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非常食生活をして気づいたこと

私は兵庫県在住で1.17の阪神・淡路大震災を経験しています。
しかし、幸いにも私の住んでいた地域は震度4程度であったため神戸のような震度7といった被害は受けませんでした。
ライフラインもストップすることなくそれ以降通常の生活を送ることとなりました。

天災以外の要因でも私はこれまでにライフラインストップを経験したことがなく、よく言えば恵まれた環境で、悪く言えばライフラインストップの本当の怖さを知らない状況で生活をしてきました。

そこで今回は(食事面に限定しますが)ライフラインストップを想定した非常食生活(想定演習)を3日間行いその体験談をまとめることにしました。

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今回の非常食生活のルール

2024年8月26日(月)17時発災想定
・電気、ガス、水道ストップ
・非常用水はストック分の12リットルの水のみ(→実際に非常食生活をしてみると12リットルでは不足したため追加しました)
・ガスボンベのストックは使用中の物+5本
・電子レンジは使用できないがカセットコンロは使用可能
・冷蔵庫は実際にコンセントを抜き電気ストップ状態にする

・非常食として3日分を想定して準備はある
・通常食品として使いかけの食材などが冷蔵庫にあるが発災後冷蔵庫の電気が切れるため注意要)

※食事に関係する部分だけの話ですのでそれ以外の部分では普通に電気、ガス、水道を使用して生活します。

水に関して

飲用水、調理用水のみ今回の非常用水を使用することにします。
洗い物や手洗いには水道水を使います(想定演習のため)。
また、飲用水に関しては自身の持病(双極性障害)の薬の副作用のため一般の方よりものどが渇きやすくなっており飲み水の量が多くなります。

冷蔵庫に関して

冷蔵庫は発災後停電を想定してコンセントを抜きます。
停電後の冷蔵室、冷凍室の温度変化及び復旧後の温度変化を測定しグラフにまとめました。

※時間経過については一見等間隔に見えますが等間隔ではありません。
※電気復旧後のグラフでは経過時間0時間の温度測定を忘れました。

詳細は後述しますがこのような温度変化を踏まえて冷蔵、冷凍食品をどの時点まで食べるか、処分するかを判断しました。

在庫食材、備蓄食材について

日常食品の在庫についてはここで示している通りすべて消費したもの、一部のみ消費をして残りを廃棄したもの、すべて廃棄したものと分かれました。
ちなみに今回廃棄した食品はおよそ1000円相当となりました。

※乾物及び備蓄食品の使用状況については実際に食べた非常食をご覧ください。

非常食の備蓄状況についてアンケート

ここで一つのアンケートを紹介します。
私のX(旧Twitter)アカウントで行ったアンケートです(回答数13票)。

購入先を問わず備蓄しているとの回答は75%程でした。

今回私がこの非常食生活(想定演習)を行うために購入した非常食はネットスーパーで購入をしました。
飲み水を1ケース買ったことと他の食品をまとめて買ったことからネットスーパーを利用しました。
ただ、ここ最近(2024年8月)の地震や台風のためか商品配達の予約が埋まっており即日での配達ができず翌日の対応となりました。

このネットスーパーで食品を選んでいる時に感じたのですが、非常事態を想定した非常食としては飽きることなく食べ続けられるような食品が望ましいという事です。
確かに普段の食生活に密接な関わりのあるスーパーの食品ですので食べ慣れた味は多いと思います。
その点では間違いではないと思います。
しかし、レトルトやインスタント、おかず缶詰などを具体的に見てみると似たようなジャンルの料理が多いと思います。

一方でネットの専門店の非常食なら料理のバラエティーは豊富にあるように感じます。
ただ、一度も食べたことのないその商品が自分の口に合うかは別物です。
バラ売りをしている商品もあるため事前に味見をすることもできますが、商品1つを取り寄せるにしても配送料はかかります。

これらを踏まえたうえで上手に備蓄していく必要があると感じました。

停電と冷蔵庫~食材の末路~

すでに述べた通り停電後は冷蔵庫は温度が上昇します。

私が最初に取り組んだのは肉と卵(今回は魚や豆腐はありませんでしたがあれば魚や豆腐も)を使い切ることでした。
また、冷凍ストックのご飯も使いました。

本来なら順序を逆にすべきところですが、冷蔵室の食材を冷凍室へ移しました。
参考文献では停電後の冷凍室は1日程度なら冷蔵室として使えると書かれていました。
しかし、グラフからもわかるように今回のケースでは1日までも持たなかったようです。
ちなみに今回の室温は34℃でした。

また、一般家庭でもあることだと思いますが期限切れの物がそのまま冷蔵庫に入っており、それらも処分するということもしました。
1食目の作り置きの煮物も怪しさを感じ廃棄しました。

冷凍食品が複数あればそれらを一か所に固めておくことでお互いを冷やし合って解凍が遅くなるようです。

今回の場合は3食目までは(冷蔵室代わりとして使用している)冷凍室の食材は使いましたがそれ以降は思い切って処分しました。
チルド総菜の煮物は湯煎にかけるという事で4食目に食べました。

実際にどんな食事をしたの?

1食目

ご飯(冷凍ご飯→湯煎)
豚肉と卵の炒め物
作り置き煮物(→廃棄)

冷凍ご飯は湯煎対応のポリ袋(アイラップ)に移し替えて湯煎にかけました(パッククッキング)。
冷凍状態からホカホカ状態まで温めるには30分ほどの湯煎が必要でした。

また、これ以降基本的には食器を汚さないためにラップをしてから盛りつけるようにしています。
ご飯に関してはアイラップごと盛りつけましたが食べにくかったためラップをひいた茶碗の上の盛りつけました。

2食目

えび、玉ねぎ、小松菜のスープスパ
きゅうり

今回のスープスパはフライパンに(スパゲティを入れた時にかぶるくらいの)お湯を沸かし1分茹で、火を止めて蓋をしてパッケージの表示時間放置、その後具材、顆粒コンソメを加えて様子を見て火を通すという方法を取りました。
最終的に2分間のガスを節約することができました。

小松菜ときゅうりは包丁、まな板を使うことなく空中でキッチンバサミを使って切ることでまな板と包丁を洗う手間や水を省きました(空中調理)。

3食目

ワンタンメン(人参、玉ねぎ)
きゅうり

4食目

パックライス(湯煎)
焼き鳥缶詰(湯煎)
野菜の煮物チルド総菜(湯煎)
フルーツ缶

通常パックライスは電子レンジで温めていますが今回は湯煎で温めます。
15分の湯煎で温められるとのことでしたのでチルド総菜の野菜の煮物、焼き鳥缶詰とともに湯煎にかけました。
缶詰を15分の湯煎にかけるとかなり熱く、開封するには軍手などがあった方が良いと思います。

パックライスは湯煎でもおいしく仕上がりました。

5食目

きつねうどん(カップ麺)

6食目

パックライス(湯煎)
牛丼レトルト(湯煎)
みそ汁(フリーズドライ)

汁物ですがこれまで同様にラップを敷いてみました。
しかしこのようなケースではラップの下にまで漏れていたため汁物はそのまま器へ盛りつける方が良いと思います。

7食目

おこげ
サバみそ煮缶詰
フルーツ缶

ここまで触れてきていませんでしたが、最初は「やっていけるだろう」と思っていましたが次第に毎食の食事量に物足りなさを感じるようになってきました。
食事以外にも在庫のおやつをちょこちょこと食べています。
同じのような食事が続く非常食では気分転換になるようなおやつは大きな役割を担ってくると思います。

8食目

パックライス(湯煎)
親子丼レトルト(湯煎)
みそ汁(フリーズドライ)

9食目

そば(カップ麺)
焼き鳥缶詰

※写真は載せませんでしたがこれら以外におやつなどを食べています。

非常食生活をして気づいたこと

暗いところでの調理作業

夜間の調理作業では懐中電灯が欠かせません。
ただ懐中電灯1本だけでは限界があり、鍋やフライパンに調味料や油をどの程度入れたかわかりにくい、焼いている肉の色の変化が分かりにくいといったことがありました。

換気扇

停電をしていれば当然のことながら換気扇も使えません。
湯煎を行った時はキッチンの湿度は急上昇しました。

不足しがちな栄養素

冷蔵庫としての機能がまだ確保されている1日目までは野菜などからビタミン、ミネラルの補給も可能です。
その後の非常食生活へ切り替わると野菜などからのビタミン、ミネラルの補給は厳しくなります。

炭水化物やたんぱく質に関してはパックライス、インスタント麺、レトルト食品、肉や魚などのおかず系缶詰などをどの程度家庭で備蓄しているかによって十分補給できるかに関わってきます。

支援物資としてはインスタント麺などの炭水化物系の物が多くなる傾向があるためたんぱく質の不足が懸念されます。

ビタミン、ミネラルへの対策としては野菜ジュースなどの確保、マルチビタミン、マルチミネラルなどのサプリメントの活用が期待できます、
たんぱく質に関してはたんぱく源の非常食の確保、プロテインの活用が考えられます。

おやつの重要性

すでに前述していますがいつ復旧するかもしれない非常食生活では気分も落ち込みがちで、同じような非常食ばかりを食べる生活に嫌気もさすことでしょう。
そんな時におやつは気分転換になり気分を前向きにさせてくれる働きがあると思います。
たかがおやつと思わずしっかり備蓄をしましょう。

水とガスの使用量

この3日間の非常食生活を通して消費した水とガスの量についてまとめます。

水の使用量

3日間で27リットル(飲用水と調理用水のみ)
最初は3日間用として12リットルを用意していましたがとても賄えるような量ではありませんでした。

ちなみにこの非常用水2リットル×6本=1ケースをネットスーパーで注文したのが8/25(日)で1ケース当たり400円程度でした。
しかし、3日後の8/28(木)に注文した際には2リットルが売り切れており、500ミリリットル×24本=1ケースを同じネットスーパーで注文しました。
どちらも1ケース当たりで考えると12リットルですが後者は1000円ほどしていました。
この間台風が話題になっており水の需要が増大していたのだと思います。

ガスの使用量

ガスの使用量に関しては想定していたよりも少なかったです。
今回はこの3日間にガスボンベを二度交換しただけで実質2本弱から3本程度しか使っていなかったのではないでしょうか?
実際にガスを使っていた時間は3日間通して90分ほどです。

ちなみに、カセットボンベ1本当たりの燃焼時間は3.5kw(3000kcal/h)のコンロで1時間が目安とされています。

防災ボトルと自販機

今回の非常食生活(想定演習)と直接関係のないことではありますが防災に対して敏感になっていた時期だからこそ感じたことをお伝えします。

防災ボトル

ネット検索をしていたら出てきました。

100均で手に入るウォーターボトルに小型の懐中電灯や電池、ホイッスル、絆創膏、お菓子などを入れています。
他にも圧縮タオルや現金、連絡先を書いたメモなどを入れるようです。
ウォーターボトルに入れるため水没しても中の物まで水にぬれないというメリットがあります。

容量的にはもう少し欲しいかなという思いはありますが私がいつも持ち歩いているリュック(通帳などもまとめてリュックに入れています)に入れておきたいと思います。

自販機

新紙幣が2024年7月に発行されてから約2か月が経ちました。

一時期ニュースにもなっていた食券販売機や自動レジでの新紙幣対応。
一般人の私たちにはどの程度対応しているかの情報は分かりにくいですよね。
万一被災をした場合、幸運にも電気はストップしていない状況で家の近くの自販機は使えるだろうか?
新紙幣に対応しているか確認しておくのも必要かもしれませんね。

まとめ

今回の非常食生活(想定演習)では様々な学びがありました。

・水が予想以上に必要になること
・その反面ガスボンベは(今回の非常食献立では)それほど必要でなかったこと
・停電後1日経たないうちに冷蔵庫に入っていたものは食べられなくなること
・暗いところでの調理作業の不便さ、換気扇の重要性 など

いろいろと気づきはありましたが日常食品として保管をしていた乾物(乾麺以外)がうまく使いこなせなかったのが心残りです。
また、生米がなかったためパッククッキングでの炊飯が体験できなかったのも残念です。

この非常食生活(想定演習)を通して防災意識が高まりました。
また、今回の反省点を踏まえて水24リットルなど非常用備蓄食品を買いそろえました。

非常食生活(想定演習)終了後、幸いにも臨時収入があり焼肉をすることにしました。
お肉が美味しかったことは言うまでもありませんが、野菜のあの食感が懐かしく少し感動しました。
非常食生活ではなかなか味わえない食感です。

最後に、これは私が実践した方法であり、仮に私と同じような判断、行動を取ったからといって食品衛生上安全が担保されるものとは限りません。
ご理解のほどよろしくお願いいたします、

よりリアルな非常食生活(想定演習)の記録をチェックしたい方はこちら

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参考文献

「もしも」に備える食 災害時でも、いつもの食事を 石川伸一 今泉マユ子

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中野照規@かかりつけ管理栄養士ココナラ&BASE
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