晴れの日も雨の日も#182 【創作SS】ながいコーチの恋愛講座 京都編
noteというのはオソロシイところである。
思わぬことがとんでもないところに飛び火したりする。
恋愛ベタのながいコーチが全力を振り絞ってラブストーリーを書いたのと時を近くしてyahoiさんが大ヒット記事を投稿され、それが御手洗さんにまで延焼した。
回り回って、私は、ラブストーリー京都編を書かざるをえないところに追い込まれた。
京都は私が大学四年間を過ごした第2のふるさとだ。あちこちにたくさんの足跡と思い出があるが、残念ながらその道に関してはかけらもない。ネタなしの120%想像は浅見非才の私には至難の業だが、妄想でもエエからさっさと書け、という女王様の絶対命令が出た。答えはYESかはいでしかない。
男:大学生。二十歳。
女:短大生。一九歳。
時:昭和50年代
第一幕 部室にて先輩より
「おい、今晩空いてるか」
「はい、ヒマチンですよ。飲みですか麻雀ですか」
「ちゃうちゃう。おまえ、合コン行く気有るか」
「えええ??合コン?混ぜてもらえるんですか?!」
「おう、ええで」
「せやけど、今日ボク、キタナイ格好してるんですけど」
「何言うてんねん。男は服装ちゃう。中身で勝負や」
(本心:あほか。おまえなんか単なる盛り上げ役や。
キタナイぐらいでちょうどええねん)
第二幕 合コン
詳細割愛。しかし、彼は盛り上げ役として十分機能。女子陣からウケをとり、大変盛況裏に合コンは終了した。
第三幕 ふたたび部室にて
「おまえ昨日頑張っとったな。けど勘違いしたらあかんで」
「え??なんですか」
「ええか。モテるとウケるは違うで」
「いややなあ。ウケてたけどモテてへんっちゅうことですか」
「わかってたらええんや」
「でも、一人だけ連絡先もらいましたよ」
「ええええ?!うそやろ?!」「誰や誰?!」「いつの間に?」
「あのちょっと小柄のポニーテールの子です」
「おお、あの一番右端におった子か。なかなかかわいかったんやんか」「マジか?」「なんや、意外にやるやないか」
等々想定外の事態に部室内ザワザワ騒然。
第四幕 デートの申し込み
当時、携帯はまだない。そして彼女は自宅通学。連絡先を聞いたはいいものの、電話をすれば出るのは9割方お母さん。「もしもしどなたですか」「ウチの子とどういうご関係ですか?」そういう会話を乗り切ることができるのか???恋愛経験のない男はビビっていた。
・・・・・・・・・・・・・・・
男は頑張った。
何とか連絡がつながり、二人は食事に行くことになった。
第五幕 鴨川にて
京都のデートコースと言えば鴨川。等間隔にカップルが座るという例のアレだ。二人は食事後少々ほろよい加減で鴨川沿いを歩いた。
「今日はありがとう。楽しかったわ」
「ううん。わたしこそ」
「なんか、鴨川をこうやって歩いてると
オレらもカップルみたいやな笑」
「みたい、なだけなんですか」
「・・・」
「オレらもちょっと座る?」
「うーん、私はこうやって並んで歩いている方が
いいかな」
「そう?足、疲れへん?」
「全然平気。なんか今こうやって一緒に歩いてると
気持ちが一つになってる気がするねん」
「うわー、嬉しいこと言うてくれるやん」
「わたしね。この道がどこまでもずっと続いてくれたら
ええなあと思ってんねん」
思わず男は彼女の顔を見る。
彼女は前を見たままだ。男の視線をその横顔に感じながら。
あたかも、そこで振り向いて視線が交錯すれば、そこから何かが始まることを既に知っているかのように。
そして、並んで歩く二人の手が一瞬触れ合った。
「鴨川の水音なんやけど」
男は言った。
「うん」
「それがなかったらオレの胸のトキメキを聞かせてあげられるのに」
今度は二人は目を見交わした。
「手つないでいい?」
男は言った。
彼女は答える前に彼の手を握っていた。
男は彼女を抱きしめたい気持ちで胸がいっぱいになりながら、その手を強く握り返した。
二人はずっと鴨川を歩きながら夜の闇に消えていった。
鴨川の上空をいつもはピーヒョロロと舞っているトンビも、今日ばかりは二人の邪魔をしないようになりを潜めていた。
つづく おしまい
★創作です。全部。一切事実根拠ありません。
御手洗さん、この辺で勘弁して〜。もうこれ以上は鼻血もでまへんで〜。
さあ、これで「リクエストには絶対応える男ながい」のイメージが確立できたかな😂
最後のトンビの行は唐突やなあ、と怪訝に思われている方は次の記事のコメント欄をどうぞ。
今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之
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<予告>
#183 ご安全に
#184 願いを叶える前編
#185 願いを叶える後編
(つづく)