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高く見えるワインが高くなるという歪み

ワインを飲んでいればいつかどこかで必ず直面するのがワインの価格は高いのか安いのか論争ではないでしょうか。なぜ安ワインと呼ばれるワインは安いのか、なぜ一部のワインはすでに飲み物とは思えないような値段がつけられているのか。そもそもそうした価格の根拠はなんなのか。考え出したらキリがないテーマです。

ワインに限らず製品の価格を決める1つの重要な要素が原価です。その製品を作るためにかかったコストは原則として回収されなければならないものですから、販売価格は基本的にはその原価を上回るものとなります。つまり、ワインにつけられた価格の正当性を知りたければそのワインを造るのにかかった原価が分かればいいじゃないか、そう考える方は少なくないと思います。実際にそうした質問を聞くこともまったくないわけではありません。

一方でこの考え方はなかなか特殊です。世の中を見回してみたときに製造原価が明らかにされているような製品はまずありません。にも関わらずワインの製造原価を明らかにしようとすることは少々、行き過ぎているようにも感じられます。

なんていう生産者側の愚痴のようなお話は横に置いておいて。
最近、なるほどワインの価格はそうやって決められているのね、となった体験をしました。


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