中島知久平の「必勝戦策」。二、の終りまで
では続きをアップしまーす。
打ち込みまーす。
重大なる運命に逢着するのが憂が多分にあるのであります。
最近、ルーズベルト、は日本に対しては大型爆撃機を多数整備し、先づ日本の軍需生産機関を爆破し、日本の戦力を根底から掃滅して仕舞う、次に大陸及び占領地域から日本軍を追い払って仕舞う、それから日本本土を攻略して東京に於て米軍の行進を行い、日本を抹殺して、太平洋に於ける米国の脅威を永久に除去すると、豪語しているのであります。
是、一概に彼一流の人気取りのためにする駄法螺とのみ見ることは出来ないと思うのであります。
米国に於ては、現に大型爆撃機を大掛かりに生産しつつあり、且つ、日本爆撃に関しては、あらゆる角度から周密なる計算を樹てて居ると思われますから、ルーズベルト、自身としては、相当の根據ある確信を以て世界に聲明して居るものと考えられるのであります。
そこで、此の六発爆撃機が大集団で遣って来る場合には、ロンドン、ベルリン等の空襲戦の実績に微し、現在の戦闘機、高射砲等を以て防衛することは絶対に不可能なることは明らかであります。
又、陸上勢力、海上勢力を以てしては、尚更如何かともし難い。
即ち、現在のあらゆる軍備、あらゆる戦法を以てしても、之を防衛する道はないと云うことに帰結するのであります。
故に、現状の儘推移するに於ては、米国に於ける六発爆撃機が整備せられる時、即ち昭和二十年後半期には、日本の国防態勢は根底より覆へり、非常なる危機に逢着せざる得ないと思うのであります。
打ち込み終わり。意訳短縮しまーす。
「ーー重大な運命に遭遇します。
最近、ルーズベルトは日本に対して大型爆撃機を多数整備し、まずは日本の軍需工場を爆破し、次は日本の占領地域から日本軍を追い払い、次は日本本土に上陸して日本を抹殺し、太平洋におけるアメリカの脅威を永久に除去すると豪語しています。
国内向きの演説ではないです。
アメリカは大型爆撃機を大量に生産し、あらゆる角度から精密に計算し、根拠ある確信を持って世界に向けて声明していると考えられます。
そこで六発爆撃機が大集団でやって来る場合は、ロンドンとベルリンの空襲戦の実績を考慮し、現在の戦闘機と高射砲で防衛することは不可能です。
陸上勢力、海上勢力でも難しいです。現在の軍備や戦法では防衛できません。
アメリカが六発爆撃機が整備された時、昭和20年後半は日本の国防態勢が根底から覆ります。非常に危険です」
うーん。うまく意訳短縮できなかったかな? バッサリ切れば、
「ルーズベルトの演説は国内向きではなく、世界に向けて発信しています。日本を壊滅させると豪語していますが、その根拠は六発爆撃機です。これが運用されたら日本はなすすべがありません」
でしょう。この項目で知久平さんが言いたいことは、
「六発爆撃機が運用されたら、日本の戦力では太刀打ちできません。昭和20年後半が日本のリミットです」
あたりでしょう。終戦、という言葉は使っていないが、日本が戦える予測時期は「当たっている」と言っても良いかと思います。
はい。今日の旧仮名遣いの勉強です。
逢着←ほうちゃく 現代でも使う人はいるかなー
根據←根拠 文章の流れで読めたが、念の為ググった
駄法螺 ← だほら 「法螺」を強調した言葉の模様
樹てて←立てて・建てて
徴し←内容の流れから、「象徴」かな?
ロンドン爆撃もベルリン爆撃の結果で「戦闘機と高射砲で国土を防衛するのは難しい」と判断したのか。