カゴメ株で高校生が株式投資を学ぶ4(固定費について)
タコミートのチーズが溶けてきたので、こいつを混ぜて出来上がりだ。我が家が使っているチーズは加熱用。生食用の細いチーズもあるけれども評判が悪かったので、加熱用のチーズに戻した。
さて、キリがいいところまで話すかな。
会社は個人ではできないことをするから価値がある
父:ケチャップの話をしてきたけれども、我が家はなぜこのケチャップに200円を払うのだろう?
息子:といってもよくわからないよ。200円の価値はあるとおもったからでしょ?
父:そうだね。それはもっともだ。少なくとも200円の価値はあると思ったから購入したんだ。そして、この200円というのは、個人ではできない、会社だからこそできた製品なんだよ。
父:どれだけの企業努力を重ねれば、これだけの価格を実現できると思う?品質のいいトマトを安定的に、安く仕入れることが大事だし、工場でも大量のケチャップを作ってたくさん売らないとこの値段は実現できない。我々に届くところでは200円だけれども、カゴメから我々消費者の手に届くまでには、カゴメ(メーカー)→卸売→小売という段階をたどる。カゴメの直接取引先である卸売り段階ではもっと安い。1本100円とかそういう値段だ。
父:例えば100円で卸売りするとして、20円儲けようと思ったら、80円で作らないといけないよね。少量生産していたらこうした利益は実現できない。実現するには大量生産・販売をするしかない。
会社を大きくすると、それだけでかかるお金が増える
父:そして、大規模に商売をしようと思ったら、固定的な出費がある程度増えることを想定したうえで、売上が今のペースで続くことを前提として、仕組みを考えていかないといけないんだ。
息子:固定費ってなに?
父:固定費というのは、事業をしていたら何もしなくても出て行ってしまう経費のことだよ。例えばパン屋を営業しているとして、パン屋を借りる事務所の家賃(テナント代)とか、アルバイトの人件費とかだね。事業を大きくするということは、固定費を増やすということなんだ。
父:カゴメのケチャップの例でいえば、トマトの生産からケチャップの販売まである程度売れることを見込んで様々なことを準備しなくちゃいけない。いわば、逆算して考えていく感じかな。年間に売れるトマトケチャップの数量を考えて、その分だけ必要なトマトを調達するという。
父:さっき固定費の話をしたけど、少しの数量で有れば、品質のいいものをどこかの市場から調達してくればいい。しかし、カゴメは日本全体の緑黄色野菜で17.7%、一般の野菜の4.4%の消費量を供給している(KAGOME STORY 2020より)。代替品を安定的に持ってくるというのは難しいよね。
父:だからカゴメでは契約農家制度を導入して、カゴメが自社にあったトマトづくりを指導して、全量を買い取る仕組みを作っている。農家の側から見ると指導を受けられるうえに、すべて買い取ってもらえるのだから安心して農業をすることができるね。
といっても契約農家だってもしカゴメが約束を守ってくれるかどうかわからなかったら、カゴメのために特注品のトマトを作り続けるだろうか。
息子:わからないよね。カゴメ用に作ったトマトがほかのところでも売れるとは限らないから。カゴメのケチャップ専用に作っていたトマトがほかの用途でおいしいかどうかわからないよね。
長年の信頼関係が大事
父:品質が良ければ売れるのは売れるだろうけど、カゴメが買うようには高く買ってもらえないかもしれないよね。契約農家側にもそういうリスクはあるが、これまでカゴメは約束をたがえることなくずっと農家と2人3脚でトマトづくりをつづけてきたからこそ信頼関係が成り立っているんだよ。
息子:へー。知らなかった。
父:さっき固定費といったけど、売れようが売れまいが必ずカゴメは契約農家から仕入れるようにしているわけで、調節することが難しいよね。これが小さい商売だったら売れなければ仕入れなければいいだけだけど、そういうことはできない。何をするにも事業がおおきくなってくると、固定的な経費が増えるということは覚えておいたほうがいい。
父:商売で成功していたのに、失敗してしまう人がいるのは、急に店舗を拡大してしまうことが理由に挙げられるんだ。カゴメのような大企業でも最初は創業者の個人事業だった。事業拡大することのリスクをとって、日本人なら誰でも知っている大企業に成長するというのはすごいことなんだよ。話がずれたけど、固定費の話、もうすこしするよ。
息子:タコスちょうだい、おれ多めにかけるから。
おーい、話聞いてくれよ。。まあ仕方がないね。
(次回につづく)
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