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PIWIワインの売り方を考える

オレンジワイン、ナチュラルワインに続くワイン業界のトレンドとしてPIWI (Pilzwiderstandsfähige Rebsorten: カビ菌耐性ブドウ品種) が入るのかどうかに注目が集まっています。

しばらく前からワイナリー関係者の間ではPIWIが話題の中心になることが増えてきていましたが、そうした機会が昨年後半から今年に入って一気に増加しています。PIWIを推進する団体が複数立ち上げられたほか、生産者のためのシンポジウムでもメインテーマに設定され、情報の共有が進められています。

ワイン造りの現場において、昨今の気候変動の影響はまさに待ったなしの大きなリスクです。冬の暖冬化とそれに伴うブドウの休眠期間の短期化、夏場の異常な気温と乾燥、収穫期間近に振り続ける雨。こうした異常な状態はすでに慣例化しつつあり、異常ではなく恒例と受け止められるようになってきつつあります。それと同時に、従来のブドウ品種を使って従来のスタイルのワインを造り上げることの限界が視界の片隅に垣間見えるようにもなってきました。

また昨今の各種資材価格の高騰、ワイン造りの現場における人的労働力の確保の困難化、そしてSDGsなどに代表される社会的要請を背景に、ブドウの防除もワイナリーの頭を悩ませる大きな要因となっています。

ブドウ栽培において防除は欠かすことのできない作業の1つであり、ブドウ栽培における大きなコスト要因の1つでもあります。特にここ数年は今までの伝統的ともいえる気候経過のパターンとは違った天候を経験するようになり、防除の重要性がより大きくなっています。いまや毎年行われるワインの値上げの理由の1つに防除にかかるコストの回収が含まれているほか、この状況に対応するために長年維持してきた有機栽培の認証を返上せざるを得ないところに追い込まれる場合さえあります。天候の変化はブドウ栽培の現場を時代の要請するところとは正反対の方向に連れて行こうとしています。

そうしたなかでPIWIはうまくすれば状況の一発逆転を狙える切り札のように受け取られ始めています。またそのような売り込みも多く目にするようになってきました。「ワインの未来」というキャッチフレーズなどはまさにその代表的なものです。今の時代にPIWIが注目されるようになってきているのは、ある種の必然といえます。

以前、PIWIにはワインの品質の面から不満が持たれていました。しかし新世代の開発の進展と共にそうした不満の原因は解消されつつあり、生産者にとっては植え替えに伴うリスクよりもメリットが大きい存在へと変わってきています。昨今の急激なPIWI品種の栽培面積の拡大はそうした事情を裏付けているとも言えます。

栽培の面からはPIWI品種への切り替え難易度が大きく下がった一方で、販売の面にはまだ依然として大きな課題が残っているとされています。この記事ではPIWI品種から造られたワインの販売に注目していきます。

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