水泳はやせるのか？

「水泳って痩せるんですか？」「水泳って痩せるイメージがあります。」

水泳指導者の私がよく言われることです。今回はこれについて私の考えを書きます。

結論から言うと、痩せる場合もあれば痩せない場合もあります。

今まで私が水泳を通じて出会ったたくさんの方の中には、水泳をして痩せた方は何人かいます。これだけ聞くと「なんだやっぱり痩せるんだ！」と思うかもしれませんね。

でも、私が知っている水泳で痩せた人はみんな競泳の厳しいトレーニングをして痩せた人たち。つまり、運動量が半端なく多かった人たちなんです。

週１回プールに行ってマイペースで泳いだり、歩いたりして痩せましたというのは残念ながら聞いたことがありません。

じゃあなんで水泳＝痩せるというイメージが出来たのでしょうか？

それには２つ原因があると私は考えています。

ひとつ目は、水泳選手やシンクロの選手がしている食事です。
激しいトレーニングで消費したカロリーを補うためや体脂肪を減らしすぎて水に浮きにくくなるのを防ぐために、水泳選手やシンクロの選手がたくさん食べているのを一般の方が見て「あんなに食べてあの体型を維持できるのか。やっぱり水泳は消費カロリーが多いんだな。私も水泳を始めれば痩せるのでは？」

たぶんこう思った方がたくさんいた結果が水泳＝痩せるイメージにつながったのではないかと考えられます。

残念ながらアスリートと同じ運動量をこなしていないと食べた分だけ脂肪になっちゃいますよ。

そして２つ目は水泳をした後のあの独特の疲労感です。

プールに入った後は疲れます。でもその疲れは、カロリーをたくさん消費したから感じているものとは限りません。

水中は浮力が働いて体重が軽くなります。
そうすると陸上で身体を支えるために頑張っていた筋肉が陸上よりも楽をできます。

水中から陸上に上がるとそれまで楽をしていた筋肉を急に働かせないといけません。

宇宙飛行士が地球に帰って来たときに自力で歩くことが困難になるのと似ています。プールから上がった時の疲労感の正体は実はこれです。なんかすごい頑張った気になっちゃうんですけどね(笑)

ここまではネットによく書いてあったり、本にも載っていたりする内容です。

大切なのはここから。

「水泳って痩せるんですか？」と聞かれたときに面と向かってはあまり言わないですが、私が心の中で思っていることがあります。

それは…。

「水泳って痩せるんですか？」という質問をしてること自体が問題ですよ。

「水泳って痩せるんですか？」という質問をしてくるこの人はおそらくダイエットに失敗する人だな。

私に質問した場合は心の中でこう思われていると思って下さい。

「水泳って痩せるんですか？」は言い換えると「水泳は私を痩せさてくれるんですか？」になりませんか？

つまり、水泳が私を理想の体型に導いてくれるんじゃないか、水泳が自分のだらしない身体をなんとかしてくれるんじゃないか。

たぶんそういう考えからこの質問が出てきてるのではないでしょうか？

もちろん、興味本位で聞いたという場合もあると思います。痩せたいと思ってないけどなんとなく聞いてみたとか。

私自身、ダイエットに成功したわけではないので偉そうには言えないですが、ダイエットって結局は自己管理能力の高い人が成功するものだと思います。

いや、そもそも自己管理能力の高い人にダイエットは初めから必要ないのではないでしょうか。

つまり、水泳が痩せるか痩せないかよりも水泳を痩せるためのツールとして上手く活用できているかが大事だということです。

何をすれば痩せるのかを探している人はおそらくそれを一生探し続ける人です。

どんなに素晴らしい道具も使う人が変わらなければ結果は同じです。

水泳をして痩せるどころか太ってしまう人がいれば、水泳を上手く活用して理想の体型になる人もいます。

長年、水泳と関わってきた私が見てきた紛れもない事実です。

水泳で痩せるか痩せないかはあなた次第です。

「水泳って痩せるんですか？」という質問をしてしまうその考え方自体を改めることが大切なんじゃないでしょうか。