見出し画像

GIGAスクール。次回のデバイス更新はBYODにすべきと考える理由

GIGAスクール構想で、小中学校の児童・生徒にタブレットやPCが一人一台配布されました。当初は3年かけてじっくり入っていく予定だったそうですが、ご存知の通りこの1年で一気に入ることになったのです。


そしてつい先日も経団連より萩生田・経産大臣に対して提言が申し入れがされました。その提言の中にも”高校生1人一台や教師用の端末の整備”があげられています。小中学校につづいて高校にも急速にデバイスが整備されていく流れになっていくことでしょう。

ガラケー時代の2001年から20年間、学校ICTに取り組んでいるネットマンとしては、隔世の感があります。
「授業にデバイスは持ち込み禁止だよ」と言われたり、「あなたは私と子供達との触れ合いの時間を奪うのか!」と言われたり散々だった日々が懐かしいです。

時代が変わって嬉しい反面、現場で先生方を支援していると気になることがあります。それは、

「デバイスの面倒を見るのは教員の仕事なのか?」

という疑問です。

当初は、導入した企業の支援も充実していてしっかりサポートされています。ただいつまでもサポートが手厚いわけではありません。またICT支援員がいつもいるわけではないし、すべての学校に常時配属されているわけではありません。

おのずと、児童・生徒のデバイスがトラブったとき、現場の先生が対応せざるを得ません。それでなくても忙しい教員ですが、デバイスの面倒に時間がとられ、本来の子供達との時間や授業研究の時間がなくなってしまっては本末転倒と言えます。

そこで私は、

BYOD「Bring Your Own Device」(学校に個人の機器を持ってくること)を進めるべきだと提言します。市町の支援としては、モノよりお金を助成するのがよいと考えます。

CYOD「Choose Your Own Device」という言い方もあります。学校側が提示した複数の候補の中から選んで購入するという意味ですが、その提示も大雑把(CPUとメモリーのスペック程度)が良いでしょう。このメーカーのこの機種を買えといった指示はするべきではないと考えます。

子供は親と相談しながら自由に端末を用意すればいいのです。

よく考えたら、服装だって個性があるし、大工はカンナを選ぶ(技術者は道具を選ぶ)と言えますよね。
なんでPCだけが、国や市町村から決められたものが配布されるんでしょうか。私は教室で全員が同じPCをもっている風景が異様と感じます。

もちろん先生のコントロールが効かないから、という意見もあるでしょう。でもそれは一斉指導の考え方から抜けていない証拠かと思います。

もちろん学習支援や校務支援などの学校ICTのシステムはクラウドサービスを利用すれば、端末の条件は「ブザウザーを搭載してインターネットにつながること」ということだけになるはずです。


ICT教育の専門家でいらっしゃる上松恵理子先生は以前アスキー社のインタビューで「フィンランドやスウェーデン、デンマークのICT活用について」こう答えています。(上松先生とは古くからの教育研究仲間です)
(引用元:https://ascii.jp/elem/000/001/499/1499501/ を一部抜粋)

画像1

上松)先生方は教える時間が終われば帰ってしまいます。それ以外の、たとえば不登校などがあったら、担任の先生ではなくて専門家が対応するんですよ。先生は教えることに専念しているんですね。
上松)スマートフォンを自由に持ち込めるテストもあったりします。数学のテストなんかもインターネットを見ながら受験できるものもあります。
上松)デンマークは完全にBYODになっていて、スウェーデンなども市によっては紙の教科書をやめたところがあります。
(自分の端末をもってこない生徒は)
上松)教室には5, 6台ノートPCがあって調べ学習などをやるわけです。たとえば音楽を聴きながらやってもいいんですよ。
上松)子どもの人権をすごく大事にしているんですね。

「学びを止めない!上松恵理子先生の公式サイトはこちらです。」

この上松先生の話で、特筆すべきは、

・先生は教えることに専念している
・子供の人権を大事にしている

部分かと思います。要は、

「(先生も生徒も)一人ひとりが大事にされている」

ということです。

BYOD(もしくはCYOD)にすれば、機器のトラブルは個人(もしくは家庭)の問題になります。先生はメンテナンスから解放されます。

また、生徒にとっても、家や学校で使い慣れた自分の端末が使えることは、自由が確保されます。道具を使い倒す自由と責任がでてきますので、ICTの活用力が身につけることができます。

ここまでいうと「セキュリティがうんぬん」言い始めそうですが、それはクラウド側の設計と運用の話ですので話をすり替えられないように気をつけましょう。感情論や雰囲気ではなく、技術論と論理性をもって丁寧に説明する必要がありますね

小中学校は今年整備された市町村が多いでしょうから、切り替えは3年後の2024年くらいからでしょうか。そのときにどのような選択肢がある未来が待っているのか。しっかり見届けたいと思います。