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カゴメ株で高校生が株式投資を学ぶ5(固定費について:つづき)

タコミートを載せたらあとは野菜を少しずつ。刻んだレタス、アボガド、トマトをのせるのが我が家流だ。こういう野菜を贅沢につかう料理は外食ではできないね。そして、仕上げはタコスを振りかける。そのままだと大きいので、粉々にしてから、のせるのが我が家流。

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父:タコスちょっとちょうだい。あ、とりすぎだよ。もうないじゃん。それならポテトチップスかけるかな。パリパリしてれば食感似たようなもんか。

息子:そうそうお父さんはポテトでいいの!

父:でもタコライスには、このタコスじゃないとしまらないんだよな。ごはんといっしょにスナック菓子食べているようなものなんだけど不思議とこれはいけるんだよな。あ、固定費の話ね。

息子:カゴメの話ね。契約農家がどうとか話ししてたけど、さっきは。

工場で大量生産するからこそ安くできる

父:そうそう。利益を増やすために売上げを増やすということはそれだけで固定費があがってビジネスが難しくなるという話をしたけど、工場についてもそうだよね。大量生産をするためには、設備の整った工場が欠かせない。工場生産で大量にケチャップを作るからこそ、我々消費者は200円でケチャップを買うことができるんだ。

息子:買う人がたくさんいるからこそできるって話だったね。

父:そうだよ。でも工場を動かすにはそれだけでお金がかかるもの。機械のメンテナンス、水道光熱費も家庭とは比べ物にならないぐらいかかる。スタッフも常駐うさせておかなければならない。

父:工場で製品をつくっていることを、工場が稼働しているというのだけれども、稼働している割合(稼働率)が高くないと工場を作った意味がなくて、赤字になってしまう。これもまた、事業を大きくしようと思ったら、それだけお金がでていくという話の一つだね。

息子:事業を大きくするだけで、いろいろなことにお金がかかるんだね。儲かるから工場建てようって話じゃないんだ。

父:そのとおりだよ。工場建てたら、一定の稼働率があって、それが続かないと赤字になってしまうから、少し儲かりそうだというぐらいでは工場を建設しないよ。

父:2020年の新型コロナウィルスでマスクが足りなくなったけど、日本でマスクを生産する工場が少なかった。消費者は日本製のマスクが欲しいと口々に言っていたけれども、SARS(2003年)にマスク工場をつくったものの、その後感染が一気に終息して、新規で工場につくった製造ラインが無用の長物になったという過去の経験があるから、企業は最初は慎重だった。消費者は移り気で、いらなくなったからといっても工場の建設費用を出してくれるわけではないからね。

父:とはいえ新型コロナの場合は長期化するし、国からの要請もあったのでようやく工場を立ち上げて増産に踏み切ったわけだ。

息子:ふーん。マスクが増えないというのも理由があるんだね。

父:マスクは中国産がほとんどだから、国内の不足要因は主に中国から入ってこなくなったことが理由だったけど、日本製のマスクが増えないのはそういう事情もあっただろう。

工場が使える年数は大体決まっている

父:えーっとなんだっけ、そうそうケチャップね。工場の設備というのは使える年数が大体決まっている。10年、20年という単位だ。その間に工場に設備投資した以上のお金が得ることを計算して、企業は投資をするんだ。

息子:一度工場をたてたら、ずっと使えばいいんじゃないの?

父:そうしたいところだけれども、古くなると故障が増えてくるし、メンテナンス費用も増えてくる。車でも古くなると故障が増えてきて、修理するなら新しい車買ったほうがいいという話になるでしょ?それとおなじだよ。そして、時間がたてばもっと使い勝手のいい設備が発売されるから、他社との競争に勝つためにも定期的に更新していく必要があるんだ。

父:だからその間はずっと使い続けるというつもりで、お金を投資して工場を建設して、稼働させないといけない。一口に工場を建てるといってもタコライスを作るようには簡単にはいかないんだから。

息子:違うにきまってんだろ。

工場の稼働は10年単位のプロジェクト

父:そうだな。。ともかく工場を建てるとすると、どのような工場にするのかデザインや性能、導入する設備の数、グレードなどを決めて、それぞれの発注先を決める。工場建設はA社、機械はB社といった具合だ。自分の会社だけですべて完結することはあり得ないから、ほかの会社にお願いすることになる。そして、建設には数年の時間がかかる。

父:さらにそこから稼働するのだから、まさに10年単位のプロジェクトだ。固定費という観点でいえば、この倉庫に投資したお金というのはずっと固定されたままでほかには動かせないよね。工場の資金だから。

息子:そうだね。

父:それに儲からなさそうだからといって、すぐに工場の建設を取りやめたり、工場の稼働を停止することもできない。カゴメでいえばある程度工場でつくった製品、ケチャップやトマトジュースなどが売れ続けるという仮定の下に工場を建てるんだ。

設備投資は企業が生き残るのに欠かせない

父:工場建設のような設備投資はお金がかかるし、お金が固定されてしまうけれど、今年だけでなくて来年以降の事業拡大には欠かせないんだ。次々と投資をしていかないと競争力のある商品を世の中に送り出せなくなって負けてしまう。

息子:そうなんだ。ケチャップ一本にもドラマがあるんだね。

父:調べてみると面白いもんだ。現在カゴメは日本のケチャップ市場で6割のシェアを持っているけれど、その地位に胡坐をかいていたらいつ市場のシェアを取られてしまうかわからない。

安いだけなら、イオンのPBやデルモンテなどのブランドもあるし、おいしいからカゴメを選ぶというお客さんを大事にしないといけない。だから必死にお客様に選ばれ続けるように日々安定した値段で、品質の安定したケチャップを提供できるように努力しているんだよ。

息子:そうだよね、ケチャップって考えてみたらいろんなところで使われているかもね。んじゃお先にいただきまーす!

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(次回に続く)

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