見出し画像

長野県人事委員会との懇談

 2024年12月17日、AEGISは、長野県庁に於いて長野県人事委員会との懇談を行いました。人事委員会が4名、当組合7名の参加です。私たちがした質問・要望に対する人事委員会の回答と懇談の所感をお伝えします。


AEGISの質問・要望に対する人事委員会の回答

 以下の3点について主に尋ねました。

  • 教員の長時間過密労働への受け止め

  • 部活動顧問就任命令の違法性

  • 部活動顧問をする・しないの選択権

AEGIS「教員不足、その要因となっている教員の長時間過密労働を長野県人事委員会はどう受け止めているのか」

人事委「10月に人事委員会勧告と報告を出している。その中でも教員の長時間労働の是正について言及している。教員の負担を軽減して長時間労働を是正するということは、教育活動の質の向上や教員確保につながるという意味で重要な課題。
 県教委の方では時間外在校等時間の上限を設けていて、学校における働き方改革推進のための方策に基づいて働き方改革に取り組んでいる。一定の職員に業務が集中することのないように、平準化を図ることも重要。人事委員会では労働基準監督機関として県立高校の事業所調査をやっていて、教員の長時間労働の状況も聞き取りを行っている。その中で長時間労働の要因として、特に運動部に関する部活動への対応があると認識。学校に対しては部活動の対応に限らず長時間労働の是正、一定の教員に業務が偏ることのないように助言している。
 教員の時間外勤務の位置づけは曖昧な状況がある。長野県固有の問題ではなく、全国的な大きな課題である。国も問題意識は持っている。全国的な流れを今の所は注視をしていく」

AEGIS「部活動顧問就任命令の違法性については?」

人事委「違法か、違法でないかは答えづらい。教職調整額は勤務時間の内外を問わず、包括的に評価をして処遇している。教員の時間外勤務は位置づけが曖昧になっていると思う。制度の趣旨からして曖昧さがある。部活動顧問に限らず、教員の時間外勤務は超勤4項目に従事する場合のみが規定されている。部活動顧問の強制がパワーハラスメントに当たるかは、個別具体的のことについて判断する必要がある」

AEGIS「校務分掌を決める際に、教職員に部活動顧問をする・しないの選択権を与えるよう、教育委員会に求めてください」

人事委「部活動顧問の任命や校務分掌については、任命権者の責任でまず決定すべきもの。人事委員会が教育委員会に選択権を与えるように求めることはなかなか難しい。教員が多忙であるということは現場の皆さんの実情は伺えた。その部分については承知した」

所感

 部活動顧問の就任命令の違法性について、人事委員会は言明をしていません。「(違法かどうか)と言われることが困る」と、苦しい回答を何とか絞り出してくださいました。リアルな懇談ですので、人事委員会としては何とも答えられないという苦しい状況はよく伝わってきました。確かに人事委員会が「顧問就任命令は違法」とは言えないでしょう。

 人事委員会の認識について、重大な疑念を2点指摘したいと思います。

 1点目。人事委員会が、「一定の職員に業務が集中することのないように、平準化を図ることも重要。」と発言してしまう点です。長野県教育委員会も同じことを言っていました。超過勤務時間の平均が過労死ラインを超える状況で、どうしたら業務の平準化を図るなどと言えるのでしょうか。月の超過勤務が100時間の教員の業務を、同60時間の教員にふりましょうというのでしょうか。これでは平均は変わらないどころか、超過勤務が増加する教員も現れます。教員の数を増やせないのであれば、仕事の効率化や、学校が抱えていた業務を外部に委託する、削減するなど、業務の総量を減らす手立てをまずは考えるべきでしょう。中高においては、その業務の対象は部活動でしょう。部活動は、生徒が自主的自発的に参加する教育課程外の活動であり、必ずしも教師が担う必要のない業務であり、設置運営は各学校の判断に任されており、教員の勤務時間外に及ぶことが社会通念上必要です。特に部活動については、軽々と平準化などと述べてはいけません。やりたい人が、やりたくない人を巻き込まない範囲でやる程度が精一杯ではないでしょうか。

 2点目。人事委員会が、「教職調整額は、勤務時間の内外を問わず、包括的に評価した処遇として支給されているので、教員の時間外勤務の位置付けは私どもとしては、非常に曖昧な状況。」と発言し、最後までこの発言を撤回しなかったことです。懇談の中で教員の勤務時間は決まっていることや、超勤4項目については人事委と当組合で合意できました。しかし、「教員の時間外勤務の位置づけは曖昧」だそうです。皆さんは理解できますか?恐らく人事委も理解できていないと思われます。然るに、私たちに理解させるだけの説明ができないのでしょう。調べると昭和46年に人事院が、教職調整額の説明としてこのフレーズを使っていました。

いいなと思ったら応援しよう!