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ナチュラルワインとは何かをもっと簡単にまとめてみる
最近ClubhouseというSNS上でナチュラルワインについて話しているroomをよく見かけます。
そうしたroomでそれなりの頻度で出てくる質問が、「ナチュラルワインってどんなもの?」というもの。でも、ナチュラルワインの説明って意外なまでに面倒くさくて、あまりに簡単にしてしまうと逆に勘違いを生むことになるためか、あまりしっかりと説明される機会は少ないように思えました。
それならナチュラルワインがどういうなのかだけを説明するためのroomを立ち上げてみても面白いのでは、という発想のもと、先日やってみました。
改めて
— Nagi@ドイツでワイン醸造家 (@Gensyo) February 11, 2021
最近、頻繁に耳にするワード #ナチュラルワイン
同じくらい頻繁に、その素性に関する質問の声も聞きます
そこでこれがどういうものなのか、1時間ほどでclubhouse上で話してみようかと思います
今週の土曜日、13日の日本時間21時からの予定です
お時間ある方は覗いてみてください pic.twitter.com/76nZbQAxOJ
ただ1人できっちり整理しながら話し通す自信がなかったので、頼れるモデレーター、ヒマワイン (@hima_wine) さんにもご参加いただいての開催にさせていただきました。
ヒマワインさんの見事な采配のもと、時間ぴったりで必要事項を話しきって無事閉幕。予想を大きく超える人数の方に聴きに来ていただくことができました。ヒマワインさん、本当にありがとうございました。
Nagi さん(@Gensyo )主催、ヒマワインがモデレーターとして参加したClubhouse「1時間でナチュラルワインって何かを話してみる」お聞きくださったみなさん、ありがとうございました! いやー勉強になった! Nagiさんには2月20日22時からのClubhouseワイン会#2にもお越しいただく予定です。お楽しみに!
— ヒマワイン (@hima_wine) February 13, 2021
そうはいってもroomを終えて改めて振り返ってみると、もう少しまとめることもできたのではないかと思える点もあったため、ここで改めてナチュラルワインをもっともっと簡単にまとめてみたいと思います。
ちなみに当日お話しさせていただいた内容はNagi's wineworldに掲載している幾つかの記事をまとめたものですので、完全版はそちらを参考にしてください。
ナチュラルワインはなぜナチュラル?
今回のお話をさせていただいてる時にとあるワインスクールの有名講師である富田 (@tomiwine) さんがこんなTweetをしてくださいました。
#Clubhouse で今 @Gensyo さんのお話を聞きつつ
— 富田葉子🍷🎤✨ (@tomiwine) February 13, 2021
私たちがADVの初級の講座でナチュール的なのを伝えるときってざっくりこういう感じなんですが、Twitterの皆様の感覚でもしっくりきますかね・・・?🤔
(ナチュラルワインと自然派ワインの言葉の定義もちょっと違うんだよねと思いつつ大きな意味で) pic.twitter.com/4UdWVcnW4R
なるほど、さすがとてもわかりやすい。確かにこうしてまとめてあげた方が初心者の方にはわかりやすいですね。勉強になります。
さて、確かに自然派ワインとかナチュラルワインというものをざっくりまとめると、
「有機栽培したブドウを使って、醸造における人為的介入を最小限度に留めたワイン」です。
これが最初の段階のナチュラルワインのまとめです。まさに富田さんの資料のとおりですね。
ちなみに「有機栽培したブドウ」が条件なので、ビオロジック認証をもっていることやビオディナミ農法を採用していることはナチュラルワインを造るための十分条件ではありますが、必要条件ではない点には注意が必要です。
ビオ認証ワイン、ビオディナミ認証ワインがいつもナチュラルワインとは限りませんし、ナチュラルワインがいつでもビオ認証ワインやビオディナミ認証のワインということではありません。
使っているブドウが化学肥料や化学合成農薬を使用しない有機農法で栽培されたブドウだから、醸造段階で人為的な介入を最小限しかしないから、このワインは「ナチュラル」と呼ばれるのです。
ナチュラルの意味を補足しよう
さて第一段階のまとめが終わったところで、ここに少し意味を補足します。いわば中級者の方向けのまとめです。
人によって言葉の受け取り方は様々です。ですので「ナチュラル」と聞いた時に、人の手が一切介入しないアマゾンの奥地の大自然のような「ナチュラル」を想像する方がいても不思議ではありません。
しかし少なくとも本質的な「ナチュラルワイン」はそのような自然を想定していません。頭にあるのは、もう少し管理された自然です。
里山のようなイメージです。
もしくはちょっと女性のお化粧を想像してみてください。ナチュラルメイクという言葉がありますが、これはメイクをしていない、という意味ではないですよね。ナチュラルっぽく見えるけれど、メイクされているメイク、という意味です。ナチュラルメイクと聞いて、ノーメイクのことだと思う方はいらっしゃらないと思います。
ナチュラルワインもこれと同じです。
ナチュラルだからすっぴんでいいんだ、とはなりません。だからこそ、人為的介入を「最小限にした」ワイン、と言われているのです。決して「人為的介入を禁止した」ワインではないのです。
「最小限にした」の中には本当に必要がなかったので「結果として介入しなかった」は含まれますが、「意図して絶対に介入しない」という強い意志は含みません。要注意です。
つまりナチュラルワインとは、「有機栽培したブドウを使って、しっかりと管理された環境下において醸造における人為的介入を必要最小限に留めたワイン」のこと。これが第二段階のまとめになります。
「管理」の意味を理解しよう
第二段階までナチュラルワインをまとめて来ました。いよいよここから最後のまとめに入ります。いわば上級者の方向けのまとめ、ナチュラルワインの本当の理解につながるまとめです。
とはいっても別に難しいことではありません。基本となる考えは、「ナチュラルワインでもオフはオフ」。これです。
ここでいうオフとは、オフフレーバーといわれる欠陥臭をはじめとしたワインの「欠陥」のことです。
ナチュラルワインといえど、ワインはワイン。ワインとしての欠陥があればそれは欠陥である、という意味ですね。ちょっと面倒臭い言い回しですが、2, 3回声に出して読んでみていただけると納得していただけるのではないかと思います。
ワインにおける欠陥は多くの場合、微生物がその原因となります。
この微生物には収穫したブドウにもとから付着しているものもあれば、発酵中や発酵後に混ざりこんでくるものもあります。こうした微生物のきちんと管理することがワイン造りではとても重要です。
こうした微生物を管理するための手段の一つがSO2、酸化防止剤などとも呼ばれる二酸化硫黄です。そして、ナチュラルワインにおいても二酸化硫黄の使用は認められています。
第二段階の時に書いた通り、ナチュラルワインはアマゾンの奥地にある人跡未踏の大自然なワインではなく、ノンメイクのように見せているけれどもメイクされたナチュラルメイクなワインです。なので、使っていいのです。二酸化硫黄。人工培養酵母の利用など一部を除けば、ほかのこともしていいのです。基本的には。
Clubhouseでお話をさせていただいた時にもしつこいくらいに繰り返してしまったのですが、ナチュラルワイン = 何かを使っても触ってもいけない自然任せにしてできるワイン、ではありません。
ナチュラルワインとは、収穫してきたブドウや果汁に直接手を出さなくてもその周辺の環境を管理して管理して、管理し尽くして最終的に人がほとんど介入しなくてもいいレベルで造りあげるワインのことです。
ブドウを取ってきて潰してその辺に置いておいてできたワインのことをナチュラルワインとは本来いいません。ここをしっかりと知っておくことがとにかく大事です。
今回のまとめ | 高品質のワインはナチュラルによっていく
さて、ここまでナチュラルワインとは何かを三段階にわけてまとめてきました。なんとなくでも、ナチュラルワインってどんなものか、お分りいただけたでしょうか?
もっと詳しくきちんとしたルールを知りたい方はぜひ冒頭にリンクを張った各種記事をご覧ください。細かいことまであれこれと書いてあります。
ナチュラルワインにはまだ公的な定義付けがないため、人によっていうことが違っていることも多々あります。しかしどんな場合でも基本は、ワインとしてダメなものはナチュラルワインであってもダメ。これです。
高品質のブドウを使ってしっかりと丁寧に造られたワインはその過程において、人の手の介入をほとんど必要としません。本当に高品質なワインはそれがナチュラルワインであろうとなかろうと、自然と造りはナチュラルな方向によっていきます。
本当に美味しい食材は味付けをほとんど必要としないけれど、その裏では丁寧な仕事を要求するのと同じことです。
これさえ知っておいていただければ、ナチュラルワインへの理解もしやすくなるのではないでしょうか。
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