられる」と、
バーベルで身体を鍛えるエゴンさん

柔道から相撲へ転身した林さん。昨年は七大戦の個人戦で優勝!

昨年の七大戦、個人戦2部門(85キロ以上級、無差別級)で優勝した大学院生の林さん。実は、学部生時代は柔道部員だったという異色の経歴です。4年生の当時、七大戦の出場メンバーが足りなかった相撲部から助っ人を頼まれ、相撲競技に出ることになります。そのときに、稽古をすればしただけ強くなれる相撲に魅せられ、そのまま相撲部へ入部。恵まれた体格と柔道経験を生かしながら、選手として着実に力をつけ、七大戦に続いて「全国国公立大学対抗相撲大会」でも優勝を果たしました。相撲歴は2年ほどですが、神山さんが「逸材」と言うほど成長を遂げています。「低い姿勢を身体に叩き込ませるように、稽古を重ねてきました。個人戦での“2連覇”が目標です」と気合い十分です。

林さんの得意技は「がぶり寄り」。
まわしをつかみ、腰を上下に揺り動かしながら相手を押し込みます

林さんのライバルとしてしのぎを削るのが、留学生のエゴンさん。193センチ・108キロという屈強な身体を武器に、名大相撲部を引っ張ります。持ち前のパワーでまわしを引きつけて相手の姿勢を崩し、国立大屈指の実力者の林さんと互角の勝負をしています。まだ優勝経験はなく、個人戦での優勝を目標にしていますが、「林さんとは戦いたくないですね(笑)」とエゴンさん。林さんが今年の七大戦で引退するため「団体戦は絶対に優勝したい」(エゴンさん)と、団体戦での優勝も目標に掲げています。

昨年の七大戦は団体戦で準優勝。5人制の総当たり戦で順位が決まります
三重県の答志島での合宿の様子。北海道大学との親交が深く、北海道で合宿することも。
合宿や休日の稽古にはOBも参加します

名古屋大学 相撲部「七大戦」試合日程
9月15日(日)
【大会会場】パロマ瑞穂相撲場

名古屋大学 相撲部 Information
部員数/22名
活動場所/名大 相撲場
活動日/火、木、土
 
ホームページ
https://meidai-sumo.club/
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Instagram
https://www.instagram.com/nu_sumosumo/

【追記】
七大戦 相撲・最終順位
1位 北海道大学
2位 名古屋大学
3位 京都大学
4位 東北大学
5位 東京大学

主将、横井睦己さんの大会終了後コメント:
「同点決勝で2位という悔しい結果に終わりましたが、選手はそれぞれ自分の良さを出して勝った試合が多く、とても良い大会だったと思います。来年も所属するメンバーが多いので、七大戦でリベンジできるよう頑張りたいです!」

▼▽▼七大戦についての紹介記事はこちら▼▽▼

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