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中島知久平の「必勝戦策」。15ページまで


 前回、知久平さんがいう「空の要塞」はB-17型爆撃機のことです。

 第二次世界大戦が始まる前に完成し、「空の要塞」として堂々とアメリカは公表していました。「軍事的威嚇」のシグナリングでしょう。ちなみに「B」は「Boeing」ではなく「Bomber」という意味です。P‐51の「P」は「Patrol」で「F-15」戦闘機の「F」は「Fighter」です。

 会社の名前ではないんですよね。はい、また1つ勉強になりましたね。

 では本文を打ち込みます。

 所で、ボーイングB十七型はは千二百馬力発動機四個装備して総馬力僅かに四千八百馬力でありまして、性能も決して十分とは申せない、そこで、十七年の始めに米国では、二千馬力の発動機が完成し、現在では二千馬力四発装備のボーイングB二十九型の設計が試作し完成致しましたから、之等の新工場は目下B二十九型の生産中であり、明年即ち十九年には此のB二十九型が相当活躍するであらうと思はれます。

 それから、米国は昨年六月、飛行機戦策に転換して日本反攻を企画するに至るや、本年一月、ルーズベルト、は日本本土攻撃可能の大型爆撃機を出来るだけ無制限に多く作る云う指令を発し、大型飛行機工場建設のために莫大なる政府資金を放出したと謂われて居るのであります。諸般の情報を綜合するに本年一月、機体工場だけでも少なくとも十ヶ所以上建設に着手したと思われます、又大型爆撃機の型式へ、二千馬力乃至に二千五百力発動機を六個整備したる六発空の要塞であることが推定せらるのであります、之の六発爆撃機は、遅くも今年内に設計試作を終り、来年には多量生産に着手出来ますから、昭和二十年中期迄には相当数整備し、二十年後期には活躍期に入ると思われます、其の数は大体第一表に示す数字に近いものであると推定せられるものであります。

 次は航空母艦及び艦載機でありますが、正式空母艦の建造計量は屡々発表せられ公知の事実であります、此の外に、米国のことでありますから、商船を改装したる特設航空母艦を相当数建造することは申す迄ぶもないことであります。それ等の総数は第一表の数字に示す位に推定することが安全であると考えられます。

 では、意訳します。

「ところでボーイング社のB‐17は1200馬力のエンジン4個の装備で、総馬力4800で性能もけして十分とはいえない。そこで17年始めにアメリカは2000馬力のエンジンが完成し、現在は2000馬力を4発装備したB-29の設計が試作し完成しましたから、これらの新工場は目下B-29の生産中であり、翌年の19年にはB−29が相当活躍すると思われます。

 それから、アメリカは昨年(※17年)6月、飛行機戦策に転換して日本反攻を企画すると、本年1月、ルーズベルトは日本本土空襲の大型爆撃機をできるだけ無制限に多く作る指令を発し、大型飛行機工場建設のために莫大な政府資金を放出したといわれています。諸般の情報を統合するに本年1月機体工場だけでも少なくとも十ヶ所以上建設に着手したと思われます。また、大型爆撃機の型式へ2000馬力、ないし2500馬力のエンジン六個装備した要塞であることが推定できます。この六発爆撃機は遅くとも今年内に設計試作を終え、来年には大量生産に着手できますから、昭和20年中期ごろには相当数整備し、後期には活躍すると思います。その数はだいたい第一表に示す数字が近いと推定できます。

 次は航空母艦及び艦載機でありますが、正式空母艦の建造計量はしばしば発表される公知の事実であります。このほかに、アメリカのことですから商船も改装して特設航空母艦を相当数建造することは申すほどではないことであります。それらの総数は第一表の数字に示すくらいの推定することが安全であるこ考えられます」

 意訳終り。話を短縮するなら、

「B-17はそれほど脅威ではなく、次のB-29の方が脅威になります。アメリカは多くの工場を建設し、B-29の大量生産に着手しています。昭和19年になれば出現します。さらにエンジン六発のB-36も計画しています。昭和20年に出現するでしょう。アメリカの国力を考えて表にしました。

 次は航空母艦と艦載機ですが、航空母艦は公式発表されるのでその数が把握できます。アメリカは商船を改造して航空母艦を建造するのは申し上げることではないです(※近代戦は国家総力戦なので、民間の船が徴用されるのはよくあること)。そのおおよその数も表に示しました」

 あたりでしょう。

 歴史の流れを知っている後世の人間は「知久平さんの警告は半分当たっている」あたりでしょうか。とにかく一刻も争うので、大げさに説明したのかもしれません。

 B-36は日本の空には現れず、しかも完成したのが1946年です。

 この航空機の印象が薄いのは、戦争へのモチベーションや、朝鮮戦争でアメリカの戦略が大きく変わったせいでしょう。レシプロ機(プロペラ飛行機)の限界は六発だったのでしょう。

 ファイナルファンタジーに出てくるような「プロペラをたくさん装備している飛空艇」は、技術的に無理だったのでしょう。ジェットエンジンも産まれましたし。

 そしてつくづく「歴史って繋がっているなー」と思うのは、第二次世界大戦で多くのアメリカ商船が航空母艦に「平たく」改造されました。戦後は用済みになりました。そこから「四角い箱を作ってクレーンで運べが効率良くなる」と産まれたのがコンテナ船でした。

 コンテナ船が産まれたのは、戦後なんです。感覚的に「つい最近じゃん」な気分です(21世紀生まれの人はそう感じないかな?)。

 はい。今回ググった旧仮名です。15ページまで読んでくるとなれが生じましたが、一度では憶えられなかった単語があったのも事実です。

屡々←しばしば

迄ぶ←およぶ


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