11月1日売りの「週刊朝日」に竹田青嗣『新・哲学入門』(講談社現代新書)の書評を書きました。
絶対的な「ほんとう」は無いと唱えたポストモダンはそれに代わる世界認識の原理を提示してこなかったと批判し、認識の普遍的な原理の再構築を目指した、竹田哲学のエッセンスが濃縮された一冊です。
方法として使われるのは、世界を眺めている「私」の認識がいかに確信されるか、という、現象学の思考法。ここら辺は竹田青嗣的なんですが、それを使って人間の発生論を欲望論的に考えながら、さらには、批評とは、芸術とは何かの本質を掴んでいくんですね。
こうした「私」が「私」であることの絶対的な根拠を抉り出す哲学の凄みが本書の魅力だと思います。そして、それにはポストモダンの側からの何らかの応答があって然るべきだとも思う。近代をリバイバルする竹田哲学の有効性は、一人ひとりの哲学徒が吟味すべきだと思います。
ちなみ、ちっとも「入門」書じゃないので要注意(笑)。