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褒めるほど子供に悪影響を与えてしまうって本当?

褒めて育てれば自己肯定感が育つ、と考えている人は多いと思います。
ところが、アメリカでのある研究で「ほめると、子どもに悪い影響を与えてしまう」
という驚愕の事実が発表されました。褒めれば褒めるほど挑戦を避けるようなるというのです。

このアメリカでの研究はいくつかの書籍で発表されていますので、ご存じの方も多いかもしれません。
実験の内容は以下の通りです。

10歳から12歳の子ども400人にあるテストを受けさせ、全員に「80点だった」と伝えます。そして3つのグループに分けたあと、

・グループAには「本当に頭がいい」と能力をほめる
・ グループBには「何も言わない」
・グループCには「努力の成果だね」と努力をほめる

ことをして、次に、2回目のテストで難しい問題と簡単な問題を選択させてチャレンジさせるというもの。

結果はグループAは35%しか難しい問題を選ばなかったのに対して、グループBは55%、グループCは90%が難しい問題を選んだというのです。

さらに驚くことに、頭がいいとほめられたグループAの難しい問題を選んだ子どもの40%が、本当の自分の成績よりも良い点数を報告した、要はウソをついたというのです。
頭がいいとほめられた子どもは、自分が「頭がいい」と思わせる必要があります。つまり、ほめられることを担保しようとするのです。「頭がいい」という評価を失うことを恐れるあまり、ウソをつくことに抵抗がなくなるのです。

この研究を思うとき、私は本当に切なくなってきます。子どもはやっぱり親にほめられたいのです。認められたいし、好かれたいのです。でも、それが挑戦しなくなることに通じているとしたら大きな問題です。

ほめて伸ばすという子育てが推奨されてきたことで、おそらく日本中で子どもたちをほめることが実践されてきたと思います。
一方で、若者の留学が減って内向きになった話や、リスクが高いし、経済的にも負担なので恋人を作らない人がいるという話を聞くことがあります。
誰だって挑戦したら失敗もしますし、時には痛い目にもあうかもしれません。 その不安があっても自分の成長イメージを持って新しいことに自ら挑戦していく姿が自立というものです。

では、どうしたらいいのでしょうか?

いろいろな識者が「プロセスをほめよう」とか「能力ではなく努力を称たたえるといい」と無責任に言いますが、そこが難しいわけです。
「子どもを観察して、ほめ上手になろう」と言っても、いつもカメラで追っかけるわけにもいきません。観察され続ける子どもだって息苦しさを感じるでしょう。

この解決策はたった1つ、
日々の「できたこと」を書き記すことです。

(続く)

本編は永谷研一著「親子できたことノート」(青春出版社)から抜粋しています。