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夢のような日。

「今日は変な事が起こる日だなぁ」
という日がたまーにある。
それが今日だった。

正月中にたまったタオルを洗濯して、近所のコインランドリーに持って行った。
冬は外に干してもなかなか乾かないので、タオルはほとんどコインランドリーの乾燥機に任せる事にしている。
いつも300円入れて30分乾燥機を回す。その間近所の本屋に行って時間をつぶすのがルーティンだ。

今日もいつもの乾燥機にタオルを入れてドアを閉めた。
100円玉を3枚入れる。
スマートウォッチのタイマーを30分セット…と思った所で
(なんかおかしいなぁ)
と気づいた。

乾燥機がウンともスンとも言わない。
「え?」
いつもなら100円を入れただけでウィーーンとタオルが回って乾燥が始まるのに。

返金ボタンを押してみると、「カチャン」と100円玉が1枚出てきた。
もう一度返金ボタンを押してみる。「カチャン」ともう1枚100円玉が出てきた。
私が入れたのは300円。もう1枚100円玉がこの機械の中に入っている。
もう一度返金ボタンを押してみる。
…ウンともスンとも言わない。
100円分乾燥してくれる素振りもない。
「え〜〜」

隣の乾燥機に移ろうかと思ったけど、そしたら次にこの乾燥機を使う人が困るだろうし、私の100円玉がまだ1枚ここに入っているのだ。困った。

店内を見回して「お困りの際はこちらへご連絡ください 000-000-0000」と書かれた番号を見つけて電話してみる。
まだ正月休みなのか出ない。2度かけ直したけどまだ出ない。
コインランドリーの本部のサイトを検索して問い合わせ電話番号に電話してみた。長いコールの後にやっと女性が出てくれた。

ことの経緯を説明したら、
「遠隔で100円分回してみますね。」
と言われた。そんな機能があるのか!知らなかった。
今までウンともスンとも言わなかった乾燥機がウィーーンと回転を始めた。
「あ、回りました。表示も10分って点いてます。」
そう伝えたら、残りの200円を入れてみるように言われた。
200円入れてみるも、やはり「カチャンカチャン」と落ちてきてしまってどうにもならない。
「う〜ん。」
電話で話しながらアレやコレやしている私の横で、親子なのか?突如ケンカが始まった。

「今喋っとるだろ 途中で口挟むな」
「だから、教えてやってるんだろ」
「それは昔の事だろいつまでも言うんじゃねーよ前向けよ」
(えらい大きな声で、だいの大人がケンカするかねぇ)とこっちも気が気じゃない。

「ちょっと投入口を叩いてみてもらえますか?コインが詰まってるのかもしれない。」
と電話の女性が言うので、
ドンドンと投入口を叩いてみた。何も起こらない。
隣では相変わらず親子?(女性50〜60代?男性30〜40代?)が大きな声でケンカしている。

(…カオスだ。)

そう思いながら電話を握り直した。

結局遠隔で300円分乾燥機を回してもらえる事になり、指定されたコインロッカーに残りの200円は置いて支払う事になった。

その間も親子の大きな声は止まない。
しかしよく観察すると2人ともなんとなく笑顔になっている。
なにそれ。
笑ってんの?怒ってんの?そういう喋り方なの??

2人はケンカ口調のままコインランドリーを出て行った。

私もコインランドリーを出て本屋で時間を潰す事にした。

30分後に戻ってきたら、乾燥機の残り時間表示があと15分となっていた。
(これは管理会社さんからのサービス?やりとりの間違い?差額は200円で良かったの?あんまり長時間回してタオルが傷んだら嫌だなぁ。)
などといろんな事を考えつつ、残りの15分待った。
途中でドアを開けていいものかわからなかったからだ。

「ピー」
っと鳴って乾燥が終わった。
ホカホカのタオルをカートに乗せて畳み台に持って行った所で例のケンカ親子の母の方が帰ってきた。

彼女は乾燥機から服を直接畳み台に運んで来た。
カートを使わないから服が床に落ちる。
(あぁ、気になる。)
横目で見てるとウェットティッシュみたいな不織布が数枚、乾いた服に付いてるのが見えた。
(ガサツだ…)
と思ってしまったが、畳み方はとっても丁寧だった。

ああわからない。
私は夢を見ているのか。

私がとっても余計なお世話なのだけど、なんか変な日だった。

現実味がほしくてスタバでカモミールティーラテのトールを買った。
いつもの甘くておいしい味がした。

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