【海の話】息子が見る海が知りたくて、デジイチを持たせて、海を散歩した話
この日の朝、息子はぐずっていた。
リビングの座椅子に丸まって、ボーッとテレビを見て、動こうとしない。
「学校行くのがめんどくさい…」
もうすでに遅刻の時間である。
「学校を休むなら、学校では得られない事に、学校を休む時間を使いなさい」
親として正しい発言だったかは、定かではないけれど、ゴロゴロ家でYouTubeを見たり、ゲームしたり、暇を理由になんとなく時間を使って欲しくなかったのです。
思い付きではありましたが、息子を海に連れ出した話。
『海の見え方』
以前、シェアしてくださった方のコメントに「どんな海を見せてくれるか…」というコメントがありました。
あれから、私の海に対する見え方を意識するようになったのです。
息子の海はどんな風に見えるのだろう。
私の好奇心と息子のぐずりが重なり、デジイチを持たせて海を散歩したのです。
■親だけど、家族として、そして一人の人間として
私はいろんな意味で、子どもたちに「厳しいな」と思うのです。
「勉強しなさい」とか「お手伝いして」とか、そんなのはどうでもいいと思っていて。
「自分たちが何に夢中になれるのか?」
「理想があるなら、そこに向かうには?」
「親だから、大人だからって平気なわけではない。
親も子供と同じ人間であり、傷つく言葉にはしっかり傷つく。」
「お金が欲しいなら、どうやって手に入れる?」
「自分の価値を知る為に、行動をしてみたら?」
この問いかけは、私自身にも問いかける内容なのですが、子どもたちの返ってくる言葉が面白かったり、それにアドバイスやフォローを入れたり、私自身も考えさせられる事が多いのです。
子供たちの価値や可能性を知るためにも、私はぐずった息子の世界を少し覗きたくなったのかも知れません。
■デジイチを持たせて、「なんでも撮ってみて」
一通り、デジイチの使い方を教えて、海へ。
向かった先は、横須賀市と三浦市にまたがる海岸。
「右と左どっち行く?」
息子は右を選択し、横須賀市側へ。
この日は、小雨。
雨のおかげで、海沿いは歩きやすく、しかし磯は滑りやすい状態。
「物を落とさない。海に入らない。」というお互い約束をしました。
二人でマイペースに見たい物見て、撮りたい物を撮るという流れで、ときどき声をかけながら、散歩をしたのです。
■私の見ている海と息子が見ている海
私は、シーグラスを探しつつ、海の状態を楽しむ歩き方をします。
波の高さや色、海風、天気、波の音など、前職の癖もありますが、海の状態を見て感じるのが好きなのです。
最近では、海に入りたくてしょうがないので、潮汐を調べる事も多くなってきました。
息子はというと、景色を撮るというよりは、岸壁や磯、生き物などにカメラを向けている傾向があったのです。
私とは違う海の楽しみ方をしている。
始めは、歩きながら、「海の豆知識みたいな話でもしよう」と思っていたのですが、彼から教わることの方が多かったのです。
■私が知ってる事と息子が知っている事
息子は大の生き物好きであり、頭の中に図鑑があるのかと思うぐらい、「この生き物は何?」と聞くと、すぐに名前と生態を教えてくれるのです。
引っ越してから、放課後に釣りに行く事もあり、釣りに関しては息子の方が腕が上がっています。
「僕は海の生き物より、陸の生き物の方が好きだな」
なんて、言っていたのですが、魚の名前も詳しく、頭が上がりません。
釣ってきた魚を捌けるようになり、三枚おろしは苦手だけれど、助かる事も増えてきています。
私はというと、海の知識に関しては、聞かれるとポロポロ出てくるのですが、海に潜る時に出会う生き物の世界に入れてもらっている感覚を味わうのが好きなのです。
知識として、危険な生き物などは知っていますが、生き物に対して、息子のように本当に興味があって、体が動いてしまう事はないのです。
■その目線がうらやましくもあり、うれしくもあり
約1時間半かけて海散歩をして、息子はカニや磯にいる小さな魚、イソギンチャクなど、すぐに見つけて教えてくれました。
その度に「どこ?どこ?」と見に行くと、こんなところに目線を向けているのかと感心もします。
逆に、息子に「あれは何?」と聞かれれば、私が知っている事に関しては、答える事ができる。
「なぜ海の色が違う場所があるのか」
「なぜ波の方向がこっちなのか」
「あの雲だけ低いのか」
それを関心して聞いて、自分の知識にしていく。
この日、息子はたくさんの事を学んだようなのです。
私も息子から学んだ事がたくさんありました。
■最後に
帰りの車の中で「何か学べる事はあった?」の問いに、息子は真剣に指を折り数えながら、教えてくれました。
少しは彼の力になれただろうか。
毎回思うのです。
「私は子供たちからもらってばかりだな」と。
今回の海散歩で、彼の力になる予定が、私が教えてもらうばかりだったように感じました。
次の日、息子は元気よく登校し、スッキリしたように学校生活を楽しんでいます。
Nagiko