【連載】そして音楽は何処へ行く(3) 〜相棒〜
前回(連載二回目)のお話はこちら
今回はその続きです。
ここ4年ほど名古屋で一緒に活動してる「相棒」がいます。彼は27歳。私とは10歳以上離れてます。彼とは年に一度、彼の大学院の友達のバンド仲間のライブに参加させてもらってます。
この連載の1回目の時のVo.K子は私とのユニットでは物足りないようだったので、この「相棒」を入れて「Piano+Drum+Vo」という、ややバンド気味の構成で次回やろうという事になってます。「相棒」はPianoです。私よりも本格的にやってたサラブレットです。
しかし、スタジオ入りの当日の明日に「相棒」からLINEが来ました。
相棒「朝から高熱で、インフルエンザっぽいのでスタジオ入れません」
と来ました。しょうがないのでキャンセルです。
「Piano+Drum+Vo」編成の音合わせは延期となりました。
体調悪いと音合わせも上手くいきませんからね。当日なんでキャンセル料は100%取られます。これは彼に払ってもらいます。
彼とは阿吽の呼吸で雰囲気で合わせられるレベルの高い音楽家なので、一緒にプレーできるのは楽しいし、やりがいがあります。
彼の同期の大学のお友達からは私達のバンドはすっかり「逝っちゃってるバンド」扱いです。普通のバンド構成じゃないし、やる曲は男性女性曲関係ない。操る楽器も毎回バラバラと着いていけないって感じのようです。
私はこれは「最高のホメ言葉だな」っと理解してます。
▪️アーティストなのか? プレーヤーなのか?
そんな優秀な「相棒」なのですが・・・残念な部分もあります。しかし、これは本人の嗜好の問題なので強要はできません。しかし、それが故に私は別のバンドでの活動も始める事を決意したのです。彼を嫌いになった訳ではないのです。先が見えてしまっただけでです。
彼とはこれまでの4年間にスタジオも何度も入ってるし、酒も二週に一回くらいのペースで一緒に行きます。音楽の話、恋愛の話、色々します。そんな中で音楽の話をしてる時に
私「曲ってどんな構成で、どういう風に音を配置したらいいか?とか理解しようと思ったら、自分で曲を最後まで書ききって、仕上げると色々わかるよ。一緒に曲を作ろう」
相棒「わかりました。作ってみます」
それから暫くして、30秒位のショート・フレーズをPianoで作って、デモ音源が送られてきました。先の話をしてから2、3ヶ月たってました。
その後も
私「曲できた? いつ一曲になるんだよ」
相棒「うーん・・・なかなか、出来なくて・・」
そうこうして一年が経ちました。彼と4年位前に出会い、私の嫁とも食事を一緒にした席での話で
妻「H君は将来どうしていきたいの?」
相棒「僕はいずれ会社を辞めて、バークレー音楽大学に行きます。」
妻「すごいねー、バークレー大学行って、その後は何を目指すの?」
相棒「・・・・、そっから先はまだ・・」
私と妻は「彼は夢を語ってるだけで、夢の世界に行くことに憧れていて、本当は何になりたいかわかってないんだよ」と話てました。
それから2年ほどたって、彼にようやく彼女が出来た頃、
相棒「バークレー大学行くのは諦めました。自分でよく考えたら、その先どうしたいって無い事に気付きました。だから辞めました。作曲も自分は好きじゃないってわかったので辞めます。自分はPianoが弾くのが好きなだけで、それ以上は求めて無いってわかりました。」
そうなんです。彼は子供の頃からクラシックを習ってきて、Pianoの演奏を上手くこなす事に精力を注いできた人なのです。そんな彼がクラッシック以外の幅を広げようとJAZZ・Pianoを1年ほど習いに行っていて、コード奏法、ソロと学んで行ったのですが、その先が見えなくなり、Jazz Pianoも辞めていました。
結局彼は「Piano凄い上手だね」って尊敬されたくて演奏してるだけだったのです。女性にモテたくてバンドやる人が世の中の半分以上いますが、その一人だったのです。だからプロのミュージシャンにはなる気は無いので、作曲も興味ないのです。上手く演奏ができる「プレーヤー」だったのです。
私はそこは割り切って「アレンジ面」は私が担当して、彼には「プレーヤー」としての部分で付き合っていこうと思ってます。実力はあるのです。志しが「音楽愛」として弱いだけです。そこを強要しても仕方ないのです。
なので、残念ながら彼は音楽の聴く幅も狭く、知ってる音楽も少ないのです。「いろんな音楽聴きなよ」とは言ってます、耳がクラッシク嗜好なので、凄いプレーにしか感動できないのです。
・・・という訳で、音楽をやる人には「音楽家(アーチスト)」として、幅広く音楽を理解し、曲を愛するタイプ。行く行くはオリジナルを作って、形にして行きたいというタイプ。「プレーヤー」として上手い演奏が出来て、尊敬されて、女性にモテたいという二つのタイプが存在するのは仕方のないことです。なので彼とは上手くやっ行きますが、そこまでなのです。
そういう訳で私は新しい出会いを通じて、アーチストとして共鳴出来そうなメンバーとの出会いを夢見て進んでいくのです。
バンドのメンバー全員が「ミュージシャン志向」の人と言うことはありません。何人か中核メンバーにそういう人が入れば十分なのです。
連載二回目の時、食事にみんなと行くときに、他のメンバーは車、Keyの女性と私は徒歩で二人で向かいました。そこでの会話でお互い別のバンドもやっている。Keyの彼女はもう一つのバンドはオリジナルをやってるようでした。
そんな感じでミュージシャン志向のメンバーがいる事はバンドをやってく上では非常に助けになります。こだわりを持たず、自分達の音楽をクリエイトしていく事が出来そうです。
そんな相棒ですが、大人しくて、優しい彼なのです。そんな彼と最近話して、進めていたのはYMOの「東風」をPiano+Drumだけでやろうぜっと話してます。5月のLIVEではやりたいのですが、まだ音合わせが出来てません。
という訳で今回のテーマはこの曲です。