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中島知久平の「必勝戦策」。第四 必勝戦策遂行ニ必要ナル兵器ノ構想
では知久平さんがたびたび言及した大型飛行機の説明に入ります。
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第四 必勝戦策遂行ニ必要ナル兵器ノ構想
一、必勝兵器ハ具備スベキ基礎条件
以上の必勝三策を完全に遂行するためには、敵の空の要塞よりも遥かに偉大なる攻撃半径を持ち、多量なる爆弾を積載し得る、超大型爆撃機さえあれば、充分であることが、前述する所によって明かくとなったのであります。
そこで、その具備すべき基礎条件は次の如くなるのであります。
(一) 攻撃半径
攻撃半径は、米国の六発空の要塞より、遥かに偉大なるべきことは勿論であるが、更に敵の全領域を爆撃可能のため、最小限度八千五百メートルを下らざること。
(二) 爆撃積載量
一トン爆弾二十個以上を積載し得ること。
(三) 防禦力
敵の領土内に深く突入するため、敵の集注攻撃を受けることは必至である。故に大なる防御力を必要とする、有力なる銃砲火器、厚き装甲板等は勿論必要であるか、最も重要なる防御力は優越せる速力である、速力が敵の戦闘機より偉大であれば最も安全である、故に最小限度、敵の戦闘機と同等以上速力を発揮し得ることを必要とする。
(四) 高々度飛行能力
高々度よりする爆撃は、種々の点に於て有利にして必要なる要件である、故に一萬米以上の高々度飛行性能を具備することを必要とす。
(五) 所要爆撃效力に対し生産資材の僅少なること
日本の生産能力の現実により、如何に理想的の兵器であっても、莫大なる生産資材及び生産施設を要するものであっては役に立たない。
所要爆撃效力に対し、極めて僅少なる製産機関、製産資材を以て足ることを要する。
では意訳短縮しまーす。
「一、必勝兵器の必須条件
以上の必勝三策を完全に遂行するためには、敵の空の要塞よりも遥かに広大な攻撃半径を持ち、多量なる爆弾を積載し、超大型爆撃機さえあれば、充分であることが、前述する所によって明らかです。
その基礎条件は次です。
(一) 攻撃半径
攻撃半径は、米国の六発爆撃機より、遥かに偉大なるべきことはもちろんであるが、更に敵の全領域を爆撃可能のため、最小限度八千五百メートル以上です。
(二) 爆撃積載量
一トン爆弾二十個以上を積載できること。
(三) 防御力
敵の領土内に深く突入するため、敵の集注攻撃を受けることは必至です。故に大なる防御力を必要とします、有力なる銃砲火器、厚き装甲板等はもちろん必要であるか、最も重要なる防御力は優越せるスピードである、スピードが敵の戦闘機より偉大であれば最も安全である、故に最小限度、敵の戦闘機と同等以上速力を発揮し得ることを必要とする。
(四) 高々度飛行能力
高々度よりする爆撃は、種々の点において有利にして必要なる要件である、故に一万メートル以上の高々度飛行性能を必要とす。
(五) 所要爆撃効力に対し生産資材の僅少なること
日本の生産能力の現実により、いかに理想的の兵器であっても、莫大なる生産資材及び生産施設を要するものであっては役に立たない。
所要爆撃効力に対し、極めて僅少なる製産機関、製産資材を以て足ることを要する。」
でしょうか。今回は意訳短縮が難しかったです。それほど分かりやすいということでしょう。(五)に関しては、
「巨大飛行機を創りますが、巨大な資源と施設が必要では絵空事です。綿密に計算し、現在の生産力と資源で実施すること」
と述べたいのでしょう。知久平さんの必勝戦策は今となっては絵空事ですが、この時点では非常に現実的と言えましょう。
はい。今日の旧仮名遣いのお勉強です。
防禦力←防御力
效力←効力 今では中国語になっている模様