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言葉はその人の価値観を映す鏡なので、発言は思慮深くあるべき
言葉には気をつけたほうがいい。つい最近、そう思わされる事例が数回あった。
発言内容によっては「ああ、この人はこういう思考しか持てないんだ」「この人はそんな卑しい思考しかできないだ」と相手に思われかねないのだ。
二つほど事例を示したい。
つい最近、咳がひどくて常時マスクをしていた際、とある会社の先輩から「マスクをして咳って治るの?」と質問された。
そこで私は「咳を治すためではなく、周りの人に飛沫が飛ばないようにマスクをしているんです」と答えたところ、その先輩からは「ああ、そういう考えもあるんだ。俺なんて気にせず咳をゴホゴホしているけどね」となぜかドヤ顔で返された。
この人にとって、マスクとは自分自身の風邪を治すためにつけるものであり、周囲の人に迷惑をかけないためにつける、という思考はそもそも備わっていなかったらしい。彼の想像力の限界は「マスクとは自分のためにつけるもの」で止まっていた。
次の事例を持ち出す。
とある時期、私は勤務先から少し離れた場所で旧友とランチをとるため、13時から14時の時間休を取得したことがあった。なぜなら昼休み休憩時間である12時から13時の間にランチから戻ってくることは難しいと考えられたからだ。
その姿を見て会社の後輩は「●●(私の苗字)さんって絶対に今、転職活動していますよね。だって1時間の休暇なんてそれ以外取得する理由するないですもんね」と言ってきた。私は転職活動ではなくオフィスから少し遠い場所でのランチのために時間休をとったことを伝えると、「え?律儀ですね」とまるで想定外であったかのような顔をされた。
その後輩はその後、間も無く別の会社に転職していった。
どうやら、自分が転職活動をしている最中、他人が1時間休暇を取得したりすると、「あの人も転職活動しているんだ」と勝手に思い込んでしまうものらしい。だから私の時間給を取得する姿を見て転職活動していると思い込んでしまったらしい。
その他、その後輩は、となる同僚のシドニー駐在が決まると、「あの人、シドニーに駐在したら毎日インスタあげて優雅な海外駐在生活をアップしまくるんだろうな」とぼやいたりしていた。ちなみにそのシドニー駐在が決まった同僚はそんなこと一言も発していない。あくまでその後輩の妄想である。そのぼやきには、「もし自分がシドニー駐在だったら毎日インスタに生活をアップしまくりたいな」というその後輩の嫉妬が色濃く反映されていた。
なお、その後輩とは既に30代半ばを過ぎたオッサンである。
言葉とは恐ろしい。何気ない一言にその人の価値観や思考プロセスが反映されている。そして、その言葉の中から他者はその人の人格や品性を読み取る。
もしあなたが内面ではどんなに高尚な価値観を備えていたとしても、他者にとってはそれを知る術は、あなたが発する言葉しかない。
言葉に気をつけよう。