うちの社長は、とにかく器が広い。
私が働いているお店は、創業70年ほど経つ寝具店なのだが、
ここで働くことを決めた理由のひとつは、「社長のお人柄」だった。
うちの社長は、とにかく器が広い。
小さい器と大きい器。
いい悪いではないが、大きい方が美しいし、そういう人の下で働きたい。
社長は日々、
「自分は、正しさよりも、美しさを選びたい。」と言う。
この言葉を初めて聞いた時、驚きとともに感銘を受けた。
何でも白黒ハッキリつける現代は、「正しさ」という鉾と盾で、いつも誰かと誰かが戦っている。
だから、初めて聞いた時、世の中の流れと相反するこの発言に驚いた。そして感動した。
でも同時に、「美しさとは??」と、わたしの頭の中に初めての疑問が浮かんだのだった。
ほとんど直感的に、何となく響きのいい言葉だなと思ったから、その意味をもっと具体的に理解したいと思った。
正しさではなく、「美しさ」という鉾と盾で、この世の中を渡れるの?
それはどんな生き方なんだろうと未知の世界に興味を持った。
「美しさ」を探求する旅は、社長との出会いをきっかけに始まった。
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