中島知久平の「必勝戦策」。2ページまで
てなわけで本文を開きます。旧仮名遣いです。
はい。目次だけでも読み慣れていない旧仮名遣いです。とはいえ、目次からして知久平さんの危機感と伝えたいことが入ってきます。Z飛行機で戦局を変えることが分かります。
目次の解説は不要でしょう。おいおいに説明するので。
では論文の序文です。この部分は既存の本では載っていなかった記憶です。読みにくいと思うので現代仮名遣いで、表記したいと思います。漢字の間違いに気をつけます。
序言
今次の大東亜戦争は、初め、日本は飛行機戦策を基調とし、米、英は大艦巨砲戦策を基調とせる対戦であって、僅少なる生産力を以て厖大なる生産力に対抗し、克く之を撃破し得る戦勢にありましたから、戦へば必ず勝つと云う確信を持ち得たのであります。
果して、開戦するや忽ちにして、敵の海上勢力を撃破し、赫赫たる戦果を挙げ、広汎なる戦略要域を獲保したであります。
斯くて、一応前進を停止し、防衛態勢に転位するや、米、英へ敗戦に鑑み、昨年六月、遂に彼等の伝統とする大艦巨砲戦策を放擲し、飛行機戦策に転換するに至ってのであります。
茲に於て、戦争の容相は全く一変し、将来に於ける勝敗の鍵へ、飛行機の質と量とに存することとなり、事態は極めて重大化するに至り、現状の儘推移するに於いては、国家の前途は誠に憂慮に堪へざるものがあるのであります。
故に、現戦勢を打開し、必勝態勢を確立するためには、現行戦策を転換すべき飛躍的新構想の必要を痛感するのであります。
そこで、研究の結果、二、三の新構想を得ましてので御参考の資に供にする次第であります。
昭和十八年八月八日
ーー識ーー
はい。論文の序文です。締めの言葉に「識」と入れるのは、文中の名前の人間が書いたという意味です。
勉強になりますね。分からない単語に遭遇するたびにググっています。
とにかく、だいぶ読みやすくなりましたね。打ち込む面倒さなどを考慮し、旧字体は新字体にしました(※気づかずに旧字体の所もあるでしょう)。しかし漢字表記はそのままにします。
「現代だったら校閲に出したら『ひらがな表記』に注釈されるなー」という部分もありますが、ググってみると微妙なニュアンスもありましたので漢字表記にします。
もしかして引用を続けたら現代では差別語にカテゴライズされてしまう表現も出てくるでしょうが、そこは原文尊重であることをご理解いただきたいです。私がこれを披露する目的は差別の助長ではないです。
慧眼なるあなたなら分かるでしょう。
で、序文の中身を解説するなら、
「日本は航空機主体で、米英は戦艦主体です。しかし日本の快進撃で米英は航空力の重要性に気づき、それはミッドウェイ海戦で確信に変わりました。工業力が高い米英は航空力に戦力を傾けます。資源が少ない日本ではこのままでは負けてしまうので戦略の転換を提案します」
あたりでしょう。
で、で、打ち込んでいて個人的に分からなかった旧漢字や熟語を置いときます。まさに「グーグル様々」でした。
「傳統」
「茲に於て」←「ここにおいて」と読みます
「資に供に」
「儘推移せば」←「現状維持のままでは」「行動を変えなければ」というニュアンスのようです。
とまあ、こんな調子で引用打ち込みをします。図表や世界地図の部分もあるので、noteの機能では補えない部分も出るかもしれません。
「写真で見て確認してね」な部分も出るでしょう。
序文の2ページだけで結構な疲労感がしました。ちなみに必勝戦策は98ページあります。
はたして、今年中に終わらせることが出来ますかね(笑)