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中島知久平の「必勝戦策」。第三、必勝戦策ニ関すスル新構想

 はい。全体の三分の一を使って、「従来のやり方では負けますので大局的に見ましょう」と新構想を提案する知久平さんです。

 第三、必勝戦策ニ関スル新構想

 一体、日本はつい先頃迄赫々たる戦勝に歓喜し、次には絶対不敗の国防体制の確立に安じて居ったのに係らず、日ならずして前途に重大なる危機を予見して得るに至っということは、どうして譯であるか。

 其の原因は種々あらうと思いますが、最も重大なる原因は、最近兵器の異常なる進歩発達に依り、従来の戦策は、既に実質的に根底から変革せられて仕舞てって居るのあである、然るに、此の現実心理に則せず、依然として過去の旧式戦法に執着し、之を踏襲して居る所にあると思うのであります。

 そこで、此の危機を打開し、必勝を期するの道は、戦策変革の実相を把握し、其の心理に則して、急速に必勝戦策を構想し、其の戦策遂行に必要なる兵器の整備に、生産能力を傾倒し、以て、極めて迅速に新戦策を展開すべきであると確信するのであります。

 従って、必勝戦策の新構想が、一切に先行する至上命令となるのであります。

 そこで研究の結果、次の構想に到達に致した次第であります。

一、防衛戦策
二、米国撃滅戦策
三、独逸必勝戦策

 之より順次その大要を申述のべます。

はい。意訳短縮表現をします。

「日本は連戦連勝で防衛戦を確立しましたが、気づけば重大な危機に面しています。

 その原因は色々ありますが、最も重大な原因は兵器の異常なる進歩で、従来の戦策が根底から覆っています。しかしこの事実を受け入れず、旧式のやり方を続けています。

 そこでこの危機を打開知るために戦策の実相を把握し、急速に必勝詮索を構想し、そのために必要な兵器を生産し、迅速に新戦策に展開すべきと確信しています。

 したがって、必勝戦策の新構想が優先すべき至上命令です。

 そして研究の結果、次の構想に到達に致しました。

一、防衛戦策
二、米国撃滅戦策
三、独逸必勝戦策

 これより順次その概要を申し述べます」

 でしょうか。

 知久平さんは日露戦争後に「飛行機が戦場に主役になる」と確信しました。第一次世界大戦で飛行機が活躍したのは末期で(戦車もそうだな)、多くの軍人は飛行機は補助的なものとしか考えていませんでした。

 しかし知久平さんは「飛行機に魚雷を積んで戦艦を撃破すればいい。飛行機の単価は軍艦と比べて安いから大量生産できる」と中島飛行機を設立。

 実際、真珠湾はそれでしたし、シンガポール陥落もそうでした。

 しかし戦争による技術進歩で、「巨大飛行機を創って敵国の本土攻撃すればいい」となり、知久平さんはB29が来襲する前に「日本も巨大飛行機を創ってアメリカ本土を攻撃しよう」と法螺のような戦策を打ち出します。

 はい、今日の旧仮名遣いのお勉強です。

 日ならずして← 使う?

則する←読めたけど使う?

大要←たいよう 使わないよね?


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