見出し画像

赤目四十八瀧心中未遂/車谷長吉

彫り物のような鮮やかさだった。ごろつき感覚でどん底で生きていることの腥さを感じた。飢えと渇きへの細やかな慰めも。鮮烈だ。表の世界からはみ出された俗に生きる人たちだけど自分の生に縛られている。粘りこく言葉の生霊がここである世を醸し出す。なのだが、逃避行しても行きたいとこへは行けないドンづまりである。生殖のシーンがあるが、子を産むでない、生命の迸りなのだ。魚のような生殖したら死ぬような性を感じさせるのだが、まぐわうだけで慰めしか残らない

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集