俳句創作に意外に役立つ? 別の世界で培った「リズム感」♪
はじめに
5年ほど複数のカルチャー俳句講座で講師を担当しております。
その中で得た雑感や経験、俳句創作に役に立ちそうなことを生徒さん向けに発信するコーナーです☆
第1回は「リズム感」。これから俳句をやりたい方、既にやられている方も宜しければ。ちなみに、本欄はあくまで個人的経験に基づく見解ですので、ご了承ください♪
なぜ初心者の頃から俳句のカタチの中にリズムを生かせるのか?
俳句は短い。なんたって17音しかない。そこに季語を入れて言いたいことを「作品」にする。矛盾に満ちた創作行為だあ〜!! 俳句と出会ってじき四半世紀の今も、イマイチ俳句と私が親友になれんのはそれが大きいカモ。
でも、他人様の句を見て、一緒に学ぶカルチャー俳句講座は大好き!! カルチャーを始めて、いかに私の句が変わったか。生徒さんたちのお陰。感謝の思いです♡
そんな私の経験から見て「この生徒さんは伸びる」とすぐわかるタイプがいます。そのひとつが「リズム感の有無」。
短い俳句ゆえに初めの頃は色々述べてしまったり盛り込む生徒さんや作品が多いのですが、リズム感のある人は割と最初から声に出して読むと気持ちよく、しらべがよい作品をつくる。言葉も自然と配置して詠める。そこに適切な季語や内容が来ればおお、カンペキ♡
一体、初期から俳句形式にリズムを生かせる人は何を持っているのだろう?
「自分の中に既にリズムがある」
色々な生徒さんを見ていて、ある共通ポイントがありました。
・音楽やダンス、朗読など「リズムを体感する表現」を既に経験している。そして、ある程度リズムと親しんでおりモノにしている、
・写真や絵、デザインなど、対象を切り取る行為に慣れている
以上です。そんなことが? と思う方もいるかも。でも、実は考えてみると、音楽は楽譜や曲、ダンスは演目、朗読は物語などの本と、皆ある「カタチ」の中の表現なのです。
そしてそのカタチを緩急ある世界にするためには、リズムは不可欠な一要素。ならばこそ、それらの経験者は既に自分でリズムを生み表すことに慣れており、俳句でも比較的早くから575というカタチの中でその経験を有効活用できているのではないか。
写真や絵、デザインのほうが俳句の表現手法により近いでしょう。そして「対象を切り取る」とは表現の核を絞ること。そのためには自ずと対象とそれ以外の選択や濃淡をつけるなどの演出が必要になり、それゆえに一枚の平面のカタチが躍動感を伴い膨らむ。そして、その基礎には実はリズム感に支えられた画面上へのアプローチがあるといえるのではないか。
リズム感は大きなアドバンテージ、でも後から養える
考えてみれば、リズミカルな俳句は印象に残りやすいですよね。そんな作品は短さが有効となり愛唱される可能性も♪
『でも、私は音楽とかの経験ないよ〜! どうすれば〜?!』
いえ、リズム感は俳句のすべてではありません。あくまで素敵な作品に演出するための一手段。手段ならば、これから体得すればOK!
「教室や句会に俳句を出す前に、一度音読する。そして、自分の目と耳でリズムやしらべが気持ち悪くないか、確かめる。気持ち悪いなら、どこが引っかかるか、考えてみる」
このひとつを毎回試みてみてください。俳句は大体、数年ほどでカタチや季語に慣れて、水準レベルの作品を作れるようになります。そこにさらに1つレベルアップして差をつけるためには、リズム感を無理なく自然と身につけることを少しだけ普段から意識してみてください。
リズムはカタチに命を与え、そこに季語や内容などの組合せやアプローチ次第で17音を壮大な世界に変貌させてくれる。俳句はそんな矛盾に満ちた、とても面白い表現ジャンルです。
ちなみに、リズム感のある人は音感が良い人であることも多く、そのタイプは考えなくても気づいたら自然と韻を踏んだ俳句を詠めてしまうことが多いです。それについては、またいつか^_^