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Gloomy_Weasel
2022年2月5日 15:39
――冷たい月花の冠を頂いて、彼女は永遠に眠り続ける――ある日突然、二度と目覚めない眠りに就く――。そんな奇病が蔓延した世界で生きる真波は、ある決断を迫られていた。取るべきものは、己の責務か、それとも……。悪夢の目覚め 夢の中で、真波は彼女と踊っていた。舞台の上、そろいの衣装を着て、互いに見つめ合いながら、互いの呼吸を読み合いながら。 頭の中は冷たく冴えわたっているのに、胸の内は熱く
2021年1月16日 23:03
――神仏を探せ、お前の神仏を―― その腕をいつまでも師匠に認めてもらえず、くすぶっている面打ちの千秋。 ある日、用事で下った村の鎮守で、見事な面と、不思議な少女に出会う。 その醜さゆえに面を付けなければ人前に出られないという少女に、割れた面の代わりのものを打つことを約束したが、思うような面はなかなかできなかった。 室町時代辺りをイメージした,ちょっと不思議なホラーテイストの創作小説です
2021年1月10日 19:59
――私は毎日、夕方になると、ある言葉を唱えなければいけない。でないと、「あの世」に迷いこんでしまうから――オリジナルの短編小説です.よろしければお付き合いを.1「近藤さん、一緒に帰ろう」 そう言われ、私はきょとんとして相手の顔を見やった。同じクラスで、一緒に体育祭実行委員をやっている男子生徒だ。ついさっきまで委員の話し合いをしていて、やっと解放されたところだった。――ごめん。悪いけど、
2020年12月2日 18:45
――世の中には「自分さえ知っていればいいこと」もあるの――ある日、押入れの奥に見つけた文箱。「都忘れ」の香りを閉じ込めた小さな箱の中には、今は亡き祖母の「秘め事」が仕舞い込まれていた。短い溜め息のような,他愛無い短編ですが、よろしければお付き合いを。1 ――拝啓 秋立つとは申せ、残暑厳しき折から、いかがお過ごしでしょうか。―― そんな古風な書き出しで始まる祖母の手紙を見つけた
2020年10月14日 17:45
「お祭り、案内して欲しいな」美女と評判の担任教師から言われた思いがけない一言に心をかき乱され、俺は何も言えずにその場から逃げ出した。そして夏休み、思いがけない場所で出合った彼女に、思いを打ち明けるが……?一筋縄ではいかない、最初の一口だけちょっと甘くて、あとはとっても苦い青春譚。1 ――何かをしたい者は手段を見つけ、何もしたくない者は言い訳を見つける―― そんな諺がどこかの国にあったな
2020年10月9日 21:22
「あと5分もある」 そんな呟きが隣から聞こえて、チラリとそちらを見やった。上品なラベンダー色のワンピースをまとった女性が、ポットから自分のカップへお茶を注いでいる。 平日の昼下がりの喫茶店には、商談中のサラリーマンや、一目でフリーランスのライターか何かと分かる若い男、そして自分と、一つ空けた隣の一人用のテーブル席にいるその女性しかいなかった。――どうせ子供のいない有閑マダムだろう。優雅なご身