【連載】そして音楽は何処へ行く(1) 〜兆し〜
ちょっと長いです。物語なんで一回の区切りが難しい。
今後、考えていきます。興味ない方は飛ばして下さい。
▪️導入
音楽は聴くのも好きですが、それ以上に「演奏する」方が好きです。中学からバンドを始め、いいオヤジになる30年バンドも趣味としてやってます。名古屋に来てからもいろんなユニットと組んでライブ活動もしてます。最近は年に一回程度ライブをやってます。そんな静かな音楽活動の中に、ささやかですが、迷い、希望、夢、チャレンジなどの物語があります。
そんな、ささやかな物語はたいして人に語って、感動を与える程の大げさなものはありませんが「音楽に対する愛情、真摯な思いは伝わるかもしれない」という気持ちで、日頃の音楽活動でのささやかな小話をシリーズとして書いて行こうかと、ふと昨夜思いました。
続くかどうかは分かりませんが、やってみようと思います。シリーズ「そして音楽は何処へ行く」。まずは「兆し」というタイトルで始めます。
▪️兆し
ネットのバンド募集の掲示板的なサイトは昔からあります。様々な人が毎日募集等を記載してます。週に一回くらい暇な時に私は覗いて見てます。掲示板の書き方も様々で「バンドやりたい」的に書き込みはあるけれど、そのやりたい意思表示ばかりで「自分はこういう者です。一緒にやりませんか?」という自己PRが足りない。せいぜい好きなアートストから音楽の方向性を探るしかない。
そんな状況の中「バンドではなく、アコースティック的なユニットで歌+演奏でやれる人」っという観点で最近は探していた。引き語り系の人も増えてきてるので「ユニット」的な募集もちらほらある。そんな人にメッセージを送り、2,3回やり取りし、お互いの音源を送りあい、実力を確認し、良さげであればスタジオに入って、音合わせをやってみる。
オリジナル推しのピアノ・ボーカル
一人目は「Vo+Piano」でオリジナルをやってる女性。スタジオで合わせたいという曲が彼女の「オリジナル曲」。私はドラムで合わせる方向で話を進めて、スタジオで音合わせをする事になった。中々の自己主張の強さの彼女です。いきなり自分の「オリジナル曲」でやりたいという事で来るわけです。
私は音楽をやるなら、それくらい自分の音楽に信念を持ってやってるわけだし、そういう個性は良いと思って、音合わせに臨みました。
1時間ほどスタジオで音合わせ。私も事前に彼女のデモ曲を聴いてきて、想像を膨らまし「ドラムはこんな感じで合わせるといいかな?」的な感じでアレンジして音合わせに臨んだ。彼女のデモは「Vo+Piano」で歌ったデモ音源。ドラムも何も入っていない。その状態から作っていく感じだ。
合わせた感じは、まあ形になりそうだなという印象。
彼女「うーん、もっと、後半の部分は激しくして叩いて欲しいな〜」
私 「この曲だと、これ以上盛り上げようないけど・・」
それでも要望に合わせて、演ってみる。
彼女「うーん、しょうがないか・・、こんなもんか〜」
自分の意見、考えがあるのは良いのですが、お世辞にも大した曲じゃなく、素人が作るレベルの曲をわざわざ、合わせてあげてんのに、どんだけ上から目線よ?って感じです。だいぶ我慢しましたが、この一連の音合わせで彼女とはやってけんなと判断。相手を単なる「スタジオ・ミュージシャン」としか見てません。パートナーにはなれません。これ一回で終了です。
控えめで、ぼんやりな陰湿なボーカル
その後、しばらくして、もう一人、音楽の趣味が合いそうな彼女に声をかけて見ます。音源のやりとりをしました。彼女から来たのはYoutube音源。引き語り系の音源です。ギターはポロポロとあまり上手ではなく、歌は引き語りをLIVEバーでやってた経験がありそうな、そこそこの歌いっぷり。でも陰湿な感じの歌い方。やや不安はありつつ、音楽の趣味の部分のみで、勢い「スタジオで合わせますか?」と聞いたところ、やって見たいという事で、合わせる事になりました。
あまり期待してなく、嫌々スタジオで合わせるため、趣味の合うアーチストの代表曲でお互いが知ってる曲で2曲ほど合わせる事にしました。
その時、今思うと不思議だったのですが、1曲は男性曲なのです。一曲ははフジファブリックの「若者のすべて」、もう一曲は矢野顕子「ひとつだけ」。矢野顕子も普通の女性のキーではないです。要は選んだ曲はいずれもキーが普通と大分離れた曲です。私はなんとなく、原曲キーは厳しいから「自分のキーがわかるようなら、原曲からどれくらい変えたらいいか、分かるなら教えて」とメッセージを入れておきました。数日後、返信が返ってきて「どっちも原曲から−5位で大丈夫」と言うのです。
「?これは、なかなか本物かもね」
男性・女性曲にかかわらず自分のキーがわかっていて、歌いこなすのは「ボーカル」としてきちんとやってれば、あたり前の事ですが、そのレベルにない人が殆どなので意外性がありました。
その後、スタジオで合わせる事に。ビジュアル的にはイマイチな彼女。呼び名もネット上の呼び名で会話です。彼女はK子とします。
K子とスタジオで予定曲をさっさと合わせて、お互いの感触を確かめ、ダメなら、それで止めようと思ってました。まずは「若者のすべて」を私のピアノ伴奏でやります。原曲とは違い、引き語りに近いスタイルです。難なくK子は歌い切ります。しかも自分なりのボーカル・スタイルを持っていて「歌マネ」ではありません。自分の歌い方のスタイルで「若者のすべて」を歌い切ります。演奏を終えて、
私「一発でできたね。まあまあな感じじゃない。」
「いんじゃないかい?。どう?」
K子「うーん、もう少しゆっくりテンポが良い。」
「合わせた感じは・・・」
っとしっくりしてない様子。私はきちんと歌いきれてるし、初合わせでは十分だという印象です。その後「ひとつだけ」も難なくでき。何度も合わせる必要もないかなと思い。少し会話。ここまで30分経ってません。会話の中で「他に何か知ってる曲ある?」と話し、一青窈「ハナミズキ」、ハナレグミ「深呼吸」をやりました。このスタジオで「ぶっつけ本番」で合わせた追加の2曲。いずれも形になって一発で合わせられました。
ぶっつけ本番で出来るのは、音楽の骨格を理解していて、そのアーチストの曲を理解してるという事です。それだけ、音楽を深く吸収しているという事です。それは私、K子お互いに言える事ですが。
K子の歌の特徴はぶっつけで合わせた「深呼吸」に集約されてました。繊細なメロディーを大切にするボーカリストなんだと認識出来た一曲です。
今後の事
お互いの基本の印象は問題はないと思いました。実力的には十分かと。微妙な空気が流れたのが・・この二人の組み合わせで、今後何が出来るのか?どうしたいのか?ちょっと、方向性が微妙です。K子はバンドがやりたい模様。引き語りも良いが・・という感じ。
スタジオ終わり、休憩コーナーでコーヒーを飲みながら、今後どうしていきたいか?一緒にやって見たいのか?などを話しました。
私は今、一緒に活動してる相方がいる事。彼を入れる事を提案しました。K子の事はまだ彼には話してません。K子はアコギの引き語りライブを3月に予定していて、相方のギターの彼がいる事を話しました。
ひとまず、先の事は分からないが、私の相方を入れて、違う形態で音合わせをやろうと話し、連絡先を交換しました。
私の方は相方の彼と5月にライブを行う話しがあり、気持ちはそこへ向かってます。K子にも出て欲しい旨を話しました。次は私の相方を入れた形でスタジオに入る事になりそう。
私「また連絡するね。今日はありがとう」
K子「じゃ、また。ありがとう」
ひとつ言えるのは、尊敬出来る実力のある方と組めるのは、とても嬉しい。バンドの形態はどうでも良い。音楽を一生懸命に取り組める仲間が出来たことが一番嬉しい。一緒に形に出来るのが嬉しい。そういうパートナーに巡り会える事が嬉しい。
さて、次は私の相方が承諾してくれるかどうか・・・
今日の印象的な一曲はこれ・・2:10から聴いて下さい。