やっぱり河合隼雄。
昔すごく辛いことがあったとき、河合隼雄さんの本を読んで救われた。
最初に読んだのは「こころの処方箋」だったか。よく覚えていないけど、色んな子どもたちの症例を語る内容だったと思う。
(知らない方のために補足しておくと、河合隼雄は日本におけるユング派心理学の第一人者で、日本の臨床心理の基礎を作った)
そのとき私はもう大人で、悩んでいた理由は本に出てくる子どもたちのそれとは似ても似つかなかったのに、なぜだか泣いた。癒やしの涙だった。
最近立て続けに河合隼雄さんの本を3冊ほど読んでいて、ああ、やっぱり河合隼雄、と思った。
「ユング心理学と仏教」より、特に好きだった一文をここに残しておく。
「人間関係を個人的な水準のみではなく、非個人的な水準まで広げて持つようになると、その底に流れている感情は、感情とさえ呼べないものではありますが、「かなしみ」というのが適切と感じられます。」
私が感じているもやもやを、ぜんぶ綺麗に表現してくれている。
そう、人間はかなしい生きものだ。
だけど、それは個人のレベルでの悲しさとか人生の辛さとか、そういうものとはちょっと違う。
我々の深いところを流れるかなしみの川を、みんな心のどこかで感じながら生きている気がする。