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選択肢を知り、不安を減らすための中学校進路の選び方

小学校高学年になると、多くの家庭で「中学校の進路」という大きなテーマが浮上します。
特に、発達の凸凹がある子どもたちにとって、この選択は将来の生活や学びに直結する大切なもの。

中学校進路の重要性と早すぎる決断の難しさ

決断を迫られる時期はまだ幼く、精神年齢で考えると「小学2年生相当」といわれることも。実際に小学校5年生で学校見学や体験、6年生の夏休みには進路を決めて申請する必要がある現状は、保護者にとって悩ましい…。

進路選択の際には、子ども自身の特性や学びやすさ、自立への道を考慮する必要があります。
保護者として「現状の支援」と「将来の選択肢」を見据えた計画が求められるのです。


☆中学校卒業後の進路については、コチラをお読みください。


中学校進路の選択肢と特徴

中学校進路にはいくつかの選択肢があります。それぞれの特徴を見てみましょう。

1.地域中学校の通常学級
1クラス40人学級。地域の中学校で、学習指導要領に沿った教育を受ける進路。個別支援は基本的に期待できないため、学力や集団生活の適応が課題になる場合があります。
SOSを自分から発信できるかがキー。

2.地域中学校の特別支援学級
1クラス8人学級。障害種別学級。
特性に合わせた支援を受けられるクラスで、個別の学びを重視しています。以下のような点も検討してください。
内申点がつきにくい:支援学級独自の評価基準があり、高校進学時に影響することがある。
友だち関係の変化:小学校時代の友だちと別の環境で学ぶことに寂しさや抵抗を感じる場合も。

3.通級制度のある中学校
地域外の学校で、通常学級でSSTの支援を受けることができる「通級指導教室」があります。専門的な支援を受けつつ通常学級で学ぶことが可能。

4.特別支援学校の中等部

学校教育法などの一部改正によって、「盲学校」「聾学校」「養護学校」に区分されていた制度は、平成19年4月1日から「特別支援学校」に一本化された。
特別支援学校の教員は、小学校・中学校または高等学校又は幼稚園の教員の免状のほかに、特別支援学校の教員の免状を取得することが原則となる。
特別支援学校は、専門性の高い教育を行うことの他に、地域の特別支援教育のセンター的機能を担う役割がある
(1)教育相談機能
(2)学校支援機能
(3)教育研修機能

特別支援教育 重要用語の基礎知識/小野 隆行 編より引用

発達や知的面で手厚い支援が必要な場合に選ばれます。クラスの人数が少なく、一人ひとりに寄り添った教育を提供。こどもの障害や年齢によって、特別支援学校で行われる教育の内容は異なります。自立活動がメイン。
将来の進学や就労への選択肢が狭くなることも。
基本的には、障害者手帳が必要です。

5.私立中高一貫校
入試をクリアする必要があるため、小学校低学年から準備を始めるケースが多いです。専門的な支援は基本的になく、家庭の経済的・精神的なサポートが重要。

6.民間の通信制中学校
オンライン学習を主とした柔軟な教育スタイル。N中等部などが有名で、学び方を自分で調整できる点が魅力。ただし、在籍校の許可が必要な場合があります。(学校ではないので、地域の中学校に在籍しなければいけない)

7.フリースクール
学校に通いにくいこどものための学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設。中学卒業資格を得られるかは施設によります
居場所としての機能が強いことも特徴。
在籍する校長が許可すれば、フリースクールの出席も学校の出席扱いとなる。
規模や活動内容は多種多様であり、民間の自主性・主体性の下に設置・運営されています。

8.在宅

進路選びの課題と現実

進路選びの時期の早さ
発達の凸凹があるこどもたちの場合、「自己理解」がまだ進んでいない時期に進路選択をする矛盾があります。保護者としては、こどもの将来を見据えた選択をサポートしつつ、本人の気持ちや負担を考える必要があります。

中学校での大きな変化
中学校では以下のポイントが大きな環境の変化となります。

  • 教科担任制や移動教室

  • 部活(地域移行)や委員会活動

  • 内申点の影響

  • 制服や校則

支援学級在籍の場合、通常学級との交流のあり方や支援体制の薄さも課題となります。

自治体や学校ごとの対応差
特に、支援学級での評価基準や内申点の取り扱いは自治体ごとに大きく異なります。進路選びの際には、事前に見学や説明会で確認することが大切。

就学相談とは

「教育委員会が、お子さんが入学する前にどこの小・中学校のどこの学級に所属するのか相談に応じる」こと。
正確には…

学校教育法では、児童生徒の障害の状態、教育上必要な支援の内容、地域における教育の整備の状況、その他の事情を総合的に勘案して、市区町村教育委員会が最もふさわしい就学先を決定すると規定している。各市区町村教育委員会では、保護者や幼児児童生徒に対して、就学に向けた教育相談(就学相談)の機会を設け、客観的かつ的確な資料収集、専門的な知識・技能を備えた就学相談担当者の確保に努め、教育学、医学、心理学などの専門知識を有する者の意見聴取を行いながら慎重に判断をしていく

発達障害事典(2016年)P.132~133より抜粋

就学相談の流れ

  1. 説明会

  2. 在籍している学校の先生へ申込む

  3. 保護者が書類作成し、提出

  4. 在籍している学校の先生が書類作成し、教育委員会へ提出

  5. 教育委員会の担当者がお子さんの視察

  6. 教育委員会と保護者、学校の先生が面談

  7. 結果通知

  8. 所属する学級が決定

  9. 入学式の練習(希望者のみ)

就学時に決定した「学びの場」は固定したものではないのですが、変更するにはかなりの労力がかかります。通常学級から特別支援学級への移籍は、かなりむずかしいです。途中移籍の話は…ほぼレアケースと思ってください。通級指導教室も単年度登録なので、毎年申請が必要です。
1年間の個別の指導計画を生徒ごとに作成しているから。途中移籍には、医師の意見書など根拠が必要になってきます。
逆に特別支援学級から通常学級の方が、うちの場合かんたんでした。移籍を念頭にしていることを先生へ相談。交流級で過ごす時間を増やしてもらい、移籍後は、通級指導教室を利用させていただきました。

具体的な準備と選択肢の広げ方

進路選びの際におすすめポイントをまとめました。

学校見学や体験の活用
オープンスクールや体験入学、文化祭、体育祭などに参加し、実際の環境や雰囲気を確認しましょう。
疑問に思ったことは、質問をするか感想やアンケートに返信が欲しい旨と連絡先を書きましょう

どんな質問をしたことがあるか?

  • 合理的配慮は、どのうに申請が必要なのか?実例は、あるのか?

  • 中学校によっては、キッズケータイでも許可が必要か?4月から持たすには、どうすればよいのか?

  • 電車通学では、腕時計が認められるのか?

可能であれば、本人の希望や感想を聞く場を設けてください。通学をするのは、こどもなので…💦

家庭での準備
学習のフォロー:放課後デイサービスや家庭学習の支援ツールを活用。
生活スキルの強化:制服の着こなし、時間管理、公衆電話の使い方など、中学校生活に必要なスキルを日常の中で練習。
引継ぎ資料のチェック:小学校の先生に個別の支援計画を見せてもらう。ここだけは!中学校へ引継ぎほしいものがあれば、相談を前もってしておく。

専門家や支援者への相談
学校だけでなく、
療育施設や福祉サービスのスタッフ
スクールカウンセラー
ソーシャルスクールワーカー
通院している発達外来のドクターなど
専門家の意見も参考にしてくださいね。

進路とその〝先〟を見据える

中学卒業後には、高校や就労、専門学校など多くの選択肢が待っています。中学校生活は「将来の基盤作り」として捉え、以下を意識して進路を選びましょう

内申点の有無と重要性:高校受験に必要かどうかを確認。
自立への準備:日常生活スキルや自己管理能力(スケジュールなど)を磨く。
本人の意思とサポートのバランス:思春期に入り、親の意見と食い違うことも増えます。お互いが納得できる選択ができるよう対話しましょう。
お話することがむずかしい時期は、学校のパンフレットをリビングにそっと置いておくのも我が家は、効果的でした。

親子で一歩ずつ進むために

中学校進路は、こどもにとって大きな人生の分岐点ですか、すべてを完璧に決める必要はありません
大切なのは、「今」の選択が将来に続く道になるという柔軟な視点。ベストよりもベターを考えましょう。
親として不安も多い時期ですが、学校や専門家、地域のサポートを活用しながら、少しずつ進んでいきましょう。選択肢を広げることが、こどもがより豊かな未来を築く第一歩となります。
わたしで良ければ、いつでも相談してくださいね

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なぎちゃん✤発達障害特化型親子カウンセラー
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